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19話 ウサギ小屋建築①

 王宮に戻り、小屋のないウサギさんを一晩だけ客室にお預けすることになりました。


 ユルシュルとシュザンヌは私専属の為、お二人の知り合いの女官さんに世話係を頼むことになったそうです。


 今はその人が来るまで私とサムエル様は客室でウサギさんの様子を見ていました。


「そういえばそのウサギの名前はなんていうんだ?」


 珍しくお隣にいらっしゃるサムエル様がウサギさんを見ながらつぶやきました。


 いつもでしたらすぐに執務室に戻られますのに…………サムエル様、私よりウサギさんの方がお好き!?


 まあ、それはありませんね。こんなおしどり夫婦になる予定の私達なのですから。私が愛でるものは無意識に愛でてしまうのでしょう。そうに違いありません。


「ウサギさんの名前? そうね。アンジェリカなんてどうかしら?」


「アンジェリカ。近年まで君臨していた暴君の女王か」


 誰それ。暴君? 嫌よこの子にそんな名前。もっとこうお淑やかそうな印象の名前にしましょう。


「……でしたら、ルイーズはどうでしょうか?」


「特に暴君の名は思いつかないな」


 何故、サムエル様は暴君基準なのですか? サムエル様のご趣味でしょうか? なればいいのですか? この清らかなローズちゃんが? あなたが望むならやってあげますよ?


「それではルイーズ。しばらくはこちらで我慢してくださいね。あなたのおうちは私の実家より立派にしてあげますわ」


「やめてくれ」


 私がルイーズのことを撫でていますと、サムエル様が不思議そうにこちらを眺めています。やはりそうなのですね。


 私はルイーズを抱きかかえながらサムエル様の方に近づきます。ちょっとおデブちゃんですねこの子。まあ可愛いのですけど。


「サムエル様も撫でますか?」


「…………ふむ」


 サムエル様のお手が、ルイーズの頭に重なり、ゆっくりと動きます。


 ぎゃあああああああああああああああサムエル様がルイーズを撫でているぅううううううううううううううう!


 心臓が、心臓が毎秒破裂する。危険ですよこれ。鼻血出ていませんよね?


「凄い顔をしているぞローズ。眉間にしわが」


 え? 眉間にしわ? 美顔にピュアの聞き間違いでしょうか? 確かに私の美顔と私のピュアさは親和性が高いと思いますが、何故今?


「今更、私の表情のことなどどうでもいいですが、近いうちにルイーズのおうちを建築しましょう」


 ルイーズの世話役を請け負う女官さんが到着し、ルイーズのことをお願いすることになりました。


「それではルイーズをよろしくお願い致します」


「ルイーズ? ああ、このウサギの名前ですね。ルイーズね。ま、悪い響きじゃないですね」


 少しだけ強気な態度の彼女は、サムエル様のお話ですとユルシュルやシュザンヌと一緒に六年前に大国から訪れた方だとお聞きしています。


 黒髪に近い茶髪に青い瞳の女官さんは、ため息交じりに何度も小さな声でルイーズとお呼びしながらウサギさんを撫でていました。


 ため息からは嫌悪感ではない、どこか寂しそう感情を醸し出している彼女がなぜか瞳に焼き付いたまま、その日は眠りにつきました。


 翌朝、ユルシュルとシュザンヌを連れてウサギさんのいる客室に向かいますと、女官さんが餌を与えていました。


「おはようございますローズ様」


「ええ、ルイーズは元気かしら?」


「たくさん食べますねこのウサギ」


 あら? ルイーズとお呼びしてくださらないのですね。


 昨晩は何度もそうお呼びしながら頭を撫でていらしたのに。


 女官さんは私にルイーズを突き出し、私はルイーズを抱きかかえました。


「そちらの方がウサギも喜びそうでしたので」


「ええ、そう」


 私がルイーズを受け渡され、抱きかかえる

様子を微笑まそうに見ているユルシュルとシュザンヌ。


「何ですかあなたたち」


「いえー? こういう姿こそたくさんサムエル様にお見せしてくださればとは思っていますが、今は我々幸せです」


 ユルシュルが笑いながら答え、シュザンヌと顔を見合わせる。何よそれ。


 ですが、サムエル様には毎秒見ていて欲しいです。あ、心臓が足りませんね。増やさないと。

ローズ様は女官のことなんてちょっと変だなくらいにしか思ってないけど

このことは仲良くなるので多少は掘り下げるつもりです!


そんなことよりサムエル様ともっとローズをぶつけないと!


今回もありがとうございました。

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