第191話 ラ・メーンの目
「ちょうどいい、マブシと一緒にみろ!オレの目を」
「誰っすか?この若造・・目上にタメ口で」
マブシが睨む。チャラそうに見えて意外に上下関係には厳しいのじゃ。
「誰だか知らね~けどこっちのが年上だから、敬語使えや!あん」
この世界に敬語があるのか?という疑問はさておき、
すごい強気じゃな・・・マブシ。
「くっ・・・」
一瞬苦虫を噛み潰した顔としたラ・メーンじゃったが・・・
「おれの・・ボクの目を見てください。お願いします。」
言うんだ~~~~ラ・メーン素直に従うんだ~~~~。
よっぽど見て欲しいのじゃな、こいつ。
「わかった、みてやるよ。ねっジューロー殿」
「あっああ、いいよ。一緒にみようかのう。」
「じゃあ、見てください。どうです?前と違うことないですか?」
わしとマブシでじっと、目をみる。
「ん~~~わからんのう。あっ一重が二重になった?」
「あ~~っアイプチですよ、アイプチ。だろ?」
「いやいや、違うでしょ、前と。ほら、見て!見て」
必至じゃな。ラ・メーン。
「つけま?つけまじゃろ?」
「わっかんね~~、もういいよ、正解教えて?って誰こいつ?」
投げやりじゃな・・マブシ。
「諦めないで!マブシさんならわかるでしょう?ヒント色。目の色が・・・・」
「え~~何でオレ。目が充血して赤いって事じゃなくて?で、誰こいつ?」
「ん~~~もう負けに負けて正解~~~~。
前回までは、オレが身体を乗っ取ると目が赤く光っちゃうから
すぐラ・メーンだってバレちゃったけど、もう目が赤く光らないんで
わかりづらくなったでしょ?
そう言ってて、今回はすぐにジューローに見つかっちゃったけど。」
「え~~~地味じゃわ~~~。すんごい地味じゃわ、そのレベルアップ。
彼女が前髪少し切っただけなのに、変化に気づかなかった事で
ぶち切れされたぐらいのレベルで気づかないわ。」
「お前が言うな!そっちのレベルアップだってしょぼかったくせに。
そっちに比べたらだんぜんすごい、レベルアップだと思うぞ。」
しょぼいと言われた事がイラッとしたのか、ラ・メーンがくって
かかってきた。
「わしのはすごいじゃろ?若返ったんじゃぞ。実感全然ないけど。
300日も若返ったんじゃぞ!実感全然ないけど。」
「それこそ、意味なくね?ウソでもわかんない事ね?
それに比べて俺のは、もうビジュアルからしてわかりやすいからね。
これでもう、“あっあれラ・メーンに乗っ取られてない?”って
後ろ指さされること無くなったんだよ。すごくね?」
「後ろ指差されていたんかよ!」
わしがツッコム。
そんなわしとラ・メーンのやりとり中、マブシがいきなり・・・
「おりゃあああああ」
ラ・メーンに殴り掛かる。
それを半身でかわし、マブシの腕を掴む。
「何、クッチャベってるんですか、コイツは敵でしょ。」
いつになくシリアスにラ・メーンを睨み、腕を振りほどくマブシ。
「テメエだけは許さねえ。覚悟しろよラ・メーン。」
以前いいように操られたマブシは色々な思いがあるようじゃ。
「やっと気づいたかマブシ。相変わらず頭が悪いな・・」
先程の和気あいあいムードから一転、
獰猛なヘビのようなするどい眼光に変わる。
あ~~あ、せっかく今回は無駄な戦いをせずにすむと思ったのじゃが、
結局戦わんといかんのか。
一度ラ・メーンとゆっくり話がしたいと思っておったのにのう。
ラ・メーンは後ろに飛び、わしらと距離を取る。
2対1じゃからな。警戒したのじゃろう。
そしてまた、ラ・メーンが話出す。
「この世の中はおもしれーな。色々な人々がいるし、いろいろな性格の人もいる。」
「何が言いたいのじゃ?」
「おれが乗り移る事により発揮される異能な能力・・・・。
色々な異能な能力もあるってことだ。
そこのマブシのような、しょぼい能力も含めてな。」
「俺の能力がしょぼいって?言ってやってくださいよジューロー様。
俺の能力のすごかった所を、さあ。」
「カスじゃな・・・。マブシの能力は・・・確かにしょぼかったな・・・」
「えっ、いやいや色々すごかったでしょう。本当は。」
「う~~ん実は思い出せんのじゃよ。記憶に残らないぐらいしょぼかった・・・」
あっ意外に堪えたみたいじゃ。マブシがマジへこみじゃ。
うなだれておる。
「そんなあなた達に朗報です。
この人物の能力はなかなかおもしろいぜ~~~。殴りかかってこいよ、
さあ!二人がかりでもいいぜ~~。」
わしとマブシはお互いに目配せをして、一斉にラ・メーンに殴りかかる。
よけるか、何かエフェクト的なものがかかって反対にやられると思いきや
そのまま、まともに食らってラ・メーンの身体がふっとぶ。
「あれ?何もないのか?」
「期待ハズレでしたね。」
・・・・♪・・・・イッ♪
「ん、なにじゃこの音楽は・・・」
かすかに、聞こえる歌声・・・・
初めは小さくか細い声だったのが・・・
どんどん大きくなる。
ファイッ!ファイ♪ タ~~~~ララ~ラ、ラ~~ララ~♪
ラ・メーンが倒れていた場所から、どんどん大きな歌声が聞こえ出す!
イメージは・・・そう闘魂注入の人です。
さあ、皆さんご唱和願います!




