第212話 王城へ向かって
すみません。2月7日から2週間更新お休みしていましたけど。
とりあえず今日明日の土日に3話、4話投入しようと思います。
王城編よろしくお願いします。
「整列!番号!」
「いち」「に」「さん」「し」
「なに?1人足らないじゃないか!誰だ一体、後で折檻だ!
あっオレ入れてなかった。メンゴメンゴ。」
………王城への案内役を王様から仰せつかったシスパがウザイ。どんだけ楽しみにしてたんだってツッコミたいぐらい、出発当日の朝早くから集合場所で待っていたようじゃ。
「1人だけ場違いな元気ハツラツな奴がおるようじゃが…。」
「何、リューゴスお前か?そんなに王城へ帰りたかったのか?しょうがねーなー。オレが連れて行ってやるから付いてこいよ。ダハハハ。」
「…………………ウザッッッッ」
リューゴスが心底嫌そうな顔をしておる。
「お前じゃ、お前の事じゃよシスパ。」
持っていた長めの棒でシスパの頬をグリグリと突き刺す。
「はっハシャイでなど……すみません、ハシャギすぎました。」
「分かればよいのじゃ。分かれば…少し黙っててくれる?」
今回はカバ2頭にそれぞれ大量のオランウータン産の交易品を荷馬車に引かせていく予定じゃ。シスパは1人ダチョウに乗って先導することになっておる。
メンバーはわし、リューゴス、カーン、マブシの4人じゃ。まあ、あまりにも引き連れていくと、城下町の人に田舎者だとバレてしまうからのう。少数精鋭じゃ。
…ウソじゃ。本当はセイムさん、エメリさんなど女性も連れて行きたかったのじゃが、無理だった…それ以外の連れて行ける女性といえば、仕事のあまりないお年寄りしか予定が空いていなかったのじゃ。まあそれでもわしより年下じゃけど…断る!誘っていないけど断固として断る!
だから今回の旅は、むさい男達だけじゃ。王城までカバだと2、3日の行程らしい。リューゴス以外は、みんな城下町初めてじゃ。城下町バージンじゃ。
あと最後に1つだけ。前回に予告していたカーンドッキリ、実は実行したのじゃが…シャレになんなかった。放送コードギリギリアウトじゃから放送予定無しになりました。
まあ、それでも文字にするならOKじゃとおもうので簡単にあらすじを書くと…
城下町に妹がいるかもしれないという情報を聞いて、いてもたってもいられないカーンが王城行きを直訴して認めらる。一旦準備をするために自分の森に帰ったが、約束の日時に集合するもジューロー達、王城出発組達はすでに出発した後だった…という設定のドッキリじゃったのじゃ。
わし達はカーンが到着した時、森の木の影に隠れてその状況をずっと遠くから眺めていたのじゃ。森の若者に協力してもらって、わし達が昨日出発したと伝えてもらったら…
カーンはよっぽどショックだったのか、しばらくその場に呆然と立ち尽くしていた。隠れてみていたわし達はさんざん笑った後、出て行こうとしたらそれは起った…。
カーンが暴れまくったのじゃ。それはもう鬼気迫るものじゃった。あんた何将軍?っていうぐらい暴れまくったので、わし達はこれはいかん!と暴れるカーンを取り押さえるために飛び出したら…
わしらが出ていった事により、カーンが騙された事に気付き、怒り狂って狂って…いきなり貴重な油を頭から被ったのじゃ。幸いにもこの時代にはライターなどすぐに火をつけるような物はないから、火ダルマになるような事はなかったのじゃが…引くっ!
ここから壮絶なヌルヌル相撲じゃ。油がすべってすべって取り押さえれん。ぬっちゃぬっちゃで、つるつるじゃ。騒ぎを聞きつけた森の民がそれをみて大笑い。すわっ、へべれけヨコチン尻相撲に変わる新たな催し物か!と沸き立ったのじゃ。しかし油はまだまだ貴重品じゃ。却下する。だけど女性限定ぬるぬる相撲なら…ありじゃな。
そんな事がありまして、出発する前にもうすでにわし等は疲弊しまくっているのじゃ。だからシスパのウザイテンションに付き合う気力もないのじゃ。
「ジューローが悪いダス。純真無垢なオラを騙すなんて、本当にこの村ごと自分も燃やし尽くされてやろうと思ったダスよ。」
「お茶目な年寄りのドッキリで燃やし尽くすなよ!お主が死んでは妹に会えなくなるぞ。本末転倒じゃ。」
「それぐらいの怒りだったという事ダス。身も心も焼き尽くす思いだったダス。」
「本当に連れていかずに置き去りにしてたら、ずっと命を狙われそうじゃわい。」
という事で放送できないのじゃ。文字だけで楽しんでくれれば幸いじゃ。
「もう出発していいか?なっ?行くぞ、いいか?」
…聞いてなかったのかシスパ、今の話を。というか、この出発前に疲れ果てまくっているわしらを見て察しんか!大丈夫ですか?の労りの一言もないのか!
「シスパ悪いのう、わしはもう歳じゃて…わしに構わずお前等だけでも先に行ってくれんかのう。すぐ追いつくで、ダチョウですぐに追いつくでのう。」
「ジューロー殿汚い!休んでくるつもりだ、ぐっすり1日休んでくるつもりでしょう」
「…………………………汚い。」
そうじゃ、わしはゆっくり休んで明日出発しよう。ダチョウならすぐに追いつくじゃろう。こういう時、お年寄りの容姿はいいのう。みんな優しくしてくれて…。ごめんやっぱり外見は若いほうがいいわ。だって、もてないんだもんお年寄りだと…。
そんな目論みは空気読めない君には全く効果がなかった。
「さ、ジューロー様、俺の背中に乗ってください。」
シスパが背を向ける。
「いや、だからね、わし休みたいな~って。出発明日でもいいんんじゃないかな~って思うんじゃ。わし年寄りじゃぞ。」
「はははは、遠慮なさらずに。ささっ行きますよ。」
こうしてわしは空気の読めない、いや本当はわかっているくせに、強引にシスパの背中に縄でくくり付けられ、産まれたての赤子のようなポーズで森の民に見送られて王城へと出発したのであった。
次は20時に投稿します




