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第221話 城下町を楽しむ

 わしは、はしゃいだ!年甲斐もなく城下町ではしゃぎまくった。

 見た目60歳のジジイなのにこのはしゃぎっぷり…皆が引くほどじゃ!


 例えるなら、中の人が60歳のふなっしーっていう感じじゃ…

 中見えね~から見た目わかんね~~~。


 そんなわしを冷ややかな目で見ずに、むしろ好意的に付き合ってくれたゴスン、シスパに感謝じゃ!色々と無視したり、知らんぷりしたり、聞こえないふりしたり…無視したりしてごめんシスパ。良い奴じゃなお前。


 「ほら、これもおいしいですよジューロー様、今城下町で静かなブームで長い時には2~3人ぐらい並ぶという代物ですぞ!1日10個も売り上げた事があるという…」


 …それ、人気無いんでわ。

 …静かなブームってブームじゃないんでわ。


 と不安に思いながら棒に刺さった赤い何かを食べてみる。んっコリコリして噛みごたえがある。最初はあんまり味がしないんじゃが、噛んでいるとだんだん甘みが出てきた。これはあれじゃ、日本でいうところのタコじゃな。


 「…うん、まあおいしいけど普通じゃな。」

 タコを食べた他の者達をみても、みな無表情で食べておる。可もなく不可もなくじゃな。小麦粉があればタコ焼きとかできるのにのう…。


 自信満々ですすめてきたゴスンはそんなみんなの反応を見て少し悲しげじゃ…まあ人の好みがあるからこればかりはしょうがない!


 「次はオレだな!おれのオススメの店に行こう!ついてきな!」

 シスパが自信満々で皆を引き連れる。


 「そこの名物がなかなかの静かなブームでな、行列ができることもなく、行列ができたらいいな~ぐらいでやっているフレンドリーなお店なんだ。」


 …それ、売るきないんでわ。

…まったくオススメではないんでわ。


 と思いながらもシスパにすすめられた棒に刺さった白い何かを食べてみる。ん~何というか生っぽいヌチョっという歯ごたえだな。これもあんまり味はしないな…これはあれじゃ、日本でいうところのイカじゃな。


 「…うん、まあ普通じゃな。ヌチョってする…常温じゃからヌチョって」

 「めっちゃおいしいだろ?なっな?おいしいって、これ!お前等味覚がおかしいんじゃね?」


 …善意の押し売りをしてくるシスパ。

 いるよね~~自分の良いと思った物を絶対的に妄信して勧めてくる奴。異論は認めてくれんのじゃ、そういう奴は。だからはっきりと言う。


 「いや、まずいじゃろ、クソまずじゃ!まずい中のまずい…キングオブクソまずいじゃ!」

 はっきり言ってやった。シスパの顔が恥をかかされ真っ赤になる。


 「すまん…友達の友達の店の手前、本当はオレも言えんかった。クソまずい…。」


 シスパも同調した。汚い奴じゃ、わしに便乗してこれ幸いとカミングアウトしよおった。

 あっ店の店主…驚いた顔で固まっている。そりゃあそうじゃろう、今まで味方だと思っていたシスパにあっさり裏切られたのじゃから…おいしいおいしいと言ってくれてた客がキングオブクソまずいって言ってきたのじゃから…。


 あまりにもうなだれて可哀想な店主にわしから一言アドバイスする。


 「今のままではクソまずいが…とりあえず焼けばいいと思うぞ。醤油みたいな調味料があれば、尚良いのじゃが…塩を振りかけて焼くだけでも十分うまくなると思うのじゃ、やってみ!」


 店主は半信半疑でイカを焼きだす。焼き上がったイカに調味料の中でも安価な塩をぱらぱらとふったのをわしらがもう一度食す。


 「うまい…うまくなってる!進化だ!これはキングオブクソまずいが、イカに進化した~~」


 …おい、店主今まで退化させてたのかよ!その自覚はあるんだ…。

 と心の中で思いつつも本人にはツッコまず、進化したイカを食す。

 まあ普通じゃな。さっきよりも、ちょっとおいしくなったぐらいで。

 これで1日30本ぐらいは売れるじゃろう。


 それ以外にも色々なお店を回った。さっきまでは露天を中心に回っていたが、大通りの石で作られた建物の店舗を見て回る。小物を売っているお店、仕立て屋などの職人の店、色々な種を扱っている店や換金所、などなど先程の露天は果物、野菜などの生鮮食品が多いのとは違い、専門店が多いようだ。大通りを入った中にも道があり、店舗は2重になっているらしい。商業地区といった感じか。それ意外の奥にある家々は居住区らしい。


 城下町といってもかなり広いな…と思っているとさらにゴスンが教えてくれた。


 実は城下町は3つの地区に別れているらしい。それぞれ3つの門があって、わしらが入ったのは一番大きい地区の西門、次に大きい東門、最後に南門。北は山に囲まれているので門は無いとの事。山の前半分を切り開いた形といえばわかりやすいかのう。ちなみに王城はその山半分の真ん中をくり抜いたような形で、山に囲まれていて、門は1つしかないのだという。


 しばらく、色々な店舗を見て回った後、奥まったあまりいい場所ではない所にスペード商会の店舗があった。店舗とは別に、問屋街にも倉庫や商館があるらしいのだが…。


 スペード商会は数ある商会の中でも小規模な商会らしい。城下町で一番大きい西地区は大手の商会のNo.1~3が市場を占めているので、他の中小の商会はどこかしらかの大手の傘下に入っているらしい。


 しかしスペード商会はどこにも属さずに頑張っているのだそうじゃ。手広くやろうとすると何かしらの妨害を受けるとか…受けないとか…と悲しい顔で言うゴスン。受けておるのじゃろうな…。


 そんな話をしながらわしらは陽の暮れかかった問屋街の方を歩き、今日泊まらせてもらう予定のスペード商会の商館に着いた。その商館の前で我々を、スペード商会会長であるスペードが笑顔で出迎えてくれた。あいかわらず爽やかなイケメンじゃ。

 セイムさんを連れてこんでよかったわい…


 

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