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第206話 ゴスン貞操の危機

 その後の宴会はなにごともなく無事進行中じゃ。


 最初はトンカツの事もあって殺伐とした雰囲気を醸し出しまくっていたのじゃが、不機嫌ながらも酒が入り出すとウソのように陽気な酒になる。この世界の人もやはり、お酒が人間関係の潤滑油なのは変わりないらしい。まあ毒にもなるけどな。むしろお酒でギスギスすることもあるけどな…なっ?


 カーンも森の民とうまくやっているようじゃ。酒が入ると陽気になるようで、普段はクールなくせしよおって。ダスダス聞こえてくるわい。


 そんなボッチのわしにゴスンが声をかけてくる。

 「いや~~ジューロー様、あのトンカツなるメニューすごかったです。初めて食べましたよ、揚げ物などというのは。ぜひスペード商会独占で扱わせてもらいたいですね。油を。」


 「こんな酒の席で仕事の話は野暮じゃな。」

 「いや、すみません。つい。」


 実はゴスンも昼に来ておったのじゃ。わしはカーンの付き添いで昼間は会えなかったのじゃがな。


 ついでにこのおっさんも…

「おい、ジジイ!飲んでるか、イエ~~イ!俺なんて護衛なのに飲んじゃってるもんね~~~~。」


 「久しぶりの登場なのに…良いのかそれで?そんな酔っぱらって良いのか?シスパ?護衛なのに。」


 説明しよう!シスパとは…ただのおっさんです。


 「だ~~れが、ただのおっさんじゃ!兵士長だぞ俺は。まあまあエライんだぞ。しかも王様直轄なんだぞ!俺は。」

 「はいはい、おじいちゃん飲み過ぎないようにね~~~。」


 自分以上のジジイであるわしに、軽くあしらわれるシスパ。なにやら用事があるとの事で、ちょうど定期便のあるスペード商会と一緒に、護衛という形で来たのじゃった。


 族長であるゲタンに会って打ち合わせをしていたようじゃが、まあ、あれしかないじゃろうな。シスパが来たという事はあれが出来たんじゃろうな~~~。


 「と、言うことでゴスン、宴会が終わった後わしの部屋まで来るように。わしは今からこのおっさんの相手をしなければいかんのでな。」


 「は、はい。何でしょう私に話というのは。」

 ちょっと驚いた顔をするゴスン。


 「いや、何ちょっとした事が聞きたいだけじゃが、あっそうだ、下着だけはちゃんと新しいのに変えてくるんじゃぞ。ふっふふ」

 とだけ言い残しシスパの相手をする。


 軽い冗談のつもりじゃったのだが、ゴスンはその場でうなだれ、先程の陽気なふるまいから一転落ち込んでときよりこちらをチラ見しては、ため息をついていた。


 そういえばゴスンはアルーン村でもわしのこと男色だと思っていたし

 シャレになんないか?

 マジメか!


※※※※


 その後、宴会も終わりわしは自分の家の部屋で1人酒を飲んでおると、コンコンと扉をたたく音がする。

 「開いておる、入ってよいぞ。」

 「はっはいいい。」

 ちょっと上擦った声でゴスンが入って来た。


 顔は緊張でこわばっておるが、酒が入っているのかまっ赤かじゃ。


 「足をくずして楽にしてくれ。」

 「はっはいいい。」

 「ゴスンも酒を飲むか?」

 「はっはいいい。」

 「トンカツは旨かったか?」

 「はっはいいい。」

 「今日の宴は楽しんでもらえたかいな?」

 「はっはいいい。」


 ……ずっと上擦っておる。


 お互いに無言で酒をつぎ、つがれて飲む。しばらくするとゴスンが意を決して


 「…ジューロー様、わたくしゴスンは覚悟を決めてきました。前々からそうじゃないかと…その噂になっておりましたので。いつかは…いつかはわたくしに声がかかるのでは…と。こんなイケメン見逃さないぞとは思っておりましたが…。」


 「いや、ゴスンはなかなかのブーちゃんじゃぞ!丸々しておる。決してイケメンではないぞ。」

 正しく訂正しておいた。


 「イケメンで性格も良いと自分の中で評判の自分を男色ハンタージューロー様が見逃すはずはないと思っておりました。」


 わしの訂正聞いてね~~~~~~。

 自己評価高いなコイツ。謙虚な振りして高いな。勝手にわしを男色にすんなよ。わし1回も言った事ないし。むしろ、セイムさんとエメリさんに迫っているじゃろ!いつも。


 「まだ、女性とも経験のないわたくしですので、…ので…や、優しくしてくださ~~~~~い。」

 と意を決してゴスンがわしに向かってきた。


 その意を決したブサイクな顔を両手で押さえ込み、しばらく対峙した後、右に合掌ひねりで押し倒す。

 「落ち着かんか!このブサイクが!このブサイクチャンピオンが!」

 「ひどっ、合掌ひねりをくらったばかりの俺に罵声の数々…ひどっ!」


 「お主に聞きたいのは前々から頼んでおったリーンのことじゃ。何か城下町で分かった事はあったか?」


 「ああ、その事ですか。もちろん調べております。」

 わしはスペード商会を通じて城下町、王城でリーンという16、17歳の女性を探してもらっていたのじゃ。


 「ええと確か城下町にリーンという女性が3人いまして、そのうち2人は身元が確かで条件に合わなかったのですが、1人幼い時に現在の両親に育てられた女性がいます。今のところその1名だけ該当しています。王城関係はまだこれからといった感じです。こちらがその詳しい資料です。」


 ゴスンは1枚の紙を差し出す。そこにはリーンという女性の現在の状況が細かく書いてある。


 「ありがとう、だが引き続きリーンという女性の情報は集めておいてくれ。できれば名前ではなく、境遇でも探ってもらいたいのじゃ。」

 もし引き取られていた場合は名前が違うかもしれんしな。


 わしはまた、その労をねぎらうためにゴスンに酒をつぐ。注いで注いでつぎまくる。酔わせて酔わせて酔わせまくる。


 そうじゃ、今日はゴスンを酔わせまくるのじゃ。わしには目的があるからのう…くっふふふふふ。

 新しい下着をはかした目的があるからのう…くっふふふふふ。


 次回につづく!期待して待て!

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