第46話 ジューローの野望
「う〜〜ん幼児退行という症状じゃな。」
「幼児退行とは何だ?」
「つまり、あまりにもストレスを受け続けて、現実逃避…逃げ出してしまったんじゃ。今まで生きてきた中で一番よかった子供時代の思い出に逃げ込んだのじゃろう。」
とマジメに答える。
「じゃあどうすれば…。」
「まあ、わしもそんなに詳しいわけじゃないが、親父さんはお母さんを好きで好きで辛抱たまらんかったんじゃ。
だから、子供に戻る事によって、だれにも邪魔されずお母さんの愛情を一心に受けられる事に喜びを感じまくりで、ぬくぬくとそのまま過ごしているんじゃろう。
エメリさんはお母さんの若い頃に似ているのじゃろう。だから、エメリさんをお母さんと間違えて…お父さんも悪気はないと思うのじゃ。
また、お母さんはそんな親父さんに母性本能をくすぐられて目覚めたんじゃないかな…という所かな。
まあそれも1つの夫婦の愛の形じゃ。認めてあげることも大事じゃ。」
「そんな愛の形ヘドが出る、全否定してやるわ!。そんな歪んだ愛の形を間近で見せられる娘の気持ちはどうなんだよ!赤ちゃん言葉でしゃべる両親を見せられる私のプレイは何プレイなんだよ!」
「だからエメリさんも16歳なんじゃから、結婚をして家を出ればいいんじゃ。」
「…それは無理だわ、そんな父親を見ていることもあって…どうしても男性からオムツプレイをさせられそうで怖い…それよりも、私も母親のようにそれを受け入れてしまいそうで怖い。」
エメリさんは頭を抱えてうなだれる。
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………………いったい今回は何の話しじゃい!
さっきから赤ちゃん言葉じゃの、オムツプレイじゃの。
全然、異世界関係なくね?
「安心しろエメリ、そのプレイは1部だけじゃ。森の民からしたら1%にも満たない特別なプレイじゃ…たぶん。
世の中にはな、もっとアブノーマルなプレイがあるんじゃ。それがこの森の民にあるかどうかは定かではないがの。」
ちょっと遠くを見ながらしゃべる。遠くを見ながら…
あっひらめいた!
わしこの世界で色々な性知識を広めたらいいんじゃね。
ノーマルもアブノーマルも。
都合の良い事に地球の日本じゃそっち方面はめちゃくちゃ豊富だったし、どこの世界も人間は、多種多様な嗜好があるわけだし…あるんじゃないかなと思うし、人間なら当然携えている3大欲の1つだし!
わしこの世界で団鬼○になれるんじゃね?他のラノベでこんな展開ないんじゃね?まあノクターンノベルにはあるかもしれませんが……
よし、わしは性の伝道師でこの世界のてっぺんとったる!
取ったるで〜〜〜〜〜!
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無理でした。
わし妻一筋で全然知識なかったです。ドノーマルです。
わしの天下無双終了。
ジジイ無双ー完ー
そんな長い妄想はやめて、エメリと向きあう。
言葉をかけず、そっと肩に手を置いた。
「どさくさにまぎれて触るんじゃねーよ、ジジイ。あと呼び捨て禁止!」
ツンじゃ、またツンが帰ってきよおった!
さっきよりは表情が明るい気がする。たぶん心情を吐き出したから楽になったのじゃろう。
まあ、ツンツンしていても、やっぱりエメリさんはこれぐらい元気なほうがいい。
エメリさんとまた川沿いを歩き出すと、先ほど泳いで昇ろうとした滝に人影が…4等親のずんぐりむっくりした奴が滝に打たれていた。
「ん、あれは、あの体型はカカカか?」
どんなにも遠く離れていてもわかる、便利なシルエットじゃな。
エメリさんが答える
「族長を殴打した罪で、あいつは3日間拘束後、着のみ着のまま追い出された奴だ。」
すっかり忘れてた。そういえば連行された後まったく心配していなかったわ。一応滝に近寄って声をかける。
「カカカさんひさしぶりじゃの。」
「誰だカカカと呼ぶのは。そんな名前はすでに捨ててしまったわ。わたしは生まれ変わったのだ!呪い師を卒業して新たに生まれかわったのだ。この滝業を乗り越え、新たなる自分に…」
ほ〜少しは改心したのかな。
「今度は、キキキと改名して、サンドバック占いを始めるのだ。そして多くの名声を集め、ゆくゆくはこの世界を牛耳るのだ。」
ものすんごい私利私欲まる出しじゃなお前。
なんにも反省していないじゃろ。滝業の意味無しじゃ。
よし、あとから滝の上流から丸太20本ぐらい流しておこう。
それが世の為じゃ。




