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第42話 選考会開始

 わしは今、大きな舞台に立つ。


 観客はおよそ100名。日本では叶わなかった夢。こんな異世界の片田舎で叶うとは…これだから人生はおもしろい。勢いっぱい、力まず、かましてやりますわい。聞いてください。


 詩吟で「おらのへがなぁ」

 〈ウタワナクテイイ〉

 念話で断られました。


 〈シギンハ、ウタワナクテイイ〉

 2回言われました。


 いや〜でも、この壮大な景色についつい唄いたくなるのう。

 わしは今、族長ゲタンの家の屋根の上じゃ。広場が見渡せる場所がここにしかなかったんでのう。

 結局集まった人数は120名。ネル族・ヌル族入り乱れて並んでいる。


 しかし、余裕ぶってばかりはいられない。今からなのじゃから、本当の修羅場は…


 「森の民よ!よく集まってくれた。今から、セイムお婿さん選抜会を開催する前に大会委員長であるジューローから一言ある」

 とゲタンの挨拶に続き、わしが盛り上げる。


 「みんなーセイムさんとしゃべりたいかーーー」

 「「「おおおおおおおおおおおお」」」


 「セイムの手を握りたいかーーーーーーー」

 「「「うおおおおおおおおおおおお」」」


 「にゅーよーくへいきたいかーーーーーー」

 「「「うおおおおおおおおおおおお」」」

 いや、ちょっと言いたかっただけです。お前ら何でもいいのか?


 「そして、セイムの婿になりたいかーーー」

 で歓声が最高潮に達し、会場全体…いや、森全体を歓喜に包みこまれる。テンション高い〜〜〜〜〜。


 「それでは今から選抜会を開催するにあたり説明をするからよく聞くように。一度しか言わんからのう。」


 「ひと〜〜〜つ。毛むくじゃらの人は失格。今スグ退場するのじゃ。そのまま振り向かず、自分の家までダッシュ!お疲れさんでした。」


 まあこれはセイムさんが毛深い人が苦手だからしょうがない。


 自主的に帰る毛むくじゃらさんエライ。朝早くから来てくれたのに…20人ぐらいが無言でダッシュして去っていった。なんか遠目だと黒もじゃだな。

 最終選考に残って断られるほうがキツイと思って、わしの優しさじゃ…さすがバ○ァリン10割じゃろ?。


 あっセコスに連れ出されている奴がいる。ねばる、懇願してねばる。セコスが怒った! 逃げる…追いかける…あ〜〜〜結局追い出された。

 というのが2・3人いたが、大体の人は落ち着いている。行儀いいな。


 「ふた〜〜〜つ。これを見よ。今わしが持っているこの木の板に1〜50まで番号が割り振ってある。これをこの辺りの茂みに隠しておいた。それを見つけた50人が選ばれし戦士じゃ。

 ここで残った者がお待ちかねのセイムさんと1人1回握手することがができる…つまり、伝説の握手券じゃ〜〜〜〜〜〜」


 「「「「うおおおおおおおおおお〜〜〜〜」」」」


 「それでは始め〜〜〜〜い」


 「「「うわああああああああ〜〜〜〜〜」」」

 100人程の男達が必至の形相で、興奮しながら蜘蛛の子を散らすように探しに行った。

 みんな本気まじだな…わしふざけすぎかな…不安になる。


 ちなみに森の民に文字はなかった…城下町とかにはあるそうだけど。わしはそのうち寺子屋のようなものを作って森の民に勉強を教えたいと思う。


 だから今回用意した1〜50番という数字は、森の民は図形や模様として認識して探していると思う。っていう設定じゃ。だから今詳しく突っ込むのはやめてくれ。ゆくゆくじゃ、ゆくゆくは手をつけるつもりじゃからな…


 などと考えていたら、すでに何人かは戻ってきていた。早いな。

 あっそういえば、時間区切っていなかったから、全部見つからなかったらどうしよう…これだけで1日かかっちゃたら嫌だな。

 なんていう考えも杞憂におわり、あっさりと50人揃う。早いな。


 なんかね、もう必至なんですよ。

 本気なんですよ。みんな。

 それなのに、わしはおもしろ半分に…人の心を持て遊んで…

 なんてなんてひどいやつなんじゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜わしは。

 …………………………

 でも、悪のりやめられね〜〜〜〜〜てへっ


 正解の木の板を持ってきた者達を半分の25人、25人づつに分かれ片手を差し出し、2列に並んでもらう。その間をセイムさんに小走りしてもらい手にタッチをする。


 苦情がでる。

 「「「ぶうううう〜〜〜握手って言っただろう」」」」


 「え〜すみません。時間が押してる為に、握手会改め、タッチ会とします。悪しからず。それではセイムさん、どうぞお願いします。」


 「「「わああああああああぁぁぁぁぁぁぁ」」」」」


 セイムさんが小走りをしてタッチすると共に

 歓声がウエーブのようにおこる、おこる、おこる?長くね?と思ったら人増えてるじゃねーかよ。

 こら、関係ない奴まで繋がってんじゃねえかえよ。村人とか、見学してる人とか、負けた人とかみんな輪になって参加してんじゃねえか。セイムさんが好きっていうか、おもしろそうだって事で老若男女参加してる。

 セイムさんもう関係ね〜〜〜っ


 上から見るとセイムさんを中心にメビウスの輪みたいな形に変化してるから終わりがないなこれ…


 こっこれが伝説の…エンドレス、エンドレスタッチじゃあああああ。

 わしが勝手に命名しました。


 なかなかシュールじゃな……………


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