第250話 モベという男
最後まで残り9話
スペードの闇の中を水に沈み込むように落ちていく中、色々な情景が浮かんでは消えていった。本当はもっと陰湿でグロくて、ドロッドロのグッチャグチャだったのじゃが、だいぶカットさせていただいた。
なぜなら…全年齢OKだからじゃ!
R15指定にするのは面倒くさいからじゃ!
だからたぶん今までの描写もギリギリOKじゃと思う。もちろん作者がそんな力量がないのは否定はせん。だが、これだけは言っておく!あまりにひどい陰湿でグロくて、ドロッドロのグッチャグチャだと書くほうも精神的にキツイのじゃ!読む方もキツいじゃろうし…そんなの毎日書いてたら精神病んじゃうよ! だからサラッとしててごめん。もっとドス黒いの期待してたらごめん………
ジューローからのお知らせでした。
「って何のお知らせやねん!」
いきなりわしの後ろから大きな関西弁でツッコミが聞こえて来て動揺した。
えっ?なにこんな深淵でツッコミって……誰?
わしが振り向くとそこには…
…………………………………
わしが振り向くとそこには…
……………………………だれ?
男はズコーっっという擬音がつきそうなオーバーリアクションでこける。
というか声で男と判断したが、男か女かもわからない黒いもやもやとしたヒトガタの煙のような物体に目がついているだけなのだ…こわっ!
とりあえず恐る恐る声をかける。
「あの~~すみません。どなたでしたっけ?もうノド元、これぐらいまででかかっているんですが…え~~っと。」
「うそつけ!絶対これっぽっちも思い出せてないやろ!」
「イナモト?ムラモト?いや…確かモトは付いたよね?」
「ぶ~~~、全然違います~~~~~。モベです~~~~~。」
「もべ?もべって誰?」
「何で知らないんだよ。ラ・メーンだよラ・メーン!」
「あ~~~、はいはいはいラ・メーンの事ね、モベっていうから…。」
「いや、さんざん出てたよね?スペードの回想でモベって出てたよね?」
「ほんのジョークです。」
「わかっててからかったんかい!本当にタチが悪いな。」
「…で、何でお主がこんな所に?えらい友好的じゃが?」
「そりゃあ今までお前を目の敵にしていたのに、いきなりフレンドリーに接してきたら不審に思うよな。でも今のオレはほとんどスペードに吸収された残りカスみたいな物だから。主様の呪縛も解けたしね。だから…まあやっと本音で語り合える状態っていうのかな。」
「呪縛って…」
「やっぱり聞きたいか?なぜオレがジジイをこの星に転移させ、ジジイに襲いかかっていたのかを…。ジジイにオレの役割というか、主と呼ばれる因果律のシステムを聞く勇気はあるのかい?」
「………………いいです。勇気ないです。」
「えっ…はっ?いや、そこは聞く所だろう!知りたいだろ?なっなっ?」
「いやじゃ~~、全然聞きたくないのじゃ。」
「いやいや、聞いてもらわないと困るよ。聞いてもらわないとオレ、スペードに吸収されても消化されずに残った意味ないじゃん。カスだよカス。オレその為にカスまでになってるんだよ!聞いて?ねっねっ。ちょっとだけでも。」
「あ~~~~あ~~~聞こえない!聞こえないよ~~~」
「聞けよ!ジジイ!いつまでたっても終わらないだろう!このやりとり。」
「だってあれじゃろう、その話が出るってことは最終回が近いんじゃろう?そりゃあそうじゃろう、この物語の根本、システムを話すのじゃから!」
「……うん。終わりに近いな…そりゃ。」
「だから断る!もっと秘密のままにしておけば300話、400話と続くよ?」
「いやいやいや、もうこの話そんなに引っ張れないから。ズルズルと引っ張るとあれだよ?北斗の●みたいになるよ?天帝編、修羅の国編、ラ●ウの実子リュウ編とかまで続いちゃうよ?いいの?」
「むう、それはまずいな…わかった聞こう!お前の話を聞いてやろう!」
「……何かジジイが上から目線で腹立つな…。」
「さあ、話せ!思う存分話すがよいぞ!」
「……ああっ時間が経ち過ぎて体が、体があああああ」
モベがそう叫ぶと、黒のもやもやした煙みたいな体がだんだんと透けて薄くなっていく。
「えっ消えるのか?さんざん聞いてくれと懇願しておいて、やっぱり何も言わずに消えていくのか?今250話だからあと50話?300話までひっぱるの?」
「ほんのジョークです。」
モベが消えかけた体を元の黒いヒトガタに戻す。
「自由意思?自由に変えられるの?その体…腹立つわ~~~」
などとモベと二人でわいのわいのやっていたら…
〈なにグダグダしとんねん!いったいわたしがどんなにあんたの神素コントロールするの大変か、わかってんのか!なあ?ジジイ?〉
「………えっリイナ?ガラ悪!引くわ~~~~~」
〈そりゃあガラも悪くなるっていう話よ。こんなにわたし頑張ってるのに…早い所モベの話聞いてあげてくれる?話がすすまないから。〉
「すまん、今からモベの話聞くから…チャッチャと話聞くから。」
「…この物語の根本、システムをチャッチャって軽く…まあいいけど。」
そうしてモベはわしにゆっくりと話だした…




