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第171話 オペロン解任

「死刑!」

オペロンが発する。


「それは、何の権限じゃ?この国の法なのか?」

「そんなものは関係ない。このわしの権限じゃ!」


「その権限というのはお前の何をもっていっておるのじゃ?族長という肩書きか?」

ちからだよ、ちから。金という力、暴力と言う力

ありとあらゆる物をもっておるのじゃ、わしは。」

オペロンは自信満々に、そして悪びれずに言う。


「それでは、この村ではちからがすべてという事か?」

「そうだと言っておる。」


「それでは、わしらが暴力でお前を倒せば、この村はわしの物か?」

「たった6人でか?森の民ごときが・・・調子に乗りおって。

もういい!おい、隊長はやくこいつらを殺せ」


隊長らしき男が脇の剣を抜き、わしらに近寄る。

わしは目配せで、ジョコ、リューゴス、マブシに合図を出す。


合図と同時にジョコ、マブシは後ろの男達へ。

リューゴスは隊長に向かう。

わしはレイクとピチュを守る。

戦いの始まりじゃ。


※※※※


リューゴスは剣を抜いた隊長と素手で向き合う。

最初は長い剣に手こずっておったが、次第に間合いをつかみ、攻勢に打ってでる。

隊長だけあって、多少はできる男じゃったが、リューゴスが格の違いをみせつける。

3発じゃ、3発で沈める。


大変なのはジョコとマブシじゃ。

全部で20名以上の男達と相対しておる。

ジョコは圧勝につぐ圧勝じゃが、マブシは・・・・


実はマブシもそこそこ強い。森の中では弱い方なのじゃが、腐っても森の民なのじゃ!

五分五分じゃ(笑)

まあ、がんばってると思うよ。


さてと・・・・・・

さっきまでイスにすわりふんぞり返っておったオペロンは、

いまでは顔を青ざめ、震えてイスに座っておる。

サルロンも信じられないという顔で地べたに伏している。


リューゴスも加わり、あと少しでけりも、つくだろう時にわしは話しかける。

「なんじゃったかのう・・・歳をとっておるので物忘れが激しいのじゃが・・・

わしらが暴力でお前を倒せば、この村はわしの物か?だったのう」

「なっ・・・んだと。」


「だから、お前の暴力をわしの暴力が上まったのじゃ。どうするのじゃお前は?」

「・・・・・・・・・か、金ならある。どうだ?」


「金か・・・・それもわしの暴力でお前から奪い取ればよいのではないか?ん?」

「ひっ・・・っでではッ全部やろう、家、畑、貴重品わしのもの全部だ!」


「全部か・・・じゃあお前を殺せばいいのではないか?」

オペロンは、顔面蒼白じゃ。もう唇なんて紫を通り越して真っ黒じゃ。


「な、仲間にしてくれ、おれを森の民に入れてくれ!おれは頭が切れるから

お前等の役に立つ。絶対に役に立つから。」

イスから降りて地面にヒザをつき、懇願するオペロン。


「あっ?お前さっきまで森の民の事を汚らしい下賤の者の乞食やろうって

言っておらなかったか?」

「ひっひいいいいいい。」

もう恐怖のあまり、ひれ伏して声にもならぬ悲鳴だけじゃ。


しばらくすると、すべての男達を倒したジョコ、リューゴス、マブシがわしの元へ集まる。


這いつくばるオペロン、サルロンを上から見下ろしながら声をかける。

「オペロン、サルロンおまえらの族長としての最後の仕事じゃ、広場に村の者を集めよ!」


※※※※


広場には全部の村人とは言えないが、それでも広場を埋め尽くすほどには集まった。

もちろん何の話をするかは聞かされずにあつめられたのだ。


集まった人の大半は族長であるオペロンが、また自分たちを苦しめ、

自分の冨だけを増やす方針を打ち出すのだろうと信じて疑わなかった。


だから広場に集まるようにと聞いただけで憂鬱だったのだ。

しかし、今回は違った・・・


なんと、汚らしい森の民のジイさんが壇上に上がったのだ。

森の民といえば、誰から聞いたのか、貧しく、粗暴で手のつけられない民族だと教えられてきた。

できれば関わり合いたくないのが本音だ。


そんな森の民のジイさんが壇上に上がって、我々にとんでもない言葉を発言したのだ。


「今、ご紹介にあずかりました、新しい族長のジューローです!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?

な、なに?どういう事だ・・・・

いったい何が・・・・・と考える間もなく

ジューローと名乗るジイさんが話出す。


「みなさん、急な事で戸惑っておると思いますが、

族長として、最初の要求は・・・・若い女子おなごをさしだすのじゃ。

若すぎてもだめ、年取り過ぎてもだめじゃ。あと、わしは面食いじゃからな・・・ぐふふふ」


まわりがザワつく、何言ってるんだあのジジイはという思いから

どんどん周りから罵声があびせられる。

「何言ってるんだジジイ。」

「ひっこめージジイ。」

「俺達はお前なんか族長と認めないぞ!」


「静かにしろ~~~~~~~~~~~~っ」

マブシが口が張り裂けんばかりに声を荒げる。

ざわついていた声がピタリと止みまた、広場は静寂に包まれる。


「さっき、わしを族長に認めないと言っておたな。

では、お前達はオペロンを族長として認めておったのじゃな?

そのオペロンがわしに言ったのじゃよ。“この村ではちからがすべて”と・・・・」


村人達は、瞬きもせずくいいるようにジューローを見つめる。


「わし等はただ、その暴力に勝っただけじゃ、力を力でねじ伏せただけじゃ。」


誰も物音ひとつたてない。


「だが、わしを非難する前に、お前達は自分達で戦ったのか?ん?

自分達は傷ついたのか? 見てみぬふりじゃろ!

どんなに虐げられても、諦めてそれを受け入れていただけじゃろ?」


皆、黙ったままじゃ。


「さあ、意見がある者は意見すれば良い、聞いてやるぞ。自分が傷ついてもよいならな。」


シーンとしたままだ。これ以上は無駄かと思った時

壇上の前にいる若者が意を決して声を出す。


「俺は認めない!オペロンもお前も!」

その声を上げた者は・・・・・

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