ギャグマンガで世界は救えない
はじめまして&お久しぶりです。
久しぶりの投稿です。
楽しんでいただけると幸いです。
怒号と悲鳴が飛び交う戦場で目の前の一つ目の巨人、多分サイクロプスの横薙ぎに振るわれた棍棒っていうか丸太?が不可避の速度で迫ってくる。
あぁ、短い人生だった。
大体こんな最終防衛戦突破されましたって状況で勇者召喚してんじゃねえよ!
準備期間が無さすぎるだろ!
そういう場合は、リアルチート持ちのエリート勇者レベルを召喚しないとするだけ無駄だし召喚された方も犬死ですってもんだろ!
こちとらクラスカースト中間に位置する平凡すぎて存在感が無い一般ピーポーだぞ!
こんな異世界にいきなり召喚された上に
「勇者様お助け下さい、町に迫りくる魔物の群れを追い払ってください」
って言われたところで、渡された無駄に豪華な装飾が施された重いだけの剣と鎧を装備させられて最前線に放り込みやがっった。
どう見てもまともに動けないただの的にしかならねえよ。
それになんだよこのスキル欄に記されている《ギャグマンガ》ってどんなの能力だよこんな力で世界が救えんのかってこの力を与えてきた存在と話し合いたい。
ドゴォォォォォン!!!!
って悠長に回想してる場合ではなかった。
避けること敵わずっていうか回想して棒立ちだった体に棍棒が触れたかと思うと爆発したような音と衝撃に襲われ自分の体があっけなく空中に放り出され飛んでいく
キラーン!
そんな効果音が聞こえた気がした。
気が付くと俺を殴った巨人の背中に勢い其の儘にぶつかり、今度は巨人の方があり得ないほど吹っ飛ばされて空の彼方まで飛んでいき、星になった。
はて?
如何やら無傷のようだ。
何が起こったのだろう…、この鎧のお陰だろうか?ってそんなことは後回しにして目の前には相棒が星になってしまったもう一匹の巨人が棍棒を振り下ろす。
文字通り打ち付けられて体が地面に垂直に突き刺さるが特にダメージらしいものはない。
何となく《ギャグマンガ》がどう言うモノか分かって来た。
自分の関係した事をギャグマンガ的に変換すると言った所なんだろう。
だから致命的な一撃が、逆に相手を倒すような結果になったり明らかにつぶれるような先ほどの攻撃が無傷で下半身だけ地面に埋まる程度ですんでいるのだろう。
両手を使い穴から抜け出すと俺を殴った巨人がこっちを見て驚いている。
そんな巨人に近寄り、軽く突っ込む様に手の甲で叩いてみるとあり得ないほど効果音と共に吹っ飛んでいった。
魔物の群れ目掛けて地面を軽くポカッと殴ると地割れが起きて魔物たちをすべて飲み込んだ後まるで嘘のように地割れが消えた。
こうしてこの国の危機は去ったが、俺を召喚した王女は召喚に魔力を使いすぎて死にかけていた。
「ねぇ勇者様、どうかこの世界をよろしくお願いします」
遺言とばかりにそんなことを言ってくるが、そんな簡単に死んでもらっては困る。
ちょっとした思い付きといたずら心で彼女の胸を思いっきり揉んだ。
柔らかかった。
「なにすんのよ」
突如、彼女は立ち上がり思いっきりビンタを右頬に見舞った。
巨人の攻撃はダメージが無かったのにその一撃で、きりもみ回転しながら壁に激突し全身の骨が折れたのではないかと言う激痛と右頬の点滅しているかのような赤いはれに襲われたが、このまま倒れたらただの変態で終わってしまいそうだったので気力を絞りだして。
「元気になってよかった」
そう言って、意識を手放した。
目が覚めると見慣れた天井がそこにはあった。
「なんだ、夢落ちかよ」
布団から出ると朝食を終えて学校へと向かう。
ホームルームが始まると転校生を紹介すると担任が言い放つ。
突然のことにクラスが慌ただしくなるが、担任の一喝で大人しくなると共に転校生が教室に入って来た。
その瞬間、びっくりして心臓が止まるかと思った。
彼女は夢に出てきた王女にそっくりだった。
驚いている俺を見て彼女がニヤリと笑った気がした。
質問タイムを終えて俺の後ろの席に座るように担任が言い、彼女が近寄って来た。
ドキドキしている自分を悟られない様に平静を装っていたが、彼女がすれ違いざまに
「逃がしませんわよ、勇者様」
と俺だけに聞こえるように言った。
お読みいただきありがとうございました。
楽しんでいただけたでしょうか?
格闘系のギャグマンガによくある展開的な勇者像が浮かんだので書いてみましたが、こういった展開を文章で書くものではないですね。