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第222話 スペードのおもてなし

 「ジューロー様ご無沙汰しております。よくお越しくださいました。」

 スペードはわしらを満面の笑みで出迎えてくれた。


 「さあさあ、こちらに。お疲れになったでしょう。何のおかまいも出来ませんが滞在中は精一杯もてなしたいと思いますのでお寛ぎください。さあ、狭くて小汚い部屋ですが…」

 と言って部屋に案内してくれた。


 なんと!その部屋は…


 「狭っ!めっちゃ狭!しかも本当に小汚い!」

 思わず口に出してしもうた。隠そうともせず大声で言ってしもうた。


 2階の部屋に案内されたのじゃが、外から見たらどうみても20帖、30帖ぐらいある大きな石作りの家じゃったのに、通されたのは3帖くらいの部屋…しかも窓がないからカビ臭い…

 いかにも、泊めるところがないから、しょうがね~この物置の部屋を空けるか…とちょっと掃除してみました感満載じゃ!


 「えっマジっすか?これ男4人で3帖っすか?1人あたり約0.8帖じゃないっすか。」

 マブシも思った事を口に出す。そんなマブシにわしはそっと声をかける。


 「大丈夫じゃよマブシ…1人1帖ずつあるから横になって寝れるよ。1人だけは立って寝ないといかんがのう…」

 わしはマブシの肩にそっと手を置く…


 「俺っすか?その立って寝るの俺っすか?この肩に置いた手はそういう意味っすか?」

 さすがマブシ察しがいいのう。理解が早くて助かるわ~~。


 「いや、俺も寝るから5人だぞ。この3帖に…。」

 シスパいた。すっかり忘れていたけどシスパいたわ。


 「うむ、それではこれでどうじゃろう。ちょっとみんな寝てくれるかここに。」


 わしが皆に声をかけ、5人全員で横にならせる。

 横になるといってもみんな仰向けじゃないぞ!ましてやうつむせでもない。縦じゃ!みんな左腕を下にして真っ直ぐ足をぴ~~んと伸ばして縦で寝てみる。


 「どうじゃ?これならみんな寝れるじゃろう。」

 「おお、本当だ!これならみんな横になれる!天才ですね!ジューロー様!」


 とまるですごい事を発見した風でみんなと縦になってわいわいしゃべっていたら…


 「あの~~ほんの冗談のつもりだったんですけど…。まさかそんなに盛り上がってくれるとは…。なんかその体勢シュールですね…」

 スペードが申し訳なさそうにツッコんでくれた。


 その後わしらは隣の20帖くらいある大きな部屋に通された。


 まるでさっきの3帖の部屋がブタ小屋のようじゃ…。実際にあの3帖はペットの部屋だったらしい…。わざわざそこを掃除してまで笑いをとろうとするとは…スペードやるな!

 だが、それを本気にしたわしら田舎者にさぞガッカリした事じゃろう。


 ふっふふふふっ田舎者をなめんなよ! 

 すぐ人の言う事を真に受けるのが長所じゃ!

 

 そんな虚勢を心の中で張り、20帖もある大きな部屋にわしら5人は、部屋の隅っこで集まる……20帖意味なし!むしろさっきの3帖のほうが落ち着くわ~~~。

 

 そんなわしらにスペードは

 「こころばかりですが、歓迎の宴を用意しております。すぐにこちらの部屋に運ばせますのでしばらくお待ちください。」

 そう言って準備の為にゴスンと一緒に部屋を出ていった。


 スペード達の宴会の準備が終わるまで、わしらは部屋の隅で組体操をして待った。

 時には扇、時にはピラミッドをして待った。もちろん余った者は体育座りで待つ。


 そして宴会が始まった。こころばかりと言いつつ、ものすごく豪華な料理、大量のお酒、そして何より綺麗なお姉さん!…天国か!ここは!


 お姉さん達が踊る、揺れる、食い入るように視る!


 食べる、飲む、揺れる、食い入るように視る!の繰り返しじゃ。


 「踊り子さんには手を触れないでください!手を触れないでください!」

 わしは、はしゃぎ過ぎて綺麗なお姉さんに寄って行くマブシを注意する!

 …統括マネージャーかわしゃ!


 とにかくはしゃいだはしゃいだ…前回の第221話の冒頭からはしゃぎ過ぎたわい。


 だいぶ遅くまで飲んだので、これでお開きにしようという事になって部屋は片付けられた。他の4人は酔いつぶれ部屋の寝床で横になっておる。それを満足そうにみやってスペードはわしらに声をかける。


 「楽しんでいただけたようでなによりです。今日は遅くなりましたので私はこれで失礼いたします。ゴスンと他の職員が1階に控えておりますので何か御用があった場合にはお申し付けください。それでは私はこれで失礼します。」


 と挨拶をして部屋を出て行った…。


 わしはその後を追う。スペードとは1度2人きりで話をしたかったのでな。

 ゴスンに聞いたら、スペードは城下町の王城寄りに家があり、商館には毎日通ってきているとの事。商館の玄関を出て数10m出た所でわしはスペードに声をかける。


 「ああ、ジューロー様どういたしましたか?」

 「スペード…お前さんに1つ聞きたい事があったのじゃ。」

 「はい、何でしょうか?」

 

 商館の外は夜遅くという事もあり、人通りもなく静寂が支配している…。

 ただ、空の星はオランウータンと変わりなく2人の上空に綺麗に瞬いている。

 わしは思い切ってスペードに思いの丈を打ち明ける…


 「お姉ちゃんのいるお店はどこにあるんじゃ?」


 

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