第49話 赤い三連星
「つまり、ショック療法じゃ。」
「いつも私も見てたし、っていうか見せられていたけど?」
「いや、血の繋がった家族なら見られてもOKなんじゃ。それよりも熱心なプレイを、濃厚なオムツプレイを第三者であるわしに間近にマジマジと見られた事によって急に冷めたというか、現実に引き戻されたのじゃな。」
「ある意味わしもショックじゃ。Wショック療法じゃ!わしの心臓が3秒止まりかけたぞ…」
そんな軽口にエメリさんが明るく返す。
「何言ってんだ、もともと止まりかけだったんじゃねーのか。ちょうどいいじゃねーか。ぽっくり逝けて。」
あいからわず毒は吐くが、心のもやもやが晴れたいい笑顔を見せる。
……可愛いな。笑うと可愛いなエメリさん!
これはついにきたか!
他のラノベならヒロイン候補を助けるたびに惚れられていく王道のパターンやで、これ。
んで異世界では重婚OKってことで、みんなと結婚していくパターンや、これ。
とうとうこのジジイ無双でも、やっとそのパターンに入ってきたかーー!
うひょーーーーーー。
と両手を天に伸ばしてガッツポーズをとると…
天から急にまばゆい光が差し、神々しいばかりの1匹の鳥、始祖鳥のような大きめの鳥がわしの前に羽ばたいて光臨した。
驚くわしとエメリの前でしばし羽ばたいた。
沈黙のあと、鳥が鳴いた
《いや、それはない》
その後、鳥は良い仕事した!
みたいな顔で、優雅に羽ばたいて天に消えていった…
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絶対にミチだろあの鳥。
ラノベ展開の時だけツッコンできやがるなあいつ。
まさかあいつがわしのラノベ展開を阻止してるのか?
許すまじミチ…
「おい、いくぞじじい」
何事もなかったように、わしの前を歩き出すエメリさん。
そうじゃった今日も森を探索するのじゃ。
※※※※
日が暮れる夕方近くまで森の中を歩いた。
今日も特にめぼしい発見はなかった。
そしてエメリさんは今日もツンじゃった。
「エメリさん、たまにはわしに…」
と話しかけようとしたら、目の前の林から昨日の3人の男達がぞろぞろ出てきた。
左からチビ、デブ、ノッポだ。
しかもみんな頭に布をかぶっている。目のところだけ開いてる、目だし帽のような感じじゃ。前回のコピペじゃ。
「ジジイやっと見つけたぜ、昨日はよくも無視してくれたな。」
前回と一緒の真ん中のデブが話しかけてきた。
「なんじゃ、またお前等か。よっぽど暇なんじゃな。デブ。」
「デブじゃないです〜〜〜。全然太ってないです〜〜〜〜。うちの母親にはあんたガリガリだね。もっと食べなさいって言われてます〜〜〜。それにもし太っていたとしても、ぽっちゃりの範囲です〜〜〜。」
急に早口でまくしたててきた。めっちゃ気にしてるのか?
ちょっと太めの女子高校生のような言い訳をしよおって。
「そんな事はいい、ぽっちゃり。それで、何か用があるのか、わしに。」
「ぽっちゃり言うな!ああ、お前に用があるのさジジイ。」
「あれ、あんた村のチチプじゃないか。何してんの?」
急にエメリさんに言われて動揺するデブ。
「なっなに言ってんだエメリ。ちっ違うって言ってやれよポポプ。」
仲間の名前言っちゃってるし。
「なっなに言ってるんだよチチプおれポポプじゃねーし。」
今度はノッポが名前いっちゃってるし。
「いや、あんたら袋かぶってるけど、目の部分の穴が大きくて見えてるし、なにより体型で丸わかりだよ。」
どうやら村の赤い三連星と自称している狩りのメンバーでもある若者たちだったみたいだ。
さっきまであたふたしていた3人じゃがそこまで素性がばれているのじゃ、開き直ったのか覆面を投げ捨てた。
「そうさ、村でも有名な赤い三連星とは俺たちのことだ!」
「自称だがな」
「ふっふふふふふ」
と言った。自称かよというツッコミはしない。
「それで用件は何じゃ?」
「おれは気にくわねえんだよ。族長のゲタン様にゴマをすって、取り立てられただけの実力もないジジイにデカイ顔されるのはよ。」
まあ、いきなり族長にひいきにされれば今まで下についていた者は気に食わんわなぁ。しかしデカイ顔はしていない!断じて!
「あのセコスっていうリーダーも気に食わねえが、あいつは強そうなんでよ、まず弱そうなジジイを打ちのめしてから、仲間総出で襲ってやろうかと思ってよ。くっくっく。」
すんごい恥ずかしい雑魚臭のする考えを堂々と言う奴じゃな。
「だから俺ら3対1で正々堂々と勝負しろ、ジジイ!」
どこが正々堂々じゃ。
よく平気な顔で、そんな卑怯な提案を言うなお前。
「よしわかった。じゃがその前に1つ聞いてよいか?」
「なんだジジイおじけついたか。冥土の土産に聞いてやるよ。」
わしは常々疑問に思っていたことを真面目な顔で真摯に聞いてみた。
「赤い三連星って恥ずかしくない?」




