21話 ウサギ小屋建築③
仕方なくサムエル様とお二人で、いえ一応シュザンヌが後ろにいますが。お二人で客室に向かいますと、ルーツィアさんがウサギの糞の掃除をしておりました。
ウサギのルイーズはそんなことはきにせず駆け回っています。
「あの子。こんなに元気なのですね」
一応ルーツィアさんにお声がけしましたが素っ気なく「ええまぁ」とだけ返事が返ってきましたのですぐにルイーズを抱き上げるために彼女から離れました。
ルイーズを抱き上げサムエル様の方に向き直りますと、あまりルイーズに関心はないのか。窓の外を眺めていました。
「何を見ているのですか?」
「いや……庭で作業している者が増えたな。あのあたりに作るつもりなのか?」
「……もっといいところを頂きましたが?」
私がルイーズをぎゅっと抱きしめながらお答えしますと、サムエル様が微妙な表情でこちらをじーっと見つめてくださっています。
「君らしいな」
「? ええ、次期王妃ですから」
皆様が良い場所をお願いする前に用意してくださりました。とても喜ばしいことです。サムエル様が次期国王なだけでも素晴らしいのに、王宮で働く方々も素晴らしい方々で私は幸せ者です。
サムエル様がルイーズと私を交互に見比べると少しだけ微笑んでくださったような……ええ!? 二人きりの時それしてくださりませんでしたよね!
やはりサムエル様。私相手だと緊張して表情が硬くなる?
ウサギさん緩和効果。素敵。
私はルイーズを抱きかかえたまま一歩サムエル様に近づきます。サムエル様は何か不思議なものを見るかのように私を見ています。
「何か?」
私がサムエル様を見つめると、サムエル様は小声で「やはり睨む表情か」と呟かれたような気がしました。
え? サムエル様ルイーズの表情がお分かりで?
「ローズ。君は動物と触れ合っている時の方が…………いや、いい。やっぱりやめておく」
サムエル様は私の頭に手を乗せ二度ほど撫でてくださりますと、また窓の外を向いてしまいました。
え? 今まで私撫でられたことないんですけど何があったのですか?
室内には窓の外を眺めるサムエル様とその傍らにたたずむ私。私に抱えられるルイーズ。ソファに座り込むルーツィアとその横でルーツィアとお喋りしているシュザンヌ。
やはり、サムエル様。ウサギさんパワーで甘々になられているのですね。
これは利用しなくてはいけませんね。
「サムエル様、何故こちらに来ようと自ら言われましたのにルイーズのことを構ってくださらないのですか?」
「あ、いや俺はだなルイーズよりも…………ルイーズと触れ合っている時の…………コホン。あまり変な質問をするな。お前のペットなら俺のペットでもある。様子見くらいする」
「ふーん。そうですか」
これはニマニマが止まりませんね! ええ? それってつまり私達二人と一羽はもう切っても切れない家族ってことじゃないですか。ふふん。家族でしたらご寵愛も多少は共有してあげても宜しくてよ。
私がルイーズを撫でる腕が止まらなくなり、途中からじたばたし始めたルイーズを優しくベッドの上に置いてあげますと一気に部屋中を走り回りました。
「仕事ですか」
そう呟いたルーツィアが、ルイーズが変なことをしないか監視を始めます。
ウサギさんが部屋を駆け回る姿を見守りながらシュザンヌがお茶を用意してくださりましたのでお飲みにありますと、サムエル様が同席されました。
「サムエル様もどうですか?」
「ウサギが走り回った部屋では飲めない」
「でしたら私の部屋に戻りますか?」
「君の部屋?」
サムエル様は何か考え込み、それならここで貰うといい、夜までお付き合いしてくださりました。
タイトル変えたいって思ってます。
案は「脳みそユルいよローズちゃん」が第一案なのですが、もはやこれなんの話ってタイトルなんですよね。
最近、なんかタイトル違うなって思っている今日この頃
今回もありがとうございました。