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第188話 森に帰る

わしは心地よい揺れの中にいた。


どうやら眠っているようじゃ。


長い長い夢を見ていたようじゃ。


怖い夢をみている途中で「あれ?これ夢じゃね?」と気づく事があるように

今、わしは眠っているのに起きているような感覚なのじゃ。


この揺れは・・・なにか心地よいゆったりとした揺れなのじゃ。

たぶん荷車の上なのだろうか?

そんなような気がする。


ふと思う・・・・

本当はわしは死んでおらんかったのじゃないだろうか。

小林十朗として、まだベッドの上で意識を失ったままなのではないだろうか。


ミチミカと出会い、惑星ドリスに転移され、セイムさんと出会い

森の民として受け入れてもらって、ラ・メーンに狙われて、

カーン一味と出会い、帰りにお地蔵さんに出会った。


すべてはわしの夢だったのじゃないだろうか。

すべてはわしの頭の中だけの冒険だったのじゃないだろうか。


そんな事も考えていたのじゃ。


「あっ、ジューロー様が目を覚ましたみたいだよ!ジョコさん」


その声に反応して、次々に皆コメントをくれる。


「ああっ、ジューロー殿、起きられましたか。心配しましたよ。」

「・・・・・・・・ずっと寝てればいいのに」

「いきなり、寝ちゃうんだもんな~~ジューロー殿が。びっくりしたっすよ。」

「ジジイ歳なんだからあんまり無理すんなよ!」


わしは目を開け、ゆっくりと起き上がるとそこには・・・・


初めに声をかけてくれたレイクを始め、

ジョコ、リューゴス、マブシ、ピチュみんながその場にいた。


みんなそこにいたのじゃ。


「もうすぐ着きますよ、ジューロー殿。もう少し休んでてください。」

ジョコがわしに気遣って声をかける。


「カーンの所から帰る道中でいきなり、ダチョウに乗ったまま

意識を失ったのを見た時はめちゃめちゃびっくりしましたよ、ジューロー殿。」

マブシが隣のカバに乗ったまま、わしの顔を覗き込む。


「ほんと、ほんと。逝っちゃったかな?って思ったもん。

あっ息してないんじゃね?って、ぎゃははは。」

その後ろに乗るピチュも減らず口を聞きながらわしに声をかける。


「・・・・・・歳?歳?」

一応心配してくれているようじゃ、リューゴスは。


「ジューロー様は死なないんだよ!。

もし死んでもボクがミイラにして飾っておくんだ。」

優しい子じゃな・・・

レイク・・・・・・


ミイラって!全然優しくないよ、それ!

かなり猟奇的だよ!


「みんな、心配かけたな。わしは生まれ変わったのじゃ。

わしは1度死んで、ジューローとなって生まれかわったのじゃ!」


本当の事じゃ。本当に地球から小林十朗から、

ドリスの森の民、ジューローとして生まれ変わったのじゃ。


もちろん、みな全然信じてくれていないが、

そんな事はいいのじゃ。わしの新しい決意表明なのじゃから。


「あっもう村の入口だ!みんな迎えに出てくれているよ。」

レイクの言葉に前を見る。


大勢の森の民がわしらを出迎えに来てくれていた。

待ちきれない子ども達が、こちらに走って近寄ってくる。


みんないる。知った顔も知らん顔も。

みんなわしらを温かく向かえ入れてくれた。


そうじゃ、森の民だから。というか、

森の民自体が1つの家族みたいじゃからな!。


わしはカバの荷台から飛び降り、

先頭で出迎えてくれているゲタンに歩いて向かう。


アルーン村に向かう時と変わらず、ニヤニヤバカみたいな顔しよおって。

だが、この余裕な態度がわしら、森の民に安心感をもたらすのじゃないかのう。

現にわしも、ゲタン族長のいつもの態度をみて心が安らいだのじゃ。


「わしがおらんでも悲しくなかったかいのう?」

「ジジイ、わしが悲しいわけないじゃろ。毎日笑って過ごしていたわ。がはは」


「うそつけ、顔に書いてあるぞ。やっと帰ってきてくれた~~うれし~~とな。」

「まあ、ジジイがいないと退屈は退屈だな。張り合いがないからな。」

今度は高笑いではなく、ニヤリと笑う。


「そうじゃな、わしも馬鹿にする相手がいなくて張り合いがなかったわい。」

と二人見合ってニヤリと笑う。


「さぁ、今からお主達の歓迎パーティーだ。もちろんたっぷり土産話もあるんだろ?」

「ああ、アルーン村、村長誕生から盗賊退治の武勇伝、油伝説の幕開けと

土産話には事欠かんぞ!」

「それは楽しみだ!」

ゲタンに促され、家の中に入ると・・・そこには・・・


エメリさん、セイムさんが、待っておった。

正確にには今から村総出で行うパーティーの料理を作っておったのじゃが、

わしを見つけると、手を休め近寄ってくれた。


「おかえりなさい、ジューロー様。ご無事でなによりです。」

「おっ!ジューロー、大丈夫だったか?・・・・んっどうしたんだ?」


セイムさんとエメリさんがわしを見て心配そうに、わしの顔を覗き込んだ。


わしは気づかないうちに、頬を涙が伝っていた。


なんじゃろう。二人を見たとたんに胸が熱くなり涙が出てしまったのじゃ。


ぽろりっとな。


夢でみた、磔にされた二人。

助けられなかった自分のふがいなさが、

夢ではなく、現実のように感じられた自分のふがいなさが、

二人を見て蘇り、悲しくなったのだが、

それと同時に夢でよかった。二人が生きていてくれてよかったという

安堵感が、わしの胸に熱く広がったのじゃ。


いぶかしがる二人にわしは一言。

「ありがとう」


と、しぼりだすのが精一杯じゃったのじゃ。


ここで完!となったら驚いてくれますかね?


187話の何者かとの対話で「階段をのぼり永遠に生きる」を選択してジューロー「森の民編」を終了して第二部に突入する展開にしようか、すんごく悩んだのですけどね・・

急展開で違う方向に物語が動いたほうがおもしろいのじゃないかな~とものすごく迷ったんです・・・・・


全然回収してないんで…ちりばめておいた伏線を。

それにまだまだ全然開発したりてないですし・・・王城にも行ってないし・・・

200話まで目前ですし・・という事でまだまだ全然終わりません。


これからもよろしくお願いします。

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