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第78話 先生任命

 結局わしらは聖地で夜を明かした。


 明け方には動物達はそれぞれ自分達の住まいへと戻って行った。それを見届けてからネル族の村へ帰る。村へ帰る道中も聖地に村を作るかどうか話し合った。もし聖地に村を作れば、生活するだけでどんどん健康になるのだ。とても魅力的だが…そうなれば動物達は追い出さねばならん。


 森の民としては少なからず動物を殺してその身を食べている。森の恵みの1つとしていただいているのだ。そんな森の民と動物の共存は難しいのではないかという意見もあるが、私たちは森に生かされている身だから、それは動物達と何ら変わる事が無い事だという平等論もあった。


 わしとしては、あそこは今まで通り不可侵地域にして動物、人間分け隔てなく立ち入れ、神の恵みを享受できる場としたい。あそこでの争いは禁止。殺生禁止。という規則を作りたい。


 まあそんな話を道中したわけじゃが、ゲタンが村に持ち帰り意見をまとめて決断することとなった。


※※※※


 実は、わしはセイムさんとエメリさんにアラビア数字を教えていた。こっちにいる間はもちろん、いない時でも空いた時間に出来るように、宿題を出しておいたりしてマメに教えておったのじゃ。


 エメリさんはツンじゃが、物覚えは良い。


 最近では足し算、引き算を覚え、今ではかけ算もできる。そして、城下町の貨幣制度も教えておいた。


 セイムさんは今、足し算、引き算じゃ。しかし別段遅いわけではない。優秀じゃ、2人とも。


 エメリさんは今ではこんな問題でさえも出来る。


 エメリさんが初めてのお使い、できるかな! エメリさんは大飯ぐらい、今日も朝からジャガイモ5つ食べました。しかし、とうとう食料が尽きてしまいました。しかたありません、もう身売りするしかありません。今日はエメリさんが隣村のジューローに身売りをする日です。

 なんと5中バッキャで身売りです。激安です。もう5エメリさんほど欲しい所です。身売りされたら、あんな事、こんな事をしちゃうぞ☆


 それでは問題です!エメリさんの値段5中バッキャでじゃがいも何個買えるでしょうか?ジャガイモ1個のお値段は1/2小バッキャで2個買えます。


 「さ~~何個でしょう?」とわしが言うと、


 「何でわたしが大飯ぐらいなんだ。そのくだりまったくいらね~~だろ。しかもジューローに身売りって!しかも5中バッキャって安っす!安すぎじゃね。それとあんな事、こんな事って何だよ、絶対逃げ切る!」

と切れ気味でツッコンでツッコミまくってきたのじゃ…


 「エメリさん、わしの事が嫌なのか…わしに身売りは嫌なのか…。」

 寂しそうに上目づかいで聞いてみる…


 「…別に嫌じゃねーけどってそういう事じゃねーだろ。身近な人物で例えるのやめてくれね~。」

 ちょっと恥ずかしそうに答えてくれたのじゃ。


 ちょいデレじゃ。ちょっとうれしいのじゃ。いつもツンばかりなのでうれしいのじゃ。などと考えていると、


 「正解は1小パッキャで4個買えるから1中パッキャで40個、5中パッキャで200個だ。合ってるか?」


 すごい正解じゃ。すぐに暗算でできるとは…意外な才能じゃな。これだけできれば…


 「ふむ、エメリさん実はお願いがあるのじゃが…」


 「身売りはしね~ぞ。…5中バッキャなんて激安ではな。」

 そっぽ向きながらエメリさんが言う。


 えっそ、それはもしかして…


 「で、冗談はおいておいて何がお願いなんだ、言ってみろ。」

 照れておるのか、デレか?デレなのか?


 「早く言えよ! 何だよお願いって?」

 と、切れられた。カルシウム不足なのか?


 「お願いっていうのは、エメリさんに先生になって欲しいのじゃ。」


 「先生?って何だ。」


 「うむ、人に物事を教える人の事だな。これは老若男女関係ない、年齢も関係ない。教える知識を有する人が知識の無いひとを教えることじゃ。エメリさんには今から森の民に城下町の貨幣制度から、足し算、引き算、かけ算を教えて欲しい。そしてわしの嫁に来て欲しい。」


 「えっわたしが先生に…。いいのか、わたしなんかが先生になって。わたしなんて言葉使い悪いし、がさつだし…。」


 「エメリさんは素晴らしい女性だ。もの覚えもよいし、気遣いも出来るし。言葉使いも悪いし、そして…がさつじゃ。確かにがさつじゃ!だからこそ、森の民に知識を教えてやってほしいんじゃ。そしてわしの嫁に来て欲しい。」


 「こんなわたしでも、みんなの役に立つことができるなら…がさつと2回言われてイラッとしたが…わたしやりたい! 先生をやりたい!」


 「そうか、引き受けてくれてありがとう、エメリさん。エメリさんならきっとみんなを根気よく教えてくれると思うんじゃ。そしてわしの嫁に来て欲しい。」


 「うん、頑張るよ。ありがとうジューロー。わたしにこんな大役を与えてくれて。嬉しい。」

 そう言って今まで見せたことのない笑顔で微笑むエメリさんだった。


 わしの嫁に来て欲しいを3回もスルーしておいてこの笑顔。小悪魔じゃ、なんという小悪魔じゃ~~。…今度はセイムさんに求婚してみるか!


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