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第67話 ネズミの目的

 「おお、急に態度が変わったでチューな。そうだ、もっとわたしを尊敬してくれて全然かまわんでチューよ。」


 調子に乗って来たなコイツ…まあ、わしは大人じゃから更におだてる方向へシフトしてやるかな。


 「前々からあんたは出来る人だと思ってたんじゃ、どうぞどうぞ、こちらへ。せまい家ですが。」


 とスブムの居間に導き入れる。上座である一番奥にネズミを座らせる。兵のような護衛も2人ネズミに付き従うも、座らずに両脇に立っている。


 「本当に汚い部屋だな、せまいし、こんな祖末な家しか建てられん森の民なんぞ駆逐しちゃうでチューよ!」


 「いえいえ、勘弁してください。ネズミさんに睨まれては本当に駆逐されてしまうのじゃ〜〜。」


 へっぴり腰とゴマスリは忘れない。

 セレブさんが木の皮のお茶コミーを出してくれた。それを口に含んだ途端にネズミは豪快にわしに吹き出した。


 「ぶーーーーーっなんでチューこれは!こんなマズイ飲み物なら飲まないほうがましでチュー。まったく虫けらのような存在でチューね、森の民は。」


 「そうなんじゃ、ネズミさんにとってはわしらは虫けら以下ですじゃ。もう地面に突っ伏して謝るしかないですわ。」

 かけられたお茶を手で拭いながら、平伏するポーズをする。


 ネズミはそれを愉快そうにニタニタ笑い、眺めている。


 大分持ち上げてやったから、そろそろ本題でいいか。

 「それで、今日はどのような用件でこのようなむさいド田舎に?」


 「ふん、お前の顔も見飽きた事だし…まあいいだろう話してやるでチュー。この間貴様にもらった薬だがな…」


 薬?……ああっ、初めて会った時に渡したイカリソウ〈強壮、強精〉の事か。あれ、1回も人体実験せずにこいつで試そうと思って渡したんじゃった。まさか、あの薬に何か問題があったか?人が死んだとか…人が死んだとか。こわっ死ぬ事しか思い浮かばん!


 それで、この嫌がらせをしにきたのかコイツ。


 「ああ、はいはいどうでしたか?あの薬。効きましたかいのう?」

 トボケて下出に出る。


 「ん〜〜まあまあだったでチュー。体の弱いお手伝いさんが急に元気になったり、年老いた貴族が急におさかんになって、励んでおるといったことは全然ない事もないのだが、あったかどうかも定かではないでチュー。」


 えっめっちゃ効果あったの?


 「だから、またお主から仕入れてやろうかと思ったでチュー。本当はいらないのだが、こんな汚い所に住むお主らが可哀想だから、あるだけわたしが引き取ってやろうかと思ってわざわざこんなど田舎に出向いたでチュー。」


 ……本当はめちゃめちゃ効果あったんじゃな。


 「え〜〜本当ですか。あの薬作りすぎちゃって作りすぎちゃって、もうそんなに使わないから、お尻拭いてからドブに捨てようとしていたところなんじゃけど…」


 「そんなもったいな…いやそうだろう、そうだろう。そんなゴミはわたしが引き取ってやるから、お前達はそのまま作り続けなさい。わたしが全部引き取ってやるでチューからな。しかたないでチューね〜。」


 分かりやすいなコイツ。


 「えっそんなゴミみたいな物を、尊敬するネズミさんにわざわざ引き取ってもらうの悪いですから、いいですわ。これから行うイベント“ドキッ、おっさんだらけの水泳大会〜ボロ〜ンもあるよ”にでも敷き詰めて、お尻拭いてからドブに捨てる予定ですので。」


 「何回お尻拭いてドブに捨てるんだ〜〜〜〜でチュー。しかも何がボロ〜ンなんだ?何がでるんでチュー?」


 確かにわしもボロ〜ンは気になるな。何じゃろ。あれじゃろか?


 「まあ、そんなことはいいから、あるだけ持ってくるでチュー。」


 わしがもったいぶって、ん〜〜〜と考えてるふりをすると、


 「わかったわかった、ジューローには特別にこれをやろう。特別でチューよ。」

 と言って懐から細長い棒の様な物を出した。


 「お前等ごときは初めて見るでチュー? これがお金でチューよ。」

 得意げな顔で差し出した。


 やっぱりこの世界にも貨幣制度があったか。すんごい興味あるのう。とりあえず次号お金の話をしてみるか。


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