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第27話 隠れん坊セコスの1日

 1時間ぐらいたっただろうか。部下に聞いてみる。


 「おい、ジジイはどうしてる?今頃必死こいて各家を探しまわっている頃か?」


 「いや…それが…リーダーの家族とご飯食べてます」


 「なに!ちっ、早く探しに来いよ…まあ、ちょうど昼時だからしょうがねえ。さては腹ごしらえしてから一気に探す気だな…」


※※※※


 それからもう1時間たった頃、部下に聞いてみる。

 「どうだ?ジジイの奴、もう近くに来ているんじゃないか?」


 「いや…それが…食べたら眠くなったとの事で今、リーダーの家族と昼寝しているらしいです。」


 「何だと!家族と一緒に…ジジイはもちろん親父とだろうな?まあ、飯を食べたら眠たくなるからしょうがないか…くそっ早く探しに来やがれ!今のうちにおれにも飯をくれ。」


※※※※


 またまた3時間後……

 「もうじれてきた頃だろう。ジジイ、見つからなくてどうしようって感じか?」


 「いえ…ついさっき、子供達を40人ぐらい引き連れて森に入っていきました。」


 「何、あのジジイ…この村の子供たちを味方につけて俺を捜さしているんじゃないのか?汚い奴め!1対1の勝負じゃなかったのかよ。まあ部下を使っている俺も責められたことじゃないけどな…」


※※※※


 夕食を食べ終わって夜も更けてきた頃、おれが隠れているロフト…人が1人隠れる事ができるだけの荷物置き場のスペースの真下、寝室では父親、母親、弟2人とみんなで雑魚寝して狩りに出た時の武勇伝を話している部下の姿があった…


 「そこで俺の槍が炸裂したんだよ。ずばばばーーんって感じでよ!」

 「兄ちゃんすごーい」

 「かっこいい」

 「お前もそんな狩りが出きるようになって」


 という一家団欒をロフトで見させられている…狩りのリーダ、若手の信頼と憧れの的の俺という存在がぞんざいな扱いをうけているようでせつなくなった…


 本当なら、狩りの疲れを癒すために嫁さんといい感じにチョメチョメする予定だったのに…いや、いかん!これは俺の意地なのだ。あんなジジイを俺は他のみんなと同じ様にすぐに認めない、認めたくない俺の意地なのだ。


 就寝前の一家団欒を眺めながらそう思うセコスであった…


 この家族にとって俺は空気以外の何者でもない。なぜか気を遣って物音すら立てられず、息もひそめた俺はそう思うのであった…


※※※※


 今俺は睡魔と戦っている…右目のまぶたと左目のまぶたを交互に降ろす。両目がおりてないから寝てはいない、セーフなのだ。などと、どうでもいいことでも考えないと眠りに落ちてしまいそうだ。


 下をみると部下の家族はぐっすり寝ている。もう月が中天に届いたくらいか…


 いらいらいらいらいらいらいらする〜イライライライライライライラスルー


 いったいどうなってるんだ!一向に探しにくる気配がないじゃないか。いや、いい隠れ家だとは思ったけど…


 よし、やっぱり家に帰ろう!こんな夜遅くなら見つからないだろう!愛する妻の元に帰ろう!俺はそう決心して、寝ている部下の家族を起こさないようにそっと家を出る。


 そこから少し離れた、まだ真新しいログハウスを目指す。足早に…

 そのログハウスは1年前に結婚するお祝いに家族、仲間で建ててくれた家だ。今はまだ妻と2人だから広く感じるが、ゆくゆくは子供をたくさん作る予定なので、寝室は大きめだ。

 狩りに出てから3日ぶりのわが家だ。妻のいるわが家に帰ってきたのだ。

 すると…家は暗いのに、家の中から妻と男の人の話声がする…しかも楽しそうな笑い声が…

 こんな夜中に…?まさか、おれがいない間に妻と…

 いや、今日おれ達が帰って来てると知ってそんな豪胆なやつがいるのか疑問だ。ここで嫉妬に駆られる奴は妻を信じてない証拠だ。


 俺は妻を信じてる。


 意を決して家の中に飛び込み声を荒げる

 「だれだーーー!新婚ほやほやのほっかほかの家に、こんな遅くまでピッチピチのツッルツルの新妻と和気あいあい、わいわいとしゃべっとるのは!天が許しても、俺がゆるさ〜ん!」

 と暗がりながら、近くの男らしき影に近づき、ガバッと胸ぐらを掴んだ…


 窓から差し込むコバルトブルーの月明かりに照らされた顔は…

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