第213話 ラ・メーンのこと01
オランウータン村を出て早3日目じゃ。あれからわし、カーン、リューゴス、マブシ、シスパの5人は…
“ドキッ男だらけのゴロ寝ザコ寝野宿”を繰り返しやっと無事に城下町が見える小高い丘まできたのじゃ。この3日間何事もなく無事に着いて良かったのう……
「おい、ジジイ!どこか何事もなくだ!」
「シスパ…ジジイって容赦なしか!王様に呼ばれておる来賓に向かってジジイとは…わしもう行くのやめようかな…。」
「ごめんごめん。気悪くした?いいじゃん、ず~~っと旅した仲じゃん~~ん、ず~~っとタメ口だったじゃ~~ん3日間。」
「…敬語じゃ。ここから先はジューロー様と呼べ!」
「…はい、失礼しました。ジューロー…様…。」
「何じゃ?納得してないようじゃのう。あ~~帰ろうかのう、城下町を目の前にもう気力が…。痛い、腰が…。」
「いえいえいえいえめっちゃ尊敬しています、ジューロー様の事。尊敬する人は?って聞かれたら二の次に答えますよ、ジューロー様って。」
「二の次って…じゃあ一番は誰なのじゃ?」
「ペットのダイゴロウです。」
「ペットか~~ペットの次か~~~~~。じゃあ王様は?」
「5番目です。」
「低!王様リアルに低いな…尊敬していないんじゃ…。」
「いえ、今があるのは王様のおかげです。今急上昇しました。忘れていました。王様1番でした。」
…シスパ、マジなのか、天然なのかわかりづらいなコイツ。
「まぁ冗談は置いておいて、全然何事もなかった事ないダスよ。ジューロー殿。」
「そうですよ、ガッツリ、ラ・メーンがおれらの事襲ってきたじゃないですか。忘れたんですか?」
「………………ボケ?進行中?」
シスパとのやりとりに見かねた、カーン、マブシ、リューゴスがツッコんでくる。わかっとる、わかっとる。覚えてるっていうの。ほんの1日前の出来事じゃもん。まったくシャレの分からん連中じゃ。
「ラ・メーンが襲って来た一大事をサラッとなかった事にする、体を張ったギャグじゃがな。」
「シスパさんがツッコまなかったら、本当に流すつもりだったでしょう。ジューロー様は。」
「いかんダス、それは。わたしが活躍した話なのに…。絶対紹介するダスよ!。」
マブシ、カーンに促され、しょうがなくわしはその話をここに記す事にする。は気乗りしないけど…それではダイジェストでどうぞ!
※※※※
「は~っはははラ・メーンだぞ。お前やっつける」
「でたな!オレお前倒すダス。とりゃああああダス。」
「ぐわっ、ラ・メーンなオレ、カーンにやられた!にげる。」
「勝ったダス。オラが勝ったダス!」
※※※※
ーーーーということがあったのじゃ。
「「「「ダイジェストすぎるだろ~~~~」」」
「ら・メーン自分で自己紹介してるし、やられた時も」
「もっといろいろあったダスよ!。あんな事やこんな事も!」
「………………手抜き過ぎ。」
わかった、わかった。まったくダイジェストだったらこんなもんじゃろ。カーン以外みんな体育座りで戦いを見ていたんじゃから。ああ、間違えたシスパだけ女座りしてたわ…。
女子か!久しぶりにこのツッコミ、女子か!
シスパ兵士長なのに女子力高いとは…恐るべし!。
まあ、そんなにひっぱるような話でもないので、それでは~~~~~今週のカウントダウン!!
※※※※
森を出発してからだいたい5時間くらいか、わし等は今、オカタ山のすぐ横を通っておる。
「これが、前半にさんざん高尾山と混同しておったオカタ山か…。」
そんなに高くない山とはいえ、そこそこ大きく見えるな、ふもとから見上げると…。もちろんわし等はオカタ山を登らずに迂回するルートで平坦な道を進んでいるのじゃが。
「俺は初めて見るダスな~オカタ山は。」
「オレは3回目ぐらいだけど、まだ1度も登った事ないんだよな~。」
「…………………………………。」
「なかなかいいぞ、そんなに高くないから気軽に登れるしな。熊など凶暴な動物もいないから安心して登る事に専念できる。」
カーン、マブシ、リューゴスのオカタ山についての感想にシスパは、何度も登った事アピールをしている。
ネズミもあそこから落とされてよく無事じゃったな…。素直にすごいわ。侮っておった。すまんネズミ。…まあネズミっていうあだ名自体がすでに侮っているがのう。
さすがにちょっとした観光地なのじゃろう、結構大きな街道がしかれ、そこそこオカタ山に行く城下町の人々ともすれ違った。やはり人種としては森の民もアルーン村へ行った時もそうじゃったがみんな一緒じゃな。ただ服装が違うだけで…。
すると目の前を若い娘、推定15~18歳が2列にならんで6人ほどがわしらの横を通り過ぎた。わしはその様子をそれとなしに覗き見していたのじゃ。いや、覗き見とは人聞きが悪いな…。正々堂々とガッツリ、ガンミしていたのじゃ。
事件はその時におきたのじゃ…。
次は23時に投稿します




