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メドウズ スクール ライブ  作者: 水猫
第一章 田舎編
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新しい生活

「ああ、キャリーバッグがあったね。じゃあさ、それは後ろのトランクに積もうか」


安藤さんがそう言って車のトランクを開け、春樹のカバンを中にしまった。車のドアを開け、春樹は中に入った。クーラーが効いていてとても涼しい


「そういえば雪村くんは中ニだっけ?うちにも同じ中ニでうるさいのがいるけどよろしく頼むよ」


「あ、はい・・・。」


春樹は少し下を向いて遠慮がちに返事をする。新しい生活はどんな風になるのだろう?またいじめにあったりしないか?無視されたりしないか?喜びや楽しみより不安の方がはるかに大きくのしかかっていた


安藤さんが車を走らせるとようやく家に着いた。駅から二十分ほどの距離だったが、信号も全くなく、辺り一面緑模様でしかないこのような田舎にとって、正確な時間ではなかった


車から降り、トランクを開けてカバンを出す。家を見るとそれはそれは大きな立派な家だった。一回建であるが、横幅がとても広く、屋根は瓦屋根で木造の造りで駐車場もあった。庭には家庭菜園があり、トマトやキュウリや大根などがなっていた。


「ただいまー」


安藤さんがドアを開けて家の中に入る。やはりこれくらい田舎だとインターホンなどは必要もなく、ないようだ



「あ、お父さん、おかえりなさい。あら?その子が今日からうちに来る子ね。ささ、上がって上がって」



「お邪魔します。雪村といいます。今日からお世話になります。よろしくお願いします」


春樹はぺこりとお辞儀をすると家の中に入った。辺り一面山と田んぼしかないこの辺鄙な田舎に来てしまったことが、未だに実感が湧かなかった。蝉の鳴り止まずに鳴いていることから、夏休みの合宿に来たようだった



安藤さんの奥さんに案内され、春樹は奥の部屋に入った。やたらと広い畳の部屋。12畳はあるだろうか?春樹が前に住んでいたのは6畳部屋だったのでどうも落ち着かない


「ごめんね、こんな部屋しかなくて。前に子供夫婦が住んでいた時に使ってたんだけど。まあ最初は落ち着かないだろうけど、徐々に慣れていくと思うからね。あ、あと夕飯は六時ごろに食べるからその前にお風呂に入っておいてね。まあ今日はゆっくりしていって」



そういうと奥さんは自分のいた部屋に戻っていった。時刻は三時を回っていた。春樹はカバンを置いて部屋を見渡した。



部屋の隅には古ぼけた勉強机があり、あとは本棚がいくつか並んでいて、難しそうな本ばかりが並んでいる。書庫として使っていたのだろうか?



春樹はゴロンとして床に仰向けになって天井を見上げた。未だにここに来た実感がなかった。なんだか今まで学校に行っていた時間が夢物語のように感じる



「学校か・・・」



ここの学校がどんな学校かは知らないけどとりあえず乗り気はしなかった。もう学校という言葉を聞くだけで嫌だった。学校に対して辛い思い出しか春樹には思い浮かばなかった。



春樹はとりあえず、カバンから携帯ゲームを取り出してそれをやった。外に出て何かする気は起きなかった。家の中や周囲を見学することをしようかとは思ったが、それよりも今は不安を消し去りたかった


あっという間に夕方になって五時を回った、春樹はゲームに夢中で気づかなかった。そう、田舎なので時間をしらす鐘などもなったりはしなかった


「失礼します。お風呂が沸きました。春樹くん?どうぞお先にお入りください」



奥さんが奥さんは襖の向こう側から春樹に伝えた。春樹はゲームをやめ、着替えを持ってお風呂に入った。これはまた立派な大きな風呂だった


風呂から上がると、食卓に食事が並べられていて、二人が座っていた。夕飯はどうやら天ぷらとそばだった


「これは今日うちで取れた山菜を天ぷらにしたんだよ。ささ、おあがり」



「ありがとうございます。いただきます」


春樹は食事にありついた。田舎で取れる山菜のてんぷらは東京で食べる野菜より格別に美味しかった。



「どう?おいしいかい?」



「はい、うまいです。」



「それはよかった。まあ明日から学校にいくんだけど、もし不安だったら何日か休んでもいいからね。困ったことがあったらなんでも相談してね」



「あ、ありがとうございます。」



安藤さんはにっこりと笑うと春樹に何も聞かなかった。春樹は二人がなぜ自分に何も聞いてこないのかよくわからなかったが、ただありがたかった。今は誰とも話をすることもしたくなく、食事をすませると歯を磨き、再びゲームに夢中になった



「教科書、持ってきたけど、多分違うのかな?進み具合、まあ、今日はいいか」



夜九時をまわり、春樹は布団を敷いて就寝した。本当はまだ寝ている時間帯ではなかったのだが、環境が変わったことや、気づかれしたこともありすぐに眠りについた。明日から学校か。こうして春樹のこの田舎生活は幕を開けたのだった


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