表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/262

第70話 兵士長シスパ

 ムッキムキ族長スブムとセコスが仁王立ちになって行く手をふさぐ。

 「なっなんだ腰抜けどでチュか、じゃ、邪魔だ!そこをどくんでチュー。」


 「ほう、この状況でもまだ虚勢をはれるとは、余裕あるのう。まだ追いつめても大丈夫じゃな。」


 「えっそうなの、ラッキーお前にはまだまだ小バカにされた貸しが返しきれないほどあるからな。」

 セコスが指をポキポキ鳴らしながら近づく。


 「ひっひーー、おおーい! お前等出番だぞーわたしを守るんでチュー」

 ネズミが外に向かって大声で叫ぶ。


 ……………………………………

 ……………………………………沈黙が続く


 「あれ〜〜〜、あいつ等、ただお前に付いてきただけの他の奴の護衛だって

言ってなかった〜〜? お前があいつ等の雇い主なの〜〜? へ〜〜そうだったんだ〜〜?」

 とセコスが嫌みったらしく聞き返す。本当はわかっとるくせにわざとらしい。


 それでもネズミは必死に助けを呼ぶ

 「おお〜〜い、助けろ、わたしを早く助けるでチュー、どんだけ金払っていると思うんでチュチュチュー〜〜。」


 そんなネズミを哀れに思ったのかスブムが地面に這うネズミの顔の前にしゃがんで顔を近づける。鼻と鼻がこすれ合う寸前まで近づける。


 「お連れの方達でしたら、あちらの右奥の広場でのびていますよ、全員。」

 にっこりいい笑顔で笑う。セリフと合ってない顔で不気味じゃ。


 「なっお前等城下町の正規の護衛を打ちのめしたというでチュか?それは規則違反でチュよ。重大な規則違反でチュよ。この村なんて蹴散らすぐらいの王城兵が攻めてくるでチュよ。」

 とさっきまでオドオドしてたくせに、顔を引きつらせたまま、精一杯の虚勢で笑った。


 「は〜〜だれが打ちのめしたって言ったよ。お互い合意の上での訓練だぜ!よくある合同訓練だよ。右奥の広場っていうのは、俺たち森の民の訓練所でもあるし、

決闘場でもあるんだ。そこでちゃんと正式な申し込みがあり、それに応えただけだから、規則違反とはちょっと違うんじゃね〜かな?」

 セコスがしらっと言う。


 「それも賭けを申し込まれて何度もお断りしたんですが、どうしてもと言われるんで、しかたなくこちらは受け入れたんですけど……全戦全勝しちゃったので、身ぐるみ剥いですっぽんぽんですわ〜〜。」

 スブムがいい笑顔で応える。


 「なっ……まさか……そんな……」

 ネズミは青ざめた顔でスブムを見つめる。


 スブムは立ちあがり、今までいい笑顔でネズミを見下ろしていたが急に険しい顔になりネズミの頬にツバを吐きかけた

 「ぺっっっ」


 「ヒッ……ひいいいいい」

 ネズミははきかけられたツバを拭き取ろうともせず、恐怖に顔をひきつらせ後ずさりする。その様子を無言のまま見つめていたスブムが言った。


 「なんだお前さっき俺に言ってただろう。〈ツバを吐きかけられたら、わたしだったらもう有無を言わさず、ぶん殴ってやりますチュー〉ってよう。ほら殴りかかってこんのか? 殴っていいんだぞ……なぐれいいいいいいいっ!」


 何スブム恐い。スブムさんムッキムキになってから何か怖い……性格180度変わってない? 族長解任されたことで伸び伸びというか今までの鬱憤をはらすようにめっちゃ強くなってるし……ムッキムキだし……。


 ネズミはもう戦意喪失したかのように地べたにひれ伏して動かなくなった。もうこれぐらいが潮時か。その様子をじっと眺めていたもう1人のボディーガードに声をかける。


 「以前はヌル族のゲタンの所で1回お会いしましたな。あなたはこのネズミのボディーガードとして同伴していましたが……こいつとは関わりがなかったのですかな?」


 その男はしかめっ面をしたまま、わしの問いかけに応える。

 「わたしの名前はシスパ。王城に使える兵士長だ。城下町と森の民との間で不和が起らないように監視していた。お主達も知っている通り、この国では森の民を騙すべからず、森の民と争わず、森の民と違わずという規則があるのだ。」


 「えっそうなの、えらい優遇されているんじゃな、森の民。」

 とわしが言うと…セコスが


 「だが、こちらも王城、城下町関係者とは無闇にもめてはいけないっていう暗黙の了解だが、縛りもあるんだぜ。」


 だからネズミがあれほど城下町で雇われた正規の護衛アピールをしていたのか。正規の護衛といえば、王城で認められたようなもんじゃからな。


 「まあ今まで、そんな王城、城下町で私達、森の民と関わるような事がなかったですからな。ゲタン殿が積極的に交易を進めようとする前は。」

 スブムが助言する。


 「そんな面倒くさい縛りがあれば、まともな商人ならわしら森の民によっぽどの旨みのある取引商品がないことには手を出さんわな。」


 「そんな中で、このネズミが森の民と取引をしていたのだが、前々から怪しい噂があってな、それで王城関係者から頼まれネズミの護衛という形で長い間監視していたのだ。」


 「それはどんな噂だったのじゃ。」


 「不当に安い値段で品物を卸し、市場の相場を乱して利益をあげている奴がいるという噂だ。」

 「つきとめると森の民と取引している商品だったという事か?」


 「うむ、そうだ、その品目は……」

 「ちょっと待て!」


 「なんだジジイこれから確信だろ、口だすなよ。」


 「いやセコス待て、シスパさん……失礼を承知でいいますのじゃ、実は……話し長くなりそうなので、ここで一度切ってもらっていいですかの?」


 おもいっきり作者の都合じゃ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ