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In to ダークストーリー  作者: ハゲチラシ
第2章 闇に潜む魔女
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第21話

ガチャっと音がして本棚で両脇を囲まれた静かな部屋に新たに2人、部屋の主人と客人が入ってくる

男はそれを初めから知っていた、否当然の事だと言わんばかりに素知らぬ顔をしたまま紅茶をすすっていた

入ってきた部屋の主人であるルグドはそのまま男と向き合う形で応接用のソファに腰を下ろす

もう1人の男であるヴォルフもニヤニヤと2人の顔を見合わせながら紅茶をすする男の隣にドサリと腰を下ろした


「ルグド、久方ぶりだね、元気にしていたかな?」


初めの一言目は紅茶を飲み終えた男からだった

どこか上から言われているような気がして気分を害する者も多々いるであろうその一言だったが、ルグドは

”いつも通りだな”とそれを無視する


「エヴノフ、わざわざ貴様をよこすとは、さすがの第2支部も焼きが回ったのか?」


坦々と、かつ皮肉のこもった言葉で返す


「いんやいんや!そんなことはねぇぞルグドさん!うちの上は極めて正常で冷静さ!」


オレンジの頭をご機嫌に揺らしながらヴォルフが会話に入り込んで来る

それを見てエヴノフは、自分の言おうとしたことは全て隣の男が言った通りだとでも言うように黙ったままルグドを直視する


「なるほど、最も魔族との抗争の激しい第ニ支部の最高戦力であるエヴノフをよこすほど第六支部の管轄領域内に強力な魔族の動きがあるという解釈でいいな?」


「俺もおるで!ルグドさん!」


「間違ってはいない、ココを起点とした魔族たちの動きがあるのは確かだ、今回の王族種の襲撃もその一つだろう。」


しゃしゃり出るヴォルフを無視しエヴノフはルグドの解釈に付け足すように今回の襲撃の事実を確認し、結びつける


「まぁ、元々第六支部は各支部の中で兵の数も質も下から二番目だしなぁ、まぁ狙われるのは仕方ねぇわな」


どこか冗談のように聞こえるが、それはヴォルフの喋り方のせいだろう

全部で九箇所ある対魔族兵をまとめ上げる支部の内、ココ、第六支部は戦力において下から二番目と言われていて、

それは普段誰も口にはしないが、他支部の人間はもちろんのこと、第六支部の人間もそれを承知している

承知しているが故に第六支部の兵たちは他支部の人間にはじゃっかん攻撃的である


「だが、ココは防御に関しては我々第二支部の次に強固だ。それが今回たった一匹の王族種に突破されるはずがないだろう。」


「まぁ、そりゃそうだわなぁ!ってことはよぉ!内部に裏切り者がおるっちゅうことだよな!ルグドさん!」


ニヤニヤと嬉しそうに笑いながら男はそう問いかけて来た

だがそれは口元と動作だけで、その目は既に周りの人間に問いかけ始めていた


”誰を殺ればいい?”


火柱に鼻先を焼かれるようなメラメラとした殺気が部屋に広がっていく


「ヴォルフ、残念ながら貴様の出る幕は今回存在しない。」


炎の火元に水をかけられたように、ルグドの一言でヴォルフはその殺気を徐々に抑えていった


「なぁんだ、つんまんねぇなぁ。そんなのさっさと殺しちまえばいいだけやろ」


「それをすれば上の奴らが機嫌を損ねる。そうなると後が面倒くさいからな」


いつも通りの感情のない口調ではあるが、なぜか目の前の男をなだめているように聞こえるのは

ヴォルフという男がどれほど危険で扱いにくい人間であるかということの証明になるだろう


「で、ルグド、あんたのことだから既に間者は割れているのだろ?俺たちをよこした上の奴らとしてはそいつを直ぐにでも始末して組織の統率を崩さないようにしたいようだが…」


黙って2人のやり取りを見ていたエヴノフが言った


「あぁ、もちろん分かっている。だが俺の予想ではそいつは既に死んでいる可能性がある」


「それは困ったな、議会は恐らく見せしめとして形だけでも誰かを処分しようとするだろうな。ただでさえ兵が足りていないのだ、1人でも惜しい」


エヴノフは眉間に力を入れて軍服で隠れている顎を服の上から撫でる


「なるほどねぇ、だけんあの特攻隊員やぁが疑われとるんなぁ」


閃いたとばかりにポンっと手を叩いたと思うと

ヴォルフは自慢げにそう推理した


それを見て内心で若干の感心を抱くルグド


医務室前での兵士たちの話を聞いていたのだろう

現状を理解しているようだった


これでいて本質を理解し見抜く力の強い男である

併せ持つ戦闘能力の高さと怯まない闘志は兵士というよりも戦士の鏡である




「そーゆーことだ、そして今回の議会で真っ先に処分対象として話し合いに出されるのは状況と有用性から考えて042ではなく新兵のスグルだろう。」


「ほぉ…そのスグルという新兵が気がかりか…お前が名指しで呼ぶとはただの魔族ではないな、そいつ何者だ?」


済ました目でルグドを見つめて真意を問おうとするエヴノフの意思を受け取る


「俺が思うにスグルは魔人の類だ、恐らく強力な力を持つ」


帽子の影の中でギラリと瞳が怪しい光を宿した


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