01 概知との邂逅
人間の間では私等人間ならざる者達にクラス分けをしているのだそう。
無害なものから順に妖精級、悪鬼級、帝龍級、天災級と分けられているそうで妖精級は人間と友好な者達から一般的な人間の成体が一人で倒せる程度、悪鬼級は戦闘に慣れた人間達が徒党を組んで倒せる程度、帝龍級は人間で言う所の大都市が砦を築き満身創痍になりながらギリギリ防衛が成功出来る程度、天災級は自然の摂理だから諦めて祈るしかない、というものらしい。
そして私はその天災級に区分される・・・らしい、3000年程深い森の山中で寝ていたら勝手にそう呼ばれていたのでそういうものなのだろう、確かに寝ぼけて私はその森の生物、魔物あたりを片っ端から食い散らかしてしまった気もしなくは無い。時に移動して街一つや二つ丸ごと食べてしまった事もあるだろう。
だって起きたら森の中に虫一匹たりとも居ないのだから多分、恐らく、きっとそうなんだと思う、だって空腹に耐えかねて起きてしまったのだから。
私の容姿は森を覆う霧である、獲物を捕食するには霧を凝固させ口を作り出しぱくっと丸呑みするという手段を取っている。まぁ寝ぼけてぱくぱくやっちゃったアレである。
取り敢えずお腹を満たすために行動しますか!と思ったら霧に何かが侵入してきたみたい。ラッキー!
あっ・・・あれ?7つぐらいの反応があったのに6つは1つを残して逃げるように去っていちゃった・・・?なんでだろう?1つ食べるだけじゃお腹膨れないんだけど・・・、まぁなんか捨てられたみたいだから確認してみるかな?
人間?かな?諦め切った表情で涙を零す明るいブロンドカラーの腰まである髪が特徴的な人間の雌が大木にロープで張り付けにされてるんだけど、ちょっとアレを食べるのは起きてる状態じゃ流石に無理かな・・・私にだって良心ってのはあるんだよ!寝ぼけてやっちゃったのはノーカン!私は悪くない!
取り敢えず話しかけてみるかな、えっと人間ってどんな形だったっけ?ううーむ・・・あっ!目の前にいるじゃんね、この人を真似して人型になろう。霧で身体をなぞって・・・こんな感じかな?よし出来た!
「ねぇ?あなたはなんで泣いているの?なんでこんな所にいるの?」
「・・・え?わたくし・・・?なんで裸のわたくしが目の前にいるのかしら?ああ、そういう事ね、最後にわたくし自身を見せつけてわたくしがしてきた悪事を振り返れって事ね・・・冗談じゃないわよ!全部あいつの捏造じゃないのよ!わたくしなにも!なにもしていないのに!・・・普通に暮らしていただけなのよ・・・なんでなの・・・?なんでわたくしなのよ・・・」
「えっと、聞いてますか?あのー?」
「だいたいあいつはわたくしという許嫁がいるというのに他の子に熱を上げちゃって、その結果あの子になにを吹き込まれたのか知らないですけど国家転覆罪の容疑で帰らずの森の流刑なんてあんまりですわ・・・霧に食い殺されるって言われてる虫一匹さえ見つからない有名な森なのよ?・・・わたくしなにもしていないじゃない・・・」
あっダメだ全く人の話聞いてないよこの人、でもなんかおおよその経緯はわかったからいいかな?でも私に帰らずの森なんて呼び名がついてたの?寝てただけなんだけどね?まぁ取り敢えず
「話聞けやッ!!!」
「!?!?!?」