クエスト(1)
「クエストを選ぶときは、『メインクエスト』と『サブクエスト』で選ぶのが基本……です。 ですがマシロさんは初めてのクエストなので、今回は『メインクエスト』だけにしておきましょう……」
ラビが選んできたのは『害獣討伐クエスト』のパーティーメンバー募集のチラシたっだ。
討伐対象はスライムなどの低ランク魔獣や、魔力は帯びていないが畑を荒らす恐れのある熊やイノシシなどの獣である。
地元の農業系ギルドによって定期的に発行される達成難易度は『Dランク』に設定されている。
普通はこう言った『メインクエスト』で経験を重ねつつ、薬草集めなどの『サブクエスト』で報酬を稼ぐことが基本になるのだが、慣れない間は『メインクエスト』に集中することがギルドからは推奨されている。
「マシロさん、……どうやら私たちで人数がそろったみたいなので、早速打ち合わせに向かいましょう……!」
「はい! いやあ、緊張しますね!」
「……今回は初めてのクエストということなので私がサポートします……が、次からは一人でも挑戦できるように少しでも慣れて下さいね」
マシロがラビの案内に従ってカフェの一角に向かうと、地図を広げた冒険者達によって既に打ち合わせが行われていた。
話し合いの内容は「このあたりは危険種が出る可能性があるので避けよう」とか「この間、このあたりでスライムの群れが発見されたらしい」などの情報交換や、「私は攻撃魔術が使えるから後衛でアタッカーをやりたい」「なら、前衛は防御能力のある俺に任せろ!」などの役割分担が行われていた。
すでに何度かパーティーを組んで行動したことのある面子だったらしかったが、ラビとマシロが近づいていくと「おお!? ラビちゃん先生だ!」「みんな、よろこべ! 今日の助っ人はなんと、ラビちゃん先生らしいぞ!」とはしゃぎだした。
どうやらラビはこのあたりではそこそこ有名な存在だったらしい。
「みなさん……こんにちは。 今回私はサポートです。 主役はこのマシロさんなので……」
「はい。 私は転生者の水音 純白と申します。 本日はどうぞよろしくお願いします」
「ああ、いいよいいよ、そんなに堅くならないで! 私たちもみんな冒険者としては初心者だから。 私はこのチームのリーダーをやっているウイスタリア。 みんなは『ウィス隊長』って読んでくれているけど、マシロちゃんは好きに呼んでくれればいいよ!」
「オレは、サブリーダーをやってるミッシェルだ。 耐久力には自信があるから、困ったときは盾にしてくれてもいいんだぜ!」
「ミッシェルさん、ただのドエムのくせに格好つけないでくださいよ! あ、僕はこのチームでは索敵や参謀をやっているスミスだよ! マシロちゃん、よろしくね~!」
「それじゃあみんなそろったことだし、そろそろ出発しましょうか!
マシロさんは今回は見学でも大丈夫ですよ。 ラビちゃん先生は、いつも通り中衛でサポート役でお願いします!」
チームリーダーのウイスタリアが皆に声をかけると、それぞれ「オウ!」「はーい!」「……わかりました」「はい! 頑張ります!」と声を上げて先頭を行くウイスタリアについてギルドを出発した。
こうして、マシロにとっての初めてのクエストが幕を開けたのだった。




