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第237話 第5の能力

 「ジューローの最後の能力を発表しま~~~す。」

 

 やっとか、パッと言え、パッと。

 地上の肉体死んでるんだから…早よっ!


 「能力名は“小さな幸せ”です。」


 「おお~~~よくわからんがすごそうな能力じゃ!で?」


 「どんな能力かというと…早起きは3文の得?みたいな。ちょっとしたラッキーです。」


 えっ…お、おおみたいな、リアクション取りづらいんだけど…。


 って3文の得って…ちょっとアイさんに聞いてみたら(アイさんって人工知能的な検索ちゃんね。覚えてる?)現在の物価で換算すると1文は55円、3文で165円ぐらいみたいじゃ。※諸説あり。


 …本当にちょっとじゃな。いや、毎日積もり積もれば1年で6万円じゃ。なかなかすごいな!


 「いえ、そういったお金的な要素じゃなくて、今まであったでしょ?他に。」


 「えっ他に…ああっそういえば、ドングリパンを作った時にわしのだけふっくらおいしく焼けたとか、夕食に1品多かったとか、尿のきれが良かったとかあったわ。」


 「そう、それよそれが、この能力“小さな幸せ”よ!」


 「いらんわ!そんな“小さな幸せ”いらんわ!」


 「えっ散々この能力の恩恵を受けておいていらないって…この恩知らず!」


 「そんな小さな恩恵、本当にその能力のおかげなのか分かりづらいし!その能力を持ってないなくても日常的に有りそうなぐらい些細だし!」


 なんてことじゃ、あんなに初めの方からひっぱっておいてこのショボイ能力…。わし的には、時間が止めれるだとか、過去・未来に行けるだとか、イメージだけで造形が産み出せるだとかを熱望しておったのに…早起きは3文の得な能力じゃとは…。


 「ふっふふふふ、ジューローわかってないわね、この能力の本当の使い道を!

 私の前でひざまづきなさい!教えてあげるわあなたに、この能力の神髄を!」


 「えっマジで!この能力そんな使い方あるのか?師匠!ぜひお願いします。この哀れなジジイに教えを!」


 「えっ、そんなにガッツリ卑屈になられると引くわ~~~」

 「追いかけると~~~逃げたくなる~~~~。」

 

 「歌わんでよし、ジューロー。ミカ早く言ってあげて!」

 

 「まずは喫茶店にはいるのよ。そこで迷わずイチゴパフェを頼みなさい。すると…イチゴが一緒に行った友達より多めなのよ。これは確認済みよ!」

 「は?何言ってるのコイツ」


 「後、ムギチョコってあるじゃない。食べてるとたまにムギをコーティングし忘れた小さいチョコが入っているのよ。あれちょっとうれしくない?」


 「だから何じゃそれ!単なるちょっと嬉しいあるあるじゃないか!

 しかも地球限定じゃし。そんな事いったらわしだってあるぞ。


 天津飯を注文したら、なんと天津飯大盛りが出てきたのじゃ!どうやらお店の人が注文を聞き間違えたみたいで、料金はそのままでいいと言ってくれたのじゃ!。」


 「「いや、それは違う」」

 ミチミカ同時にツッコム…。


 「じゃあ、じゃあこれはどうじゃ。わしが友人と2人でラーメン屋に入ったのじゃ。そこでわしがラーメン大盛りを頼んだら、友人もそれに釣られてラーメン大盛りを頼んで残して帰ったのじゃ…じゃあ頼むなよ!大盛り頼むなよ!ってツッコンでやったのじゃ。」


 「何の話?もうそれ、あるあるネタですらないじゃない。単なる飲食店であった出来事話だけになってるじゃないの。」


 「……もう帰っていいかのう、わし。」


 「何、その今日のノルマは達成したな。みたいな顔は…腹たつわ~~。」


 「いや、こっちが腹立つわ!夜中におしっこに起きたのにショック死で昇天してまで来たのにショボイ能力聞かされてショックじゃ!Wショック療法じゃ。」


 「全然うまくないわよ、ただショック2回言っただけだから…」

 「だから、何その達成したな~みたいな顔は…腹たつわ~~。」


 「もういいわよ、ミカ。本当にジューローの体にショックを与えないとヤバくなってきたから戻さないと、早く。」


 「じゃあ、ミチ頼むぞ、何じゃった…その天使のキックを心臓に頼むぞ。」

 「はい、じゃあ行きま~~す。1~2~3~…GO!」


 「うわ~~~~~~~~カウントダウンの意味無し~~~~~って、カウントアップしてるし~~。」

 と言いながら落ちていくジューロー…


 「……落ちながらあんなに遠くからツッコんでる~~…ひくわ~~~~」

 とツインテール少女二人は冷めた目で、ものすごい早さで遠ざかる男に毒づくのであった。


※※※※


 ドクン!

 (はっ、わしの体か…なんじゃ、動かん動かんぞ!)

 体に意識が戻ったジューローは焦る。

 小林十朗として亡くなった記憶があるので、あの時と一緒なのだ。

 脳梗塞で倒れた死の感覚に…


 (はやく、何でもいい天使でも悪魔のキックでもいい…早く~~~~)

 1秒にもみたない時間であったが一度死を経験したジューローにはとてつもなく長く感じた。

 

 そんな時――天使は舞い降りた!


 それは天使というかキューピットのようじゃ。

 体は全裸じゃが、股間には花がちりばめられ背中には羽根よのような物が生えている。

 西洋の昔話に出てくるようなイメージそのまんまの天使が―――


 わしの心臓めがけて一撃必殺キックを繰り出した!

 「ふんっ!」


 おっさんか!この天使かけ声おっさんか!ふんって…

 昇天してるのにツッコムわし…。


 しかし、そのキックのおかげかわしの心臓は再び動き出す。

 いままでの事は全てなかったかのように、今まで通りに動き出す。


 そんな元気に起き上がるわしを見て天使は天に帰っていく…

 男前な顔でサムズアップをして帰っていく…


 ……あれ天使じゃねーだろ。

 天使のコスプレしたおっさんだろ。


 ミチ悪ふざけにもほどがあるぞ。


 


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