第79話 重力変換限界値
わしはひとまずネル族の村に帰る。
面倒じゃの…。お互いの村を行き来するのは。早い所、合併して1つの村にすれば、腰を落ち着けて改革できるのに…。
しかし、悪いことばかりでは無い。ネル族にはセイムさん、ヌル族にはエメリさんという現地妻がいるのじゃ。よし、これから訪れる場所場所で現地妻をつくれば、うっはうはじゃ!
……すまん妄想じゃ。現地妻は妄想じゃ……。
だって、わし外見じいちゃんなんだもん…中身が20代とはいえ、なんか最近考え方もじいちゃんになってきたような…
セイムさんやエメリさんがこんなじいちゃんを好きになってくれるわけないよな…しょうがない!男としてじゃなくても自分のおじいちゃんみたいに慕ってくれるだけでも良いか!うん、贅沢な悩みじゃ!みんなにちやほや慕われているだけでもありがたいのじゃ~~~~~!
すまん…そんなに慕われておらん。
※※※※
そういえば最近チート能力使ってないな。この辺りは誰もいない事だし、ちょっと試してみるか。
「重力変換能力」
自分自身や、両手、もしくは片手で触る範囲で効果を及ぼす。例えば自分自身の重力を50%に設定すれば……
あっその前に、筋力は筋肉断面積に比例ですので(1/10)^2F=(1/100)となるだとか、体重(質量)は体積比例として、サイズの3乗に比例となるから(1/10)^3m=(1/1000)mだとか、そんな小難しいことは言いっこなしじゃ。
わし、じいさんじゃからわからん!さっぱりわからん!いいか、ここは地球ではない異世界なのじゃ、すべての事象は地球基準じゃが、都合の悪いことはファンタジー仕様じゃ。そこのところよろしく頼むぞ。ジューローからの遺言じゃ。
死んでないわ~~~。
ジューローは一人ツッコミを習得した! LV.3(笑)
お待たせしました重力50%設定でジャンプをしてみるのじゃ!ちなみにチート能力を使わずジャンプでだいたい1mぐらいじゃな。
「てい!」
そのままの状態でマリオのように垂直ジャンプをする。横の木を目印に跳んだ高さを計る。
おお、3mぐらい跳んだ。すごいな。
ドラゴ○ボールのようなクリ○ンと悟○が亀仙○の所で修業して、亀の甲羅をはずしたら雲を超えた上空までなんてことはないのじゃ……少しは期待したのじゃがのう。
よし、では次は重力10%じゃ!と思ったら何か耳元でピーーっピーーッと警告音のようなものが鳴った。
えっなにこれ、初めて聞こえたけど?わけがわからないので、そのまま無視し続けていたら……
ピーーピーーピーーピーー……シヌヨ……
って言われた……恐!!
その後重力を20%、30%、40%と上げたら、警告音は収まった。重力20~30%まで下げると警告音が鳴るとうなので、そのぐらいが限度なのだろう。気をつけよう。
次は自分自身の重力を200%に設定した。う~~~ん自分自身に重力をかけるのは、使い道ないね。たとえ150%でも血液が頭に上がらなくて死んじゃうね、この能力。
その他に自分以外の空間に重力を設定できるのかやってみた。まずは200%。見るからにまわりの草木が重力によって押さえつけられていく。範囲を確認すると、だいたい自分の半径5mくらいか…直径にすると10mの円の範囲ぐらいだな。
300%、400%、500%と、どんどん重力を上げて行くと半径も4m、3m、2mと狭まってきた。今度のアラームは600%、半径1mで鳴ったので重力600%で限界だろう。
まあ、そこまで耐えられるものはないと思うし。
ふむふむ、だいたいこの能力が分かってきたぞ。後はわしが触ったものに対しての効果か…軽くするのは分かるけど、重くするのは使う時はくるのか?全然実用性が思い浮かばない。人を殺しちゃう以外思い浮かばない。こわっ!
その後、色々試してみたが、重力変換が有効なのは、わしが触っている間だけじゃった。わしの手から離れると、元の重量に戻ってしまう。まあ、後の細かい設定はまた、空いた時に精査しようとするかの。よし、ネル族の村まで約5kmぐらいか、重力変換50%を使って走って帰ってみよう。
よ~~い、すぱっーーーーー
おお、風を切る感じが全然違う。何か切り裂くって感じじゃ。早い、早いぞ~~~。確かに早い。
ざざざざざと森の中を駆け抜ける。
一応道のような物もあるが、ほとんどは雑草や荒れ地のような道だ。この様なところで真っ直ぐ走るのもなかなか体幹が鍛えられるわい。森の民の強さもこのような、地道な意識していない鍛錬の賜物じゃな。などと考えていたら、もう村の入口に到着した。早かった。
10分もかからなかった。体感的には8分~9分かな。おおっ、大まかな計算で時速40kmじゃ。なかなか早いぞ。だいたい普通の人の走る早さで時速16kmだから20分弱じゃ。マラソン選手で時速20kmだから15分位だと考えると時速40kmはなかなかすごいな。
と思いながら、村の入口をくぐるとなにやら村の中心が騒がしい。そこには、ふんどしのような布1枚で上半身裸の男達の群れが…
見なかった事にしよう!




