第255話 拷問(笑)
残り4話
その後わしはまず、広場を埋め尽くされた惨状を目の前にし、考えこんだ…。
今だ眠りから覚めない。森の民100人以上、スペード商会の裏部隊50人、王城からの兵士が50人の計200人以上の人々が、まだ眠りから覚めずに倒れたままなのじゃ。
「どうしたら目が覚めるのじゃ?リイナ」
〈森の民はスペードの幻術がかかったまま…他はみんな気を失っているだけだから放っておいても次第に目が覚めると思うよ。〉
「ふうむ…王 使って悪いのじゃが、今からお主の部下50人を目覚めさせ、後処理を手伝ってくれんかのう。」
「うん、そうだな。やれることからぼちぼちやるか。」
「そうじゃな…まあ、王の部下達は気を失っているだけだから…爪の間に竹串を突き刺せば飛び上がるようにおきるじゃろう。」
「こわっ!拷問?何で気を失っているわしの部下に拷問?」
「ほれ、竹串。とりあえず5本渡しておくぞ。」
「こわっ!いらんわ、こんなもん。こんな拷問したら部下達がクーデーター起こすよ。王様の俺、寝首かかれちゃうよ!」
と言って渡した竹串を遠くへ投げ捨てる。
「ふーっ意気地なしじゃのう。しょうがない…じゃあビンタにしようか。起きるまでビンタじゃ。それならいいじゃろ?」
「しょうがないからビンタって…まあ拷問よりはいいけどもよ。決して王がすることではないぞ。」
「じゃあまず、手始めにそこに転がっておるシスパを起こそうかのう。」
わしは口を半開きにして白目を向いて転がっているシスパの胸元を掴み、目の前に引き起こす。力を込めて頬を殴る。
「ふんーーーーーーっ」
バギッ
シスパの顔からニブイ音がする。
「ちょっと、ジューローさん?それグーだから、全然ビンタじゃないよそれ!パーで、パーでお願いしますよ。」
「いや~~最近歳かな?ついついボケちゃって、パーじゃないといかんのに、グーになってしもうたわい。歳じゃなわしも…」
「ふんーーーーーーっ」
バギッ
ジューローはまたしてもグーで殴る…
「またグーで…腹いせか?いつもの腹いせなのか?」
「まだ、起きないのう…やっぱり竹串を刺さないとダメじゃ…」
とまたジューローが竹串をどこからか取り出した時
「んっん……んが!」
とシスパが目を開き寝ぼけ眼で起きた。
「あっあれ…ここは…ああ、森だった。」
「チッ」
「舌打ち?舌打ちしたよねジューロー今?そんなに拷問したかったの?」
とりあえず起きたシスパに事情を話し、シスパと同様に兵達を起こすのを手伝ってもらった。1人1人起きるまでビンタをしていくというシュールな絵面だった。
こうして王城の兵士50人を起こして作業を開始した。
まずは気をうしなったままのスペード商会の裏部隊50人の手足を縛りカバの馬車に乗せ、王城までピストン輸送を行った。裏部隊の処遇は王にすべて丸投げじゃ。
その後森の民をすべて家の中で寝かせてスペードの一件は
「夢か…」と思わせる作戦じゃ。
そういえば森の民はスペードの幻術にかかって眠っておるのじゃったな…どうすれば目ざめるのじゃ?リイナ
〈本当に聞きたいのですか?後悔しますよ〉
えっ急に何じゃ。でも聞かないと目が覚めないままだと困るし…
「後悔なんぞせん!教えてくれリイナ。」
〈わかりました。まず竹串を用意して爪と爪の間に…〉
「こわっ!わしのさっきの拷問ジョークじゃないか!こわっ」
〈…拷問ジョーク丸パクリです☆てへっ〉
「てへっじゃない!てへっじゃ…で、本当はどうすればいいのじゃ?」
〈本当はスペードの解呪のキーワードスペルを唱えればいいのですが…〉
「えっスペードガッツリ抜け殻の、もぬけの殻じゃからわかんないよ?聞こうにも聞けないんじゃけど…。」
〈いえ、聞けますよ。あの方に聞けばいいじゃないですか。〉
「だれ?あの方?ってスペードの?いた?そんな人」
〈スペードを裏で操っていた…いいえ、人生そのものを弄んでいた者がいるでしょう…この星の、この世界の創造主が。〉
「なんだって?…………あいつか。」
〈当たり前よ創造主なんだから。マブシとはたまたま絡んだだけのようだったみたいだし。最初から仕組まれていたのよ、スペードは。〉
「………………………………………。」
〈たぶんこの世界、星はいつ消滅させられてもおかしくはないわ。だってそうでしょう?仕込みがジューローによって防がれちゃったんだもん。アイツの望んだ方向から逸れていくだけの結果しか産み出さないのだから〉
「………………………………………。」
〈どうするの?〉
「…山田卓をシメてくるのじゃ。」
明日はいよいよ最終回!
残り3話分を19時から投下します




