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第185話 のまれる

わしらは数日間カーン一味と共に過ごし、

何度も何度も寝食を共にした。そして愛情が芽生えた・・・・

カップルも誕生した。そして子どもも・・・・


いや、本気にするじゃろ!

どこまでが本当でどこまでがウソかわかりづらいわ!

・・・以上ジューローのツッコミでした。


わしらは数日間カーン一味と寝食を共にし、

アルーン村からのジョコ達を待って合流して、

1泊した後、これからの事を含めたすべての案件をカーンに押しつけ・・・

や、一任して森の村へと帰路につく。


わしらはダチョウ2頭と、カバ2頭に乗り分けいつものように街道を歩く。

ゆっくり歩いておった。


今回の遠征は、日にちにするとだいたい10日間・・・

いろんな事があったのじゃ。


ただ単にアムーン村に行って、わしがチヤホヤされて帰って来るだけの

お気楽な旅だったのに・・・・

いろんな事があったのじゃ。


オムラの鼻っ柱をへし折ってやった事、

盗賊に荷台の物を盗まれそうになった事、

その後カーンと知り合い、油の採取、製造全般にまかせた事。


アルーン村では悪徳族長オペロンを始末して、

わしが族長になり、シュトラに一任した事、

それを知ってゴスンが驚いていた事。

ふっふふふ、あのゴスンの顔を思い出すだけで、ご飯3杯はいけそうじゃ。


まだあるぞい。

その帰りにソウザ一味を退治して植えてきた事、

一応今日にもみな、掘り出される事になっておる。

指示をしておいたのじゃが、これで反省しないようじゃったら・・・

その後の処理は・・・・神のみぞ知るじゃ。


この旅のわしの数々の武勇伝を聞いたら、ゲタン、セコスも悔しがるじゃろうな。

セイムさん、エメリさんと会うのも楽しみじゃわい。


あっ個人的に土産買ってくの忘れた!

まあ、今回はアルーン村で仕入れた肉とかあるし、

無事に帰れたわしの身体1つで勘弁してもらおう!

寝かさへんで~~~~今日は!


・・・調子にのりました。

ふふ・・・想像しただけで愉快じゃわい。


================プツ===================


ふと、目の前が暗くなったように見えた。

あれ、何も聞こえない。

耳鳴りか?と思いツバを飲み込むがやはり何も聞こえない。

無音じゃ。


気づくとわしのまわりにも誰もいない。

ジョコ、リューゴス、マブシ、ピチュ、レイクがいない・・・


道もない。


なにかたいらな・・・・道というか、終わりのない地平線、

無機質な、何の素材なのかわからない、真っ平らな上を歩く。


すると、前方にポツンと明るい場所が浮かびあがる。


わしは無意識にそこに向かっているようじゃ。

わしの意思ではない。

何かに導かれるように、ただそこに向かって歩く。


近づくと、その灯りの下が見えてくる。

だんだんと見えてくる。


それは人の形に見えて来た。

だんだんと人に見えて来た。


それは・・・・・


右手に錫杖を持ち、立派な袈裟のような豪華な服。

坊主頭の幼い子どものように見えた。

・・・お地蔵さんと形容するのが正しいと思う。


お地蔵さんに話しかけたが返事はない。

お地蔵さんは目をつむり微動だにしない。


するとどこからともなく声が聞こえる。


【あなたがジューローですか・・・】


目の前のお地蔵さんの口は動いてはいない。

そもそも大人のような声がわしの耳ではなく、

頭に響いて聞こえるような感じなのじゃ・・・・

そう、リイナの念話のような。


【実物で見ると、またひと味違ってみえるようですね】


大人なのか子供の声なのか、わからない。

だが、嫌ではない。

心地よいリズムで頭に流れてくる。


【それでは・・・失礼します】


目の前のお地蔵さんの目が開く。ゆっくりと開く。

目から神々しい光が溢れ出る。

お地蔵さんの全て見開かれた目には眼球がない。

が空虚ではない。


【ふ~ん、まだまだ子のようなものかな?いや赤子か・・・】


わしは何度も口をきこうとしたのじゃが、身体が動かなかった。


別に何かをされたというわけではないのじゃが、

畏怖というか、この目の前の存在に

ただただ圧倒された。身体の芯から恐怖を感じていたのじゃ。


いつの間にかお地蔵さんの目は閉じられていた。


今は神々しい明るさではなく、陽の下の明るさである。


すると、またわしの頭に声が響く、

【さて、あなたはどんなすべてをみさせてくれるのでしょうか?】


セリフを言い終わったと、同時に暗転し

わしのまわりすべてのものが暗闇に飲み込まれた。


暗い闇に沈み込む感覚がわしの五感を覆う。


ドプッと粘着度が増した、沼のような感覚。


トプッ、トプッッッッッ

と、まず足から順に、身体、頭と沈む感覚じゃ。


不思議と落ち着いている・・・恐怖はない。


今の自分は立っているのか? それとも座っているのか?

目が開いているのか? 目をつむっているのか?

起きているのか? 眠っているのか?


果たしてこれは現実なのか?


先程のお地蔵さんのような物体は何だったのか?


初めはラ・メーンの刺客かとも思ったのじゃが・・・

どうやら全然違うようなのじゃ。


ラ・メーンとは異質な・・似て非なるものに感じた。


考えても無駄か・・・・・

今は、この流れに身を任せるしかない。


と、思ったところでわしの意識は途絶えた・・・・



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