第25話 ハンサムボーイセコス
帰ってきた狩りのメンバー達に村人が群がる。
2〜3日とはいえ、安全といえない狩りをしてきたのだ、無事に帰ってきたという喜びもひとしおであろう。
さっきまでテヘペロ、テヘペロ言ってた子供たちもみんな大勢群がっている。
いつも、子供たちが一生懸命仕事に取り組む姿も微笑ましいが、親しい人に無邪気な笑顔を見せる子供達を見るほうが心が和むな〜。
どの世界でも子供というのは大人にとって心洗われる存在なのじゃ。
狩りのリーダーらしき先頭にいる若者にセイムさんが笑顔で駆け寄る。
「セコス兄さん、お帰りなさい。」
その男は身長は高く、スレンダーにみえるが非常に引き締まったいい身体をしている。腹筋も8つに割れておる。
顔もハンサムだ。ああハンサムだ。よし、こいつの称号はハンサムボーイだ!
ちょっとダサめのネーミングが、わしのせこい嫉妬心を慰めてくれる。
みんなそうだよね?カッコイイ奴を見るとひがむよね?
…なぜ、同意を求める…わし。
今まで嫁さんらしき超美人さんと抱き合っていたセコスがセイムさんに向き合い抱き合う。
やっぱり嫁さんも超美人じゃん。なんでみんな顔で選ぶんじゃ(偏見)。
みんな中身で選ぼうぜ!かっこいい奴の超美人嫁さんみると“やっぱりね”って思うんじゃ。せめて産まれてくる子どもはブサイクであれ!と思うんじゃ。
みんなそうだよね?超美人嫁さんをもらった奴をひがむのは世界共通だよね?
…だから誰に同意を求めているのじゃ…わし。
「兄さんご無事で」
「ああセイム、元気だよ。今回も獲物をたくさん取れたことだし、これで当分は村でゆっくりできるかな。」
族長スブム、母親のセレブも息子を囲んでねぎらいの声をかける。
「すごいじゃないか。セコスがリーダーになって早1年。順調にこなせている用で、もう何の心配もいらないな。」
「これであなたも族長をセコスに譲れる日がそんなに遠くないわね。」
「おいおい、まだまだ父さんセコスに負けないぞ!ハハハハハ」
…いやツッコミませんよ。
ホームドラマや〜。これが現代社会が失った心温まるホームドラマや〜。なんてツッコミませんよ。
しばらくそんな家族を生温かく見守った後にセコスに名乗り出た。
「初めまして、わしはジューローと申します。最近セイムさんと知り合い、こちらの家でお世話になっていますのじゃ。」
「ジューローさんは、私が懇願してネル族の副族長としてお迎えした。お前も敬意を持って接してくれ」
とスブムが補足した。
すると、今まで家族に笑顔で接してたセコスが急に険しく、睨みつけるような目で
わしを威嚇する。
「親父が誰を信じても、俺は自分自身で認めた者しか信じない。あんたが皆に、認められようが俺には関係ない。」
おお〜リーダーぽいのじゃ。さすがにあっさり受け入れられても、仙人と間違えられてるとはいえ、森の民はお人好しが過ぎて心配になるレベルじゃったからのう。こういう反応があってもおかしくはないのう。
「こら、父親であるわしが懇願して迎えた人が信じられんのか。」
「親父達の人の良さは重々承知しているが、人の上に立とうという人間が無条件に人を信じて森の民を危険にさらすことはあっちゃなんねーんだよ。たとえ肉親の言葉であろうとな。」
ハンサムボーイカッコイイ!!称号がわしの中でワンランクアップした。
そんなナイスガイに一言
「上等じゃ!勝負しろ〜〜〜〜〜〜」
いきなり、
唐突に、
おもいっきり叫びました。
わしが(笑)
情緒不安定じゃないよ。




