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25話 結婚③

 私はユルシュルやシュザンヌと散々会話の練習をしてから、その日の夜。サムエル様をお誘いして庭園を散歩することになりました。


「ほ、ほんじ、本日は来ていただきありありがとうございます」


「ここは俺の庭だ。それとその喋り方は何があったんだローズ。何を企んで……いや、企んでいてももっとうまくやるよなお前は」


 サムエル様、今間違いなく企むと仰いました。ええ、いつもなら私の聞き間違いだと考えますが、ええ。


 ユルシュルたちが仰っていたことが事実と改めて再認識しました。


 このままいけば、間違いなくサムエル様と私が仲睦まじい夫婦になることは不可能。


 挽回しなくてはいけません。私とサムエル様の明るい未来の為に。


「何も何何も!?」


 つい大きな声でお返事をしてしまい、ハッとして口元を覆い隠す。


 サムエル様も普段と違う様子の私を見て、どこかおかしいと察している様子。


「ローズ。お前何か隠しているのか? それとも病か?」


 病気を疑われてしまいましたわ!?


「違います! これはちょっと! 私がちょっとあれなだけです!」


 どれよ。余計な言葉を言ってサムエル様を困惑させてはダメ!


「いや、君はちょっとどころじゃないだろう?」


「それはそうかもしれませんが」


 私が素直に認めるような返事をしますと、サムエル様は驚かれた。やはり、私は今まで世界を自分の統合のいいように見ていたようですね。


「本当にどうしたんだローズ!」


「え!? あの実は……サムエル様が」


「俺が?」


 何故でしょう。今ここで素直に言葉を発すれば、全てが解決するような気がする。気がするのに、口が動いてくださりません。


 耳まで真っ赤になったことがわかるくらい、私は素直に話すことに緊張しているとやっと気付きました。


 私、今まで素直にものを言えてなかったのも、偉そうな言動だったのも全部。


 照れていたから?


「サムエル様! 私はサムエル様のことが」


 思いを伝えようと思った瞬間。ふと頭によぎりました。


 今更気持ちをお伝えしたところで、果たして私のことを傲慢で常に何かを企んでいる女と思っているサムエル様は信じてくださるのでしょうか。


 信じて欲しい。本当の自分を知って欲しい。けどそれ以上に、真剣な気持ちが信用されなかった時が。拒絶された時が…………


 怖い。どうせなら少しずつ温和になって、丸くなったようにみせてゆっくり傲慢な印象をフェードアウトさせて。


 ただ、何も問題ない王妃になって。サムエル様との仲は今よりひどくならない様に…………そうすれば、まだお傍にいることはできるのでしょうか?

ローズは今更になって、自分の周囲からの印象を知った。

そしてその印象通りにサムエルが受け取っているのなら、


はたしてこれからする告白を純粋なものだと信じて貰えるのか怖くて仕方なくなっていた。


今回もありがとうございました。

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