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第208話 カーンへの質問

 「オレも王城に連れて行ってくれ!頼むダス。」

 カーンがわしに会うなりいきなり頭を下げてきた。


 「いきなりどうしたのじゃ?」わしが聞き直す。

 「リーン、妹の手がかりが見つかったと聞いたダス。だから俺も連れて行ってくれ。」

 ゴスンの話がどこからか漏れて伝わったようじゃ。


 「まだまだ情報の段階で、見つかったとまではいかんのじゃが。」

 「それでもいいダス。違ってもいいダス。いてもたってもいられんのダス。」


 「お前にはお前の仕事があるじゃろうが、それを放って行くという事か?」

 「くっ…今からすぐに帰って俺がいない間を頼んでくるダス。俺がいなくても仕事を滞り無くすすめれるように手配してくるダス。」


 「ふむ。」

 わしは腕を組み目を閉じて考える。王城行きは決まったばかりで、まだ誰を?何を?とか

全く決めていない状態なのじゃ。


 だいたい連れていくのは、わしの護衛兼、戦闘要員担当はジョコかセコス。ジョコの方がわしを慕ってくれている分、御しやすいから連れていきたいのじゃが…。セコスは抜群のセンスでわしのボケにツッコんでくれるから捨てがたい…。甲乙付け難し!ん~~悩む。


 リューゴスはわしの弟子じゃから絶対に連れていくけどね。戦力にもなるし。あとはマブシは絶対いるしな。戦力はそこそこなんじゃが、役割としてはボケ担当じゃな。だれかオチがいないと締まらない時もあるし、相手を見極める為の踏み台としても使えるしのう。ひどっ。


 あと今回はセイムさんかエメリさんを連れて行きたいのじゃ。アルーン村の時はピチュが唯一の女性キャラじゃったが、まあ特に出番もなく終わってしまって活躍できなかったしのう。王城・城下町に行くという事で華やかさが欲しいのじゃ。あと、わしが一緒に行きたいのじゃ!連れてはべらしたいのじゃ!力強く言いました。どちらかというと悩む…いっその事2人とも連れていこうか!うん、そうしよう!


 そう考えるとカーンの役割は…頭がキレるから参謀もしくは戦闘要員じゃな。参謀といっても、今回の王城はカーンも初めてらしいので役に立たなさそうじゃから、やっぱり戦闘要員じゃけど、カーンって強いのか?そういえば、戦った事無いし、戦ったところを見た事もないわい。元盗賊の頭だから強いのかな~、みんな従っているから強いのかな~ぐらいで。


 まあ、あれこれ考えてもしようがない。ここはカーンの器を計ってみようか!


 「今からわしがカーンに問題を出す。それに良い答えを出せたら連れていこう。よいか。」

 「わかった。どんな問題でも解いてみせるダス。」


 「それでは第1問! 皿の上にドングリがあります。まさお君が箸で違う皿に移します。さて、まさお君は1分間で何個移す事ができるでしょうか?」


 「えっまさお君の問題というか、まさお君チャレンジじゃないダスか?それ正解あるダスか?まさお君次第じゃないダスか?まさお君いくつ?ヒントは?ヒントないダスか?」


 「ヒントはなしで~す。お答えください。チッチッチッチッチッあと10秒」


 「え~~っと、まさお君はそもそも箸が使えないダス!」「ブー」

 「まさお君はよしお君だったダス!」     「ブー、惜しい」

 「そもそも、まさお君はそんな事しないダス!」「ブー」

 「まさお君は猿ダス!」

 「ピンポンピンポン正解です!まさお君は人間ではなく猿でした。」

 もちろん猿といっておるが、この世界では猿のような動物の事じゃよ。


 「よくわかったのう?」

 「っていうか、この問題ジジイ次第じゃないダスか?ジジイの気分次第で、何でもありじゃないダスか?」

 「そうじゃ、合格も不合格もわしの気分次第じゃ。お主もそれほどの無理難題を要求しておるのじゃ、同じ事じゃろ?」

 「ぐっ、分かったダス。異論はないダス。」


 「今のはサービス問題じゃったな、それでは第2問じゃ。セイムさんとエメリさんどっちが好み?」


 「二人とも全然タイプじゃないダス。」ぼそっ


 「ピンポンピンポン正解です!ものすっごい無表情で、感情のこもっていない小声に腹立つわ~。腹立つけど、腹立つけど正解じゃ。」

 ここで、悩んだりあえて1人に絞りこんだら即終了じゃった。


 「ちなみにどういった女性が好みなんじゃ?」

 「デブ専ダス。」きっぱり!


 ジョコ…ここにもおったぞ。仲間じゃ、デブ専ネットワークの仲間じゃ。関係ないけど電撃ネットワークと響きが似てるね。


 「それでは最終問題じゃ。正解すれば1万ポイント入ります。」

 「ポイント制だったダスか?今まで。今までの問題意味なしダスな!」

 お約束じゃ!


 「問題、あなたは家族と仲良く暮らしています。そこへ盗賊が妹を人質に両親を殺せといいます。さて、あなたはどちらを助けますか?」

 わしは今までの不真面目な話から一転、真面目な顔をしてカーンに問いかける。


 一瞬ギョッとした顔を見せるも眉間にシワを寄せキッとわしを睨む。

 「両方助けるはだめじゃぞ、必ずどちらかしか助けれん。」


 「………………………………………………………………」

 長い時間カーンは考える。そんなカーンをわしも静かに見守る。




 長い静寂の後、カーンは意を決したようにわしの顔を見て話出そうとする。

「俺は…………」


 その言葉を聞かずにわしはカーンの話にかぶせる。

 「正解なんぞない、今の問いかけは自分自身への問いかけじゃ。簡単に諦めるな、考えて考えて考え抜け!」


 「……………はい。」

 カーンは小さくうなづいた。


 「よし、それではお主も王城へ行くメンバーに加えよう。近々出発するので、自分の居ない間の仕事の割り振り、準備をしてオランウータン村へ集合じゃ。」


 「はっ、すぐにまた戻ってくるダス。」

 とカーンは急いで荷をまとめてカバに乗って帰えっていった。


 カーン一行を見送りながジューローは思う。

 これでカーンが来る前にわしらが王城へ出発したら、カーンに殺されるかもしれんのう…わし。…そういうドッキリ大好物じゃ!


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