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第234話 黒い予言

 マジナの口調でず~~っとしゃべられると話が全然進まないので王から概要だけでも聞く。


 実は1年以上も前から予言者…マジナから異変を告げる予言があったと。


 森に異変が起こり騒がしくなる。

 森の民が1つの固まりとなり大きな意思となる。 

 森が本気出して来た。

 森の本気はこの世界をおびやかすものではない。

 世界を豊かにするもの。


 などが予言されていたようじゃ。


 もちろん森の予言は数ある予言の中の少しだけだったらしい。10個のうち1つとかね。それも重要度は低い。重要度が高い予言とは世界を覆すとか、王体制を揺るがすといったものが最優先されるらしい。それがここ最近60日前から頻繁に予言されるようになったのだという。

 それが…


 「今の城下町、王城にドス黒い幕が覆っています。まだ上澄みのような黒さですが、ある事がキッカケで全面陽も刺さないぐらい覆われるとの事。」


 「そのキッカケとはなんじゃ?」


 「どうやら森が絡んでいるようなんです。」


 「森が…?」


 「わたしはそれがあなた…ジューロー殿ではないかと思います。」


 う~~ん。ちなみに今わしと会話しているのはマジナさんじゃ。

 さっき2発殴ってやったら普通にしゃべるようになったのじゃ。


 …うそじゃほんとはさっきからずっとギャル語で話続けているのじゃが、あまりにも煩わしいのでわしの脳内で変換した会話を皆さんにはお送りしております。


 「わたしが見た予言ではこの王城を覆う黒い幕は森を覆う白い幕に向います。」


 普通の予言じゃとその先の出来事はどうなったか聞くと、…残念ながら見えませんとか、こればかりはわたしにもわかりませんというのが定番じゃが…一応聞いてみるか…。


 「それで、その後どうなるんじゃ?」


 「えー白い幕は黒い幕に覆われます。」

 

 「負けてるじゃん!わし殺されるの?っていうかそもそも白い幕ってわしの事なの?」


 今回王城に呼び出したのは銅像を渡すこともあったのじゃが、マジナが実際にわしに会って予言と照らし合わせ白い幕かどうかを見極める算段もあったのだという。


 「それで、わしはどうじゃった?」


 「結論から言うとジューロー様はドブネズミ色です。」


 「ド~ブネ~ズミ♪ みたいに♪ 美しく…って思わず歌ってしまったぞ!

 わしドブネズミ色なんじゃ…へ~~~。」


 まるで駄々っ子のようにやさぐれた。

 わしは60歳を過ぎてやさぐれた!


 「しかし、所々に真っ白な光も見えるのです。」


 「頭か?どうせ光っておるのわしの頭じゃろ?」

 わしはヤサグレンに進化した!


 「その黒い幕は白い幕を破った後、この世界を全て黒く覆い尽くします。」

 …………………………………………………………………………

 …………………………………………………………………………

 …………………………………………………………………………


 「…そういう事で、なっ…まあ、その頑張れよ!」


 「何あっさりまとめようとしておるんじゃ、王!」


 「今のうちにその黒い奴を断定して殺しちゃえばいいんじゃないのか?」

 シスパが口を出す。


 「それが…黒い幕が大きすぎて断定にはいたらないというか…ここまで大き過ぎると断定できたとしても倒せるかどうか…。」


 「なおさら、わしではどうしようもないんじゃないのか?」


 「いえ、予言では確かに負けますけど…勝つ可能性が一番高いのです。黒い奴がジューローと戦って弱った所をこちらでたたくのがさらに勝つ可能性が高いのです。」


 「…そういう事で、なっ…まあ、その頑張れよ!」


 「何あっさりわしを犠牲にしようとしておるんだ、王!

 そんなんで、「よし!わしは世界の為にこの身を犠牲にしてでも頑張るぞ!」

 なんて言う訳ないじゃろ。むしろ逃げるよわし、戦いたくないのじゃ。」


 「いえ、ジューローは黒い奴と戦う事になるのは確定です。決定事項です。」


 「はっ?なぜじゃ?」


 「黒い奴の狙いはジューローだからです。」


 「まじか。確かにわしは広くアイドルとして広報活動をしておる。もちろん恋愛禁止じゃ。ファン1人1人の触れ合える身近なアイドルじゃからな。そんなわしを憎むやつなぞ…憎々しく思う奴なぞ…見当ありすぎじゃな…。」


 セイムさん、エメリさんの親衛隊とか、アルーン村で退治した盗賊とか…きりがないな…。あっ1人だけめっちゃ心あたりあるわ。


 ゲタンの息子のゲフンじゃね?


 第32話で“かくれんぼ”で無期限の隠れ役で見つかったら負けっていう無理ゲーでまだ延々と隠れておるゲフンか? 

 ゲフンが黒い奴の正体ならつじつまが合うな。陥れたわしに恨みがあるし、ちょうど今回で234話でだいたい200話の話を回収できるし…なっがい伏線じゃったな。


 「その、ゲフンという男かどうかはわかりませんが…その時は迫っています。明日かもしれませんし、10日後、20日後かもしれませんが…。」


 「…そういう事で、なっ…まあ、その頑張れよ!」


 「王そればっかじゃな!今で3回目…。まったく曖昧な予言を聞かされただけで無駄な時間を過ごしたわ。」


 「ジジイ舐めてんの~~わたしの予言マジパッネ~~っつの。この間も王妃に頼まれて王様の浮気予言したって~の!」


「えっ」

 びっくりしてマジナの言葉、脳内変換なしじゃ!

 

 わしは王を見ると、うつむいてダンマリじゃ…

 これはこっぴどく奥さんに怒られたな…


 ごほんと咳払いをしてわしは毅然として言い直す。


 「わしは予言なんぞは信じん。例え当たっていようとも、ハズレていようともじゃ。

 黒い奴にわしが負けるじゃと…勝手な事を言うな。わしの事を何もしらん青二歳どもが…。

 わしは誰にも負けんよ。わしは死なん!セイムさんとエメリさんをお嫁にもらって、この歳でいっぱい子供産んで、お盛んですね~と近所のおばさん達に性的な目で見られるまで、わしは死なん!」


 力強く言い切った。

 実際に言われたら赤面する恥ずかしい事を王の前で言い切った。


 そんなわしは皆から拍手をもらった…。


 その拍手は感激の拍手か、哀れみの拍手か…

 わしには知るよしもなかった…。


 





 

 

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