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メドウズ スクール ライブ  作者: 水猫
第一章 田舎編
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動揺

家についた春樹は部屋に入ってゴロンと寝転んで天井を眺めた。あーまだ心臓がバクバクいってる。女の子と一緒に帰ったのも家に行ったのもあんな顔近づけられたのも生まれて初めてだよ


6時を回って風呂が沸いたので風呂に入った。そして夕飯の時間になりまた3人で夕飯を食べた


「春樹くん、今日はちゃんと残って勉強して偉かったね。あのあと夏樹の家に遊びに行ったんだって?今日は珍しくお父さんが帰ってくる日だったから桜田さんのお父さんにきいたよ。夏樹と遊んで楽しかった?」


「あ、はい」


春樹は顔をなかなか合わせづらかった。なぜならもう耳たぶは真っ赤だったし、あの状況を思い出しただけでおかしくなりそうだったから


「あー、また夏樹がなんか変なこと言ったりやったりしたの?」


「いえいえ全然!な、なにも、なにもありません!」


春樹は顔を上げて安藤さんの方を見るとものすごい勢いでそれを否定した。安藤さんはこの嘘が下手な春樹の様子をなんとなく汲み取っていた。ああ、これはまたなにか夏樹がやったな。けど今回はひどいことをした感じではない。けど春樹くんがこんなに全力で否定するってんーなんだろう?


「そっかー、あいつ結構アホなやつだけどまあ多目に見てやってね。悪いやつじゃないし、悪気があってやってるわけじゃないからさ」


「いやいや、それはもちろん!わかってます!」


「どしたの?顔真っ赤だけど」


「いえ、お風呂から出たばっかりなので!」


春樹は興奮したようにそう答えて急いで食事を済ませると自分の部屋に戻った。逃げるように出て行った春樹を見て安藤さんはどうしても理解ができなかった


「ん?春樹くんどうしたんだろう?なんかあったのはわかるんだけど、いまいちわからないな」


「うふふ。あなたも鈍い人ね」


奥さんがそう言って食器を片付ける。鈍い人?妻にはなにがあったのかわかっているのか?んー自分が鈍いのか、この妻の直感が鋭いのかわからなかったがどうしてもなにがあったのかは推測できなかった


春樹は歯を磨いて布団を敷くと布団にすぐさま入った。まだ寝る時間ではなかったけど、どうしても布団に蹲ることしかできなかった



一方その頃、こちらは桜田家


「夏樹、どうしたんだ?箸が全然進まないじゃないか?」


「いやなんか今日ちょっと食欲なくて」


「食欲がない?夕飯はいつも嬉しそうに食べるお前がか?どうした?顔も赤いしなんか熱でもあるのか?」


父親は夏樹の額を触る。夏樹はびっくりして父親の手を振り払った


「い、いきなり触んないでよ!」


「ん?ああ、そうだな、すまん。」


夏樹が取り乱したように慌てているため、なにがあったのか理解できなかった。んーこの様子だと絶対何かあったんだけどなあ


そうこうしていると母親と海斗が家に帰ってきた。今日は深夜遅くまでかかると思っていたのだが意外と早く終わったらしい


夏樹は二人をみるとなにかギョッとしてそこからすぐさま離れた。ごちそうさまーという声と共に食器を片付け部屋にもどった。これは怪しい。あいつ絶対何か隠してる。父親は様子をみて感じ取った


「ああ、母さん、海斗、お帰り、実は夏樹がさ」


父親は今までの経緯を二人に説明した。どこでどうなってどういう状況だったかのかを


「な、怪しいだろ?あいつ絶対何か隠してるだろ?」


「はあー、これだから父親って娘に嫌われんのよね」


「え?なにが?」


キョトンとした顔しながら二人を見ている。ん?母さんは何かに気付いているのか?


「父さん、それで夏樹にそれ以上何か問い詰めたりしたの?」


「いや別に?海斗、お前なんか知ってるのか」


「いや実は」


海斗はとりあえずその場で思いついた嘘の話を父親にした。実は夏樹が前から家で一人で自分で内緒で猛勉強をしていて、成績が上がった時にびっくりさせようと兄以外誰にも内緒でやっていたからそれがバレそうになって慌てたのだと


「なんだ、そんなことだったのか?あ、だから今日あの春樹くんって友達がわざわざ一緒に夏樹の勉強を見てくれたんだな」


「でしょ?だからもう夏樹に変な詮索しないであげて。かわいそうだから」


「そうだな、わかった。海斗ありがとう。わざわざ教えてくれて。俺も知らなかったことにするよ」


そう言って居間から出て行った父親。海斗と母親は顔を見合わせ吹き出してしまった


「あんな単純な嘘に騙されるなんて、やっぱり親子ね」


「夏樹もバカだな。もう少し上手にやればよかったのに。いくら誰もいないからって玄関の隣の部屋だったらだれかくる可能性があるだろ。はあ、我が妹ながら情けない」


安藤さんの奥さん同様、海斗と母親はなにがあったのか大体は想像がついていた。そもそも年頃の男女が二人で家にいて父親が帰ってきてそこまで顔を真っ赤にして取り乱すなんて、まあ大体は想像つくだろう。


夏樹は風呂から上がりパジャマに着替えてベッドに横たわるとこれまた抱き枕をギューと抱きしめながら悶えた。あーもう、なんでこうなっちゃうかなー。というか明日春樹とどんな顔して会えばいいんだろう?泣かして帰らせた時よりよっぽど顔を合わせづらい状況を作ってしまった。


「ま、いっか。明日になったら忘れてるだろうし、普通に話せるよね」


そんな楽天的な考え方で夏樹は眠りについた。頭は悪かったが切り替えるのは上手でまたいつもどおりの生活ができそうだ。しかし春樹は何時になっても寝れないほど心臓のバクバクが止まらず、ずーっと今日のことが脳から離れなかった


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