第96話 エメリさんの笑顔
真神です。
スマホで読んでくれている方が多いと書きましたけど
つい想像してしまうんですよね。
あ、朝7時〜8時のページービュー数が多い。電車で読んでくれているのかな?
よし、そこでニヤつけ〜〜〜とか、ぶふっ〜〜って吹き出して
咳をするふりをしてごまかせ〜〜と妄想しています。
・・・・まっ実際にはややうけぐらいなんですけどね・・・チラっ
「お前の気持ちなんざどうでもええわい。
大事なのはエメリさんの気持ちじゃろ。
お前の事じゃ、どうせ俺なんかがエメリさんに告白しても・・・
どうせ俺なんか・・・どうせどうせじゃ。
自分から何も行動を起こさない奴に限ってタチが悪い!」
憤ったわしはもう止まらない。
「どうせ、素行が悪くなったのも全部自分を認めない他の奴が悪い、
自分のせいじゃない、自分以外の奴らが悪いのだとでも思ったのじゃろ。
自分がやった事に責任、反省できんような奴が前に進む事ができるわけないじゃろ。
そういうところがあのラ・メーンなんぞに付け入れさせたのじゃ。」
「・・・・・・・・」
マブシは顔の表情を見せないようにうつむく。
「どうせ、そのラ・メーンとかいう奴はお主を肯定し続けてきたのじゃろ。
お前は悪くない、お前は何も悪くないとな。だから俺にすべて任せろ。
何でもやってやるとな。
そういう事を言う奴に限ってお主を馬鹿にしておるのじゃぞ。
心の中では侮辱しておるのじゃ。だから、しかってくれる人、
忠告してくれる人をお主は大切しなければいかんのだ。
わかるな。わしの事を尊敬してもいいんだぞ?っていうか尊敬しろ。
師匠と呼べ。」
「おい、ジジイ。途中まではいい話だったのに最後は趣旨違ってきてるぞ。
お前をいい人に祭り上げてどうする。」
「そうですぞ、師匠。このジョコ、ゲタン殿より尊敬しております。」
「おおお〜〜いい。ジョコお前簡単にだまされるなよ。
俺!俺を師匠って呼んで尊敬しろよ!ジョコ。」
ちょっと涙目で訴えるゲタンが笑える。
「・・・確かにジジイの言った通りだ。
初めてラ・メーンに話しかけられた時も誰も俺を認めてくれない憤りからだった。
・・・・俺は罪をつぐなったらまだやりなおせるか?やりなおさせてくれるか?」
「うむ、その気持ちさえあれば、またラ・メーンにたぶらかされるような事は
ないじゃろう。」
わしがマブシの肩に手を置いて優しく声をかける。
「・・・・ありがとう・・師匠。」
「おお〜〜〜いいい。なに、マブシまで師匠。おいジジイまさかお前、
俺をつぶしに来てないよね?俺の牙城を突き崩すために来てるの?ねえ。」
とゲタンがしつこく聞いてくるので
「そうだよ〜〜〜。」
と可愛いダブルピースで応えてやったら
マジギレして外まで追いかけられた。
ゲタンを巻いた後、家に戻りみんなで楽しく昼食をとった。
※※※※
昼食後エメリさんに会い、マブシの顛末を伝えておいた。
マブシのエメリさんに対する恋心も、エメリさんをさらった動機なども
全部洗いざらい。
エメリさんは黙って聞いたまま、何もしゃべらずその場にたたずむ。
しばらくの沈黙後、わしは話かける。
「エメリさんはもてるのう。モテモテじゃのう。
わしもエメリさんを嫁に欲しいのう。」
ちょっと茶化し気味に言ってみたが反応はない。
よし、今ならちょっと触っても大丈夫じゃろう。よし触ろうなどと、
傷心の彼女に最低な事を実行しようとしたその時エメリさんが、
「実はよう、なんていうか、全然実感がないというか・・・。
なんで私なんかっていう思いがあって・・
たくさんの男衆に求婚されても、わっかんねーんだ。
だって言葉づかいだってこんなんだし、ガサツだし・・・」
「粗暴だし、粗野だし、デリカシーないし、優しくないし、
わしに厳しいし、わしに全然デレないし・・・」
途中から、わしが付け足してみた。
「そんな事ないだろ・・・いや、そうか。そうだなジューローの言うとおりだよ。」
「なんじゃ今日はやけに素直じゃな。」
「いや、本当におれは可愛くないなと思って。何でみんな、そんなおれに事を・・・」
珍しく、考え込むエメリさんを見て
「エメリさん、そんな事は考えても無駄じゃよ。
誰もが人の心情をはかれるわけがないじゃろ。
そんな事を推測することは無駄じゃとおもわんか?
そんな得体のしれない事を考えるのなら、いつもの笑顔でいるエメリさんをみるだけで
いったいどれだけの人が癒されるか。
わしもエメリさんの笑顔を見て癒される内の1人じゃよ。」
ちょっと遠い目をして格好良く言ってみた。
「いや、普段からおれ、あんまり笑ってねーし。ほとんど笑ってねーし。
いつも怒ってる?って言われてますけど。」
「そうなんじゃ、エメリさんのキツい目がいいのじゃ。ゾクゾクするのじゃ。
そんな目で見据えられたい男達でいっぱいなのじゃ!
それがエメリさんの本当の魅力なんじゃよ。」
と言ったらマジ怒られた。
「よけいな事いうなよ、ジジイは。あ〜お前に相談したおれが馬鹿だったぜ。」
と悪態をついた最後にふと笑った顔が実にたまらない。
これが本当のエメリさんの魅力じゃなと思ったが、
また照れ隠しで怒られるので黙っておいた。




