第23話 カカカの追手
倒れていたカカカが、がばっと起き上がっての第一声が
「ご、ごんざれず」
ゴンザレス?この世界の何か?と思い振り向くとセレブさん、セイムさんは首をかしげる。
カカカの今まで無表情だった顔がくずれ、いきなり泣き叫んだ!
「ご・・殺される〜〜〜助けて、助けて」
と、わしの足にすがる。
どうした、何か獣にでも襲われたのかと思い、落ち着かせ話を聞いてみると…
今日の朝、落し穴に落ちた所をヌル族の族長ゲタンに偶然助けてもらい、そのお礼に足の治療をするという事でヌル族の村へ大歓迎を受け、招待されたそうだ…
……うん、ごめん、それわしじゃ、わしが薦めたんじゃ。
足の治療に尽力をしたが族長ゲタンは怒り狂い、自分を絞め殺さんばかりの勢いで迫ったので恐くなって隙をみて逃げだしたと。
逃げたはいいが、屈強な男3人が追ってとして放たれて、捕まれば自分の命がないかもと…。
そうか〜〜、それはわしがけしかけた以上ちょっとだけ責任を感じるなぁ。
「それでどんな治療をしたんじゃ?」
聞いてみる。
「わたしはちゃんと今まで通りの呪いをしただけじゃ。足のケガに効く治療の呪いは…
若い者3人に15分の間、棒で足をたたかせ、
温まってきた所を沸騰したお湯に5分つけるを3セット!
という内容じゃ。族長ゲタンは腫れ上がった足をみて激怒したんじゃ。」
と悪びれもせずに言う。
…いや、お前もうそれ治療の範疇超えてるやん。そもそもそれ、もう呪いとちゃう!ただの拷問や!
こいつの処遇をどうしようかと悩んでいると10mぐらい離れた所から
「おい!見つけたか」
「こっちの茂みに這いずったような後があるぞ」
「よし。こっちを探すぞ」
と追手達の野太い声が聞こえてきた。
その声を聞いてカカカはあたふたしてる…手足をじたばたしてる。4頭身なのでちょっと滑稽だ…
「とりあえずその茂みに隠れて、後はわしに任せるのじゃ」
と指示をした。
カカカは四つん這いになって、あわてて近くの茂みに這って隠れる。
すると先ほど声のした追手であろう、屈強な男3人が現れた。
「何だお前達は!」
いや、お前が誰だよ!わしは心のなかでツッコンだ。
興奮した若者を隣の隊長のような男が手で制する。
「これは、ネル族族長スブム一家ではござらんか、暴言を失礼いたしました。私達は族長ゲタンの命により、呪い師カカカを連行しにきました。決してネル族と敵対する意ではありません。このままネル地域を捜索するご無礼をお許しください。」
それを聞き、スブムが一歩前に出て真面目な顔をして返事を返す。
「呪い師カカカ殿は我らネル族の長年の功労者、その方が追われているとあっては、容赦なりません。即刻この地域から出て行きなさい!」
とスブム、セレブ、セイム、わしの全員でビシッとカカカがひそんであろう茂みを指差す。
それはもうビシっときれ〜〜〜いに。みんな揃って。
隊長を含む男達3人も同時にその指先の方向を見る。
…………しばしの沈黙の後、
「我らとしても心苦しいのですが、そこをなんとか…」
「われらが苦しい時に呪い師カカカ殿は民を救ってくれたのですよ。その方を追うあなた方を見過ごすわけにはいきません。即刻この地域から出て行ってください!」
とセレブさんが言ったと同時に、わしら全員でビシッとカカカがひそんであろう茂みを指差す。
それはもうビシっときれ〜〜〜いに。みんな指先の角度まで揃えて。
隊長を含む男達3人も同時にその指先の方向を見る。
…………しばしの沈黙の後、
「わかりました。そこまで言われては仕方ありません。ここらで引き上げることとします。」
と隊長が言ったと同時に他の隊員とともに先ほど、差し示した茂みを指差す。
ビシっときれ〜〜〜いに3人揃って。腕の角度まで一緒。
「早くこの地を去りなさい!」
セレブさんが声を荒げたと同時にわしら全員が、きれいに揃ってうなずく。
うんと。
「連行!!!!」
3人が一斉に茂みに突入してカカカが確保される。
連行されながら遠くの方で
「なんで〜〜なんで見つかったの〜〜〜」
カカカの声がむなしく森の奥へ遠ざかる…
自分の罪は自分で償えよ。
やりたい放題だったんじゃから、今まで。




