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角兎討伐クエスト(2)

 正式にクエストを受注した四人は、その場で祝杯を挙げようとするレトリーをたしなめながら、角兎が出るという農場へと向かうことにした。

 王国の城を出て、しばらく歩くと都会風な景色はすぐに、道と畑しかない風景へと切り替わる。


 城門が小さく見えなくなるぐらいまで歩くと、スミスが立ち止まり、背負っていたバッグを下ろした。

「それじゃあウィス隊長、手はず通りに進めます。みんな、準備を手伝ってください!」

 スミスはバッグから、いくつかの金属片を取り出して、道から少し離れた場所に無造作に放り投げていく。


 カチッカチッ……


 地面に落ちた金属片は、磁石で引き寄せられるように自動的に組み上がっていく。

 あっという間に、高さ一メートル程度の不思議な形をした魔道具が組み上がった。

 その様子を黙ってみていたウィスは、装置ができあがるのを確認してからスミスに問いかけた。

「スミス、これは……?」

「ウィス隊長、これは小型の魔物を捕らえるための罠です。魔物が好む波長の魔力を発信しているので、魔物が集まってくるはずです」

 ウィスが聞くと、スミスは自慢げに装置のことを話した。

 それを聞いて、ミッシェルとウィスは、それぞれ疑問に思ったことを、首をかしげながら聞いた。

「なあ、集まった魔物は、どうするんだ?」

「ミッシェル、そんなの決まってる。皆さんにお任せしますよ。屠殺(とさつ)機能は実装していませんからね」

「集めると言いますが、どの程度集まるのですか?」

「ウィス隊長、それは……正直、わかりません。もしかしたら、数匹集まるだけと言うこともありますし……」


 口を濁すスミスの様子に嫌な予感がしたマシロは、視野を広げて農場全体を見渡した。

 強化された視力によって得られた、高い場所から俯瞰するような特殊な視界には、何事もない平和な農場が映っていた。

「……よかった。馬鹿みたいなことにならなくて」

 思わず本音が口から漏れたマシロを見て、ウィス、スミス、ミッシェルの三人は呆れたように表情を崩した。

「マシロさん、スミスのおもちゃに期待しすぎだよ!」

「ウィス隊長、おもちゃはひどい……確かにまだまだ未熟は承知だけどさ……」

「そうだぜ。大体角兎ってのは、その角で地面を掘って生活しているって聞いたことがある。仮にこれから出る魔力が地上すべてを覆い尽くしても、土の中にいる兎どもが気づくまでには時間がかかるはず……」

「ちょっと待って、ミッシェル。それは違う。魔力って、空気よりも地面の方が伝わりやすいんだよ!」


 馬鹿にしようとしたミッシェルに、スミスが反論をすると、ミッシェルは「そうか、知らなかった……」と素直に謝った。

 そんな様子を見て、マシロは背中に冷や汗が流れたような気がしていた。


「あの、皆さん。どうにも嫌な予感がするんですけど……」

 マシロがウィスの顔を見ると、彼女もどうやら同じような直感を抱いたらしい。

 引きつった笑顔が張り付いていた。

「いや、マシロちゃん。そんな縁起でもないこと口にしないで……」

 ミッシェルとスミスも、そんなやりとりを見ながら「ハハハ……」と乾いた笑い声を出しながら、恐る恐る装置の方に目を向けていた。


 カタカタと、地面が軽く震え出す。

「地震……でしょうか」

 地球の日本が出身で、地震を身近に感じているマシロが、最初にその揺れに気がついた。

 だがすぐに、このタイミングであれば、そうじゃない可能性が高いことに気がついた。

 それはまるで、大量の生き物が地面を掘り進んで来た結果、少しずつ地面が盛り上がっているような……


「みんな、気をつけて! ……スミスの馬鹿っ! 来るよ、みんな気をつけて!!」

 ウィスの、罵声混じりの警告が三人の耳に届いた瞬間、装置の真下の地面が盛り上がり、そこから大量の角兎が姿を現した。

お久しぶりの更新なので、矛盾とか文体のずれとかあるかもですが、大目に見てください。

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