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14話 視察⑥

 朝食は適当に済まし、サムエル様と一緒に街の様子を見に行くことになりましたが、これはひどいですね。


「さすがにこれはいけないな。ローズ、馬車から降りたりするなよ?」


「わかっています」


 茶色くて丸い粒が散乱しています。端的に言えばウサギさんのフンです。そこら中にびっしりあります。


 ウサギさんたちを追い払った後、街はフンまみれ。それを掃除する人たちでありふれています。


「サムエル様、これは少々ではなく、大問題なのではないでしょうか?」


「全くだ。農作物の被害から駆除に掃除の時間まで取られている」


 これがどなたかが、わざとこの街に大量のウサギを放っているとすれば一体何が目的なのでしょうか?


 サムエル様は犯人の目星がついていらっしゃるそうですので、私はこの問題の解決策でも考えれば、サムエル様にいい子いい子して頂けるかもしれない! やる! ローズやります!!


「サムエル様、この視察中にこのウサギさんの駆除とフンの掃除問題。私が手伝っても宜しいでしょうか?」


「別に構わないが、明後日には別の領に視察しに行くんだぞ?」


「え? あー、そう。それでも! いる間くらい何かすべきです。まさか女の出る幕ではないと仰るつもりですか?」


 わかっていますよ? ローズの手を煩わせたくないのですよね! ですが、ウサギさんのことたくさん考えていたいのです! 合法的に考えていたいのです!


「君は挑発しないと喋れないのか? まあ、いい。領民の為にもなる。であれば俺からも止める理由はない」


 ありがとうございますサムエル様。お優しいのですね。もう、惚れなおし何回目でしょうか? 今日だけで千回目ですね。頭の悪い数字。


「では好きにさせて頂きますね」


 私はとにかく外の様子を観察します。フンを箒で掃いてる人や水をかけて流す人。


 うーん、わっかんない。そもそも素人の私が今から解決ってどうなの? できるものなの? 素直に手伝うだけにしておこうかしら?


 ハッ!? それではサムエル様になでなでして頂けません。約束していませんが、きっと私のことが大好きなサムエル様は私のことをなでなでしてくださるに決まっています。


 では真剣に考える所よね。私ってやればできる子。そう、やればできる子。


 まずウサギたちの放流。そもそもこれをどのように行っているかが問題ではなくて? これさえ止めてしまえば農作物の被害もフンの被害もなくなりますし……解決、そうよこれ!


 全く案がありませんが行ける気がします!!


「それではサムエル様、このフンまみれの街の掃除を手伝いますので、サムエル様はお好きに視察していてください」


「いや、街の掃除を、それもウサギのフンの掃除を手伝う王太子妃がいるものか」


 ご尤もなご意見ですが、やはり街中を見なくては対策の立てようもない気がしません? あるいは、ウサギさんたちがやってくる方向を調べるとかでしょうか?


 ですが、やはり街中を真剣に観察すべきですわ。あと、駆除漏れのウサギさんと触れ合いたいです。


「私が手伝うというのがそんなに不思議ですか? ええ、そうかもしれませんね。そういう風に見えていないのは重々承知です」


 そう、私って箒も持てなさそうなくらい華奢ですよね。掃除の手伝いが以外なのはよくわかりますわ。


「民をカーペットにするとかそういう暴挙だけは控えてくれよ?」


「?????????????????」


 すごい聞き間違えをしましたが、まあいいでしょう。何を言っているかわかりませんが、きっと激励を言おうとして噛んだのですよね。可愛い。


「良いでしょう。お望み通り頑張らせて頂きます」


「俺の言葉通じているのか? おかしい、言語は同じように感じるのだが」


 ええ、通じていますとも。通じ合っていますとも。私とサムエル様の心と心が。

この作品サブタイトル楽で助かってます。


今回もありがとうございました。

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