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第182話 油の価値

「う、ウソだろ・・・・燃えてる・・・」


皆、目の前の現象に驚愕の表情を浮かべておる。

カーンの一味はもちろんの事、マブシ、そしていつも冷静な表情を

くずさないリューゴスもだ。


わしは、先程苦労して絞りまくってやっと採れた少量の油を

おしみなく地面にバラまいて火をつけたのじゃ。

するとすぐに地面が燃え盛り、いつまでも燃え続けた・・・。


いつまででもないが、イメージじゃ。

あと、バラまく必要もないが、演出じゃ。


「燃える水じゃ。」

わしは、右ななめ45度の角度で、下からの火のライトアップで

いい感じに1オクターブ上げてつぶやく。

格好つけたかったのじゃ・・・


しばらく、シーンとした静寂が周りを包む。

すると・・・・・

「う、ウソだろ・・・・燃えてる・・・」

少し離れた所にいたマブシがつぶやく・・・・・


ふとみたら、マブシが腰に巻いていた長い布に火がメラメラと燃えていた。


「なっ、何しておるのじゃ、はやく消せ、捨てるのじゃ!マブシ」

あわてて、火のついた布を投げ捨て、皆で蹴って火を消す。


・・・・・・・・・・すまぬ、マブシ・・・・・・・

わしが油をバラまいた時お主にかかってしまったらしい。

そしてひょんなことから引火してしもうた・・・・。


もちろんびっくりして腰をぬかし、地面にへたりこんでいるマブシには

言えず。心の中で謝った。


「これが・・・・油ダスか・・・・」

カーンがわしの後ろから驚きの声をあげる。


「これがあれば・・・・放火し放題ダスな・・・・。

あんなものや、こんなものまで盛大に燃やせるだす・・・・。」


えっ、そういう用途じゃないんだけど・・・・


「うおおおお~~~これさえあれば、燃やし放題だ~~~~」

「おおおおおおおおおおお~~~~~~~」

とその言葉が、男達に一気に火をつけた。


・・・・・・いや、それ全然うまくないよ。本当に。

全然うまいこと言ってないよ・・・・。


「よ~~し、これで燃えてる間に奪いたい放題だぜ~~」

「最強だ~~~~~」


えええええ、今から用途について説明しようと思ったのに・・・・

お主等、ヤバイ用途しか思いつかんのかい~~~~!


わしが、諌めようとすると・・

「うるさい!黙れ!お前達忘れたダスか?俺との約束を!」

カーンが一味に向かって大声で制する。


「今までのようなクズのような生活を改め、ジイさんの仕事がうまくいきそうなら

全員まっとうに生きると俺と約束したのじゃないダスか!ああっ」

皆、カーンに一喝されて反省したのか、黙ってうつむいた。


「ジイさん、驚いたダス。正直期待していなかったというか

半信半疑で半分以上ジイさんボケてると思っていたダス。

いや、100%ボケていると思っていたダス。許してくれダス。」


・・・・・・・・・・・複雑じゃな。

そこまでボケてたと思われていたとは・・複雑じゃ。

まあ素材が素材じゃからしょうがないかもしれんが、

真顔で言われては・・複雑じゃ。


「わしから、ひとこと言っておく。たしかにこの燃える水は使い方次第では

人を傷つけ道具になってしまう。

悪い事を考える奴らもいるだろう、お前らのように。

だが、逆にこれはわしら、いや、この国すべての人々を豊かにする水でも

あるのじゃ。

だから、誇りをもって、この仕事に取り組んでほしい。」

わしは、ひとりひとりの顔を見て真剣に話したのじゃ。


「この仕事が、誇り・・・・」

「みんなが豊かになる?」

「俺達が作り出すのか・・・そんな物を・・・」


「そうじゃ!そのうちお前等も結婚し子どもを持ち、ここは村となるであろう。

そんな未来もそう遠くはないぞ。そんな未来を自分達の手で掴んでみたくは

ないのか? 今の盗賊のままで泥水をすすって生きたいのか?」


そんなわしの問いかけに、カーンがわしの目の前に出る。


「ジイさん、俺達にこの仕事を任せてくれないダスか。

きっとこの地に村を作る。俺達の村を作ってみせるダス!

なあ、お前等!俺達全員、一丸となってやり遂げてやろうじゃないか!」


おおおおおおおおお~~~~~~~~~~と四方八方から声が上がる。

みんなやる気になってくれたようじゃ。


そしてカーンはわしに右手を出す。

「ジイさん、これからよろしく頼むダス。」

わしとカーンは熱く握手をかわした。


※※※※


「ーーーーで、結局この油何につかうんですか?」

マブシの問いかけにカーンを含む一味がうなづく。


「まず1つ目はあかりじゃ。

この油を皿にひたし、、固めのよった紐を重りで押さえて火をつければ

室内のあかりとなる。暗い夜を照らしてくれるであろう。」


「おおお~~明るい!いちいち松明をつけなくても明るいな。」

「うむ、今までは家の外にかがり火を焚いて家の中を照らしていたが、

そんな大掛かりな事をしなくても、すぐに家の中が照らせる。」

「利便性が高い。便利だ。」


「2つ目は食じゃ! 今までとはまた、違った料理を味わう事ができるのじゃ。

どちらかというとそちらの方が大きいかもしれん。食の革命じゃよ。」


「おお~よくわからんが、すごい自信だ。」

「何だかわからんが、ジイさんを信じるよ。」


まあ、こればかりは実際に食べてもらわんとわからんじゃろうな・・・

しかし、現状ではそこまでの油を製造できるか、やってみないとわからんしのう。


さて、後はアブラナの栽培、収穫、油の絞り行程などをまた1から説明したり、

油の交易、村の構築など油以外にもやる事が満載じゃ。


細かい事は明日にまわして、とりあえず今日は宴会じゃ~~~~~。


その夜、宴会で調子にのったカーン一味の1人が

とうもろこし酒を浴びて発火した・・・・


あっそういえばアルコール度数が高いと燃えるのじゃった。

ある意味これも燃える水じゃな・・・・


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