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メドウズ スクール ライブ  作者: 水猫
第一章 田舎編
4/69

教室

「そういえば1時間目はなんだっけ?」


「あー、今日は国語だよ。というか夏樹ちゃん、また教科書忘れた?」


「へへーやっちゃった」


どうやら夏樹は教科書忘れの常習犯のようで、毎度同じように教科書を忘れていた


「先生!すみません!教科書忘れちゃって。」


「夏樹!またか!じゃあ春樹くんと同じ学年だから、春樹くんの予備を持ってきたからこれを使いなさい」


先生はそういうと夏樹と春樹に教科書を配った。そして授業が始まった。どうやらこれだけ人数が少ないと通常の授業は無理のようで複式学級になるようだ。そしてそれぞれが自習を行い、上級生が下級生に教えたりする


「なるほどな、これは田舎あるあるな光景か」


とりあえず春樹は渡された問題集を解いていく。問題集をやるのは特に苦ではなかった。ただ、なんとなく春樹は夏樹に苦手意識を持っていた


1時間目が終わると休み時間に入った。田舎の学校生活の幕開けか。そしてお約束のように夏樹が春樹に絡んできた


「ねえねえ、春樹はさ、なんでこの中学に転校してきたの?それに親と一緒じゃなくて安藤先生の家にさあ」


「いや、別に、まあ前の中学の事情で」


春樹は夏樹の質問が怖く、そして嫌でたまらなかった。自分がいじめられていたなんていいたくない


「へっへーもしかして集団で省きにあったとか?あるいは問題児で学校を追い出されたとか?」


夏樹の確信をついた問いかけに春樹はドキッと、そしてグサッときた。ま、まずい、ここはどう対応したら


「夏樹ちゃん!」


秋奈が怒ったように強く夏樹に注意をする。いくらなんでも干渉しすぎだ


「いきなりそんなこと言ったりしたら失礼でしょ!?春樹くんには春樹くんの家の事情があるんだから、そうやって勝手に自分の妄想で決めつけないの!」


「‥そうだよ、夏樹。ちょっとずけずけとものを言い過ぎだよ」


秋奈に続いて美冬も夏樹に口を出す。夏樹は不服そうな表情を浮かべてこう返した


「ぶー、別にいいじゃんそんなのあたしは春樹にきいてるんだからさっ、ね、春樹?」


春樹の表情から笑みが消えた。そして春樹はいてもたってもいられなく、無言で教室をでた。春樹にとって夏樹は恐怖の対象でしかなかった。確信をついただけでなく、実は夏樹は顔もそうだが態度と雰囲気といい、春樹をあのいじめの生活に突き落としたきっかけとなった女子グループのリーダーによく似ていたのだ


「あっ、春樹?」


教室を出ていった春樹を夏樹は引き留めようとしたが、そのまま春樹は廊下へ出て下を向いて俯いた。涙が出そうになるのを必死に堪え、そこに立ち尽くしてた


そうすると、安藤さんがやってきて春樹をみて驚いた。いったいどうしたのだろう?


「春樹くん?」


安藤さんは恐る恐る春樹に話しかける。春樹は俯いて顔をあげようとしなかった


とりあえず安藤さんは何も言わず春樹のてを引いて教室から離れた。そして職員室まで連れていき、事情を聞いた


「春樹くん?何があった?ゆっくりでいいから話してくれないかな?」


「はい、実は」


春樹は泣きそうになるのを堪えながら、安藤さんに事情を説明した。特に前の中学であったことを公にはしなかったが、話を聞くと安藤さんの表情が強張った。ああ、あのバカ!正直少し心配はしていたが、まさか転校初日にこうもずけずけとものをいうとは


「事情はわかった。とりあえずさ、今日はもう帰る?家まで送って行くよ。家でゆっくり休んでいな。」


春樹はこくりとうなづくと、そのまま安藤さんの車で家に帰った。安藤さんは優しく春樹に表情を向けていたが時折険しい表情も浮かべていた。そして家に帰り、部屋に着くと、春樹は布団の中で泣き出してしまった



その日1日、春樹は何をしたのか覚えてなかった。ただあいも変わらずやはり自分にとってどこにいっても学校というのは地獄だということを再認識させられただけだった

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