第57話 海の日1日目終了
「だめじゃだめじゃ!だめだめじゃ〜〜お前達!」
キョトーンとするセイムさんとエメリさん。いや、顔からかぶってるからイマイチよくわかんないけど。
「なんじゃ、その袋は、簀巻か!これから海に沈められるのか!もしくは思春期か!」
「なに言ってるんだよ、ジジイ。こう頭から、かぶらないと海の上では下からの照り返しがキツくて肌が焼けちゃうだろ。」
「今でも、十分魅力的な小麦色の肌じゃが、多少焼けるぐらいがなんじゃ!NO MORE 紫外線、NO MORE 遠赤外線じゃ!」
興奮してめちゃめちゃじゃ。遠赤外線ってコタツか!
「わかった、もうわしがデザインしてやろう。」
砂浜に棒で図で描く。
「この胸の部分は、こうすればどうじゃ、動きやすいじゃろ。下の部分はスカートのようにヒラヒラをいれれば…どうじゃ。」
「う〜〜〜ん、思ったより可愛いかも。上はこうした方がいいんじゃない。」
「えっばか、肌の露出多すぎだろこれ、もっとこうしてだな。」
と3人でアレコレ話しながら決めていく。
しばらくあ〜でもない、こ〜でもないと試行錯誤末…結局、上はスポーツブラの胸元のないような形。下は膝上3cmくらいの短パンに近い感じで落ち着いた。
キワドイ水着は無理じゃったが、なんとかビキニ?に近づけてよかった。上と下が繋がってさえいなければ大満足じゃ。おへそや、足が出てればOKじゃ。
一仕事やりきった充実感で砂浜に腰を降ろしていると、いきなり後ろから背中を蹴られて1回転する。
驚いて後ろを振り向くと
「おい、ジジイなに全速力で走ってきてるんだ。俺を置いて…ったく、まだ仕事は終わってないんだぞ。」
ゲタンが息を切らして怒る。やっと到着したらしい。
「遅いぞ、やっと来たかゲタン。お主は四天王でも末席じゃ!序列は一番下じゃ!」
「四天王じゃねーっつうの」
そんなこんなで海1日目は終わりをつげた。
※※※※
夜は日が暮れた後にキャンプファイヤーのように火を炊き、外で食事をした。青い月が暗闇の海を照らして幻想的な雰囲気を醸し出す。いくつか、若い男女でカップルがいるみたいじゃ。離れた場所に、点々と2人づつのシルエットがみえる。
男女のカップルか。この世界でも海辺はカップルでいっぱいか。
海から大怪獣が現れ、なすすべもなく喰い散らかされろ!リア充!などとは思わない。だって、今わしの近くにはセイムさん、エメリさんと2大美女がいるのじゃ。モテモテで幸せじゃ〜〜。生きててよかった〜〜〜〜〜。
という妄想で自分を慰めていたんじゃ。実際はもちろんわしだけじゃなく、他の老若男女みんな集まっているけどね。ただ近くにいるっていうだけで。
やっぱりセイムさん、エメリさんの2大美女はすごいな〜〜もててるな〜〜〜。すごくみんなに声かけられてるもん。まあ、ナンパじゃ。しかもみんな男はストレートじゃ。ナヨナヨ駆け引きなんぞなしじゃ!
「好きです!」「ごめんなさい」ざぱ〜〜ん
「つきあおう!」「趣味じゃない」ざぱ〜〜ん
「夜の海見に行かない?」「目の前じゃない」ざぱ〜〜ん
ばっさばっさ切り捨てる。
ちなみに“ざぱ〜〜ん”っていう音は、断ってすぐに海に飛び込んで行く男達の哀愁漂う音じゃ。1km先の岩にタッチして舞い戻りもう1回ナンパしてる。エンドレスじゃ…メンタル強いな〜〜。
とまあ遊んでばかりに思えるじゃろうが、ちゃんと仕事の提案はしておいた。
「なあゲタン、日時計というのを作ろうかとおもうのじゃが」
「日時計?商人から聞いた事があるがなんじゃ、それは」
「簡単に言うと1日を時間という流れで区切ることじゃ。今まで森の民は陽の高さをだいたいの目安にして計っていたが、これからは誰にでも目でみてわかりやすい目安をつくるのじゃ。」
「それが日時計というものか?面倒くさそうじゃな。」
「いや、それを作ることによって、森の民全員が、同じ時間を共有できるという
メリットもあるんじゃ。これから森を1つにする為には一番大事な要素の1つじゃと思う。なに、仕組みは簡単じゃから大丈夫だ。」
とりあず、ここに1つ設置して順次各村に広めて共有していこうと思う。それができたら、今度はもっとミニマムな砂時計なんか作って時間を身近に感じられるようにしたいのじゃ。
どうじゃ、ちゃんと考えておるじゃろ。遊んでばかりじゃないのじゃ!と格好いいアピ〜ルしたんじゃが…ウンともスンともじゃ!セイムさんもエメリさんも興味なしじゃ!
がっくしじゃ…




