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第17話 ヌル族の族長ゲタン 

 朝方の散歩を終え、みんなで族長の家へ向かう。


 すると先ほどの話通りに家の前の大きな石の上に体長190cmはあろうかというガタイのいい、厳つい男が座っていた。

 こちらを見るやいなや、石の上から飛び降り着地するかと思いきや、足がグキッてなって、あわててどこかに捕まろうとして手を差し出すと、伸ばした指先の中指をグキッって突き指して、ぎゃーあああと叫ぼうとして口を開けたところに鳥のフンが落ちてきた…


 みんなが黙って見守る中、男は苦痛に歪めた顔をキリリと正して、今一連の動きを無かった事にしようと、もう一度石の上に登ろうとしかけたところでこちらから声を掛けた…


 「がっつり見てましたよ。ヌル族の族長ゲタン」


 「なんの事だ。わしは今着いたのだが」

 といいながら片足をひいてる。


 「・・・まあその事は後で。ところで今日は朝から早く、族長おひとりで?約束は昼以降だったのでは。」


 「わしはせっかちなのだ。わざわざ分かりきっている答えを待ちきれんでな。朝早く出向いてやったという事よ。」


 心なしかセイムさんがびくびくしている。

 それはそうか、許嫁である族長の息子ゲフンをないがしろにしているのだから。


 忘れてたけど、わしゲフンを放り投げてるし…

 ひょっとして今から肉弾戦がはじまるのかな…嫌じゃやな…

 とりあえず痛がってる足をローキックじゃな。

 そう心に硬く誓った時、


 「…わかった、では家の中でゆっくりと話し合おうではないか」


 そういってスブムがゲタンを室内に招き入れて、他のものには入ってこないよう言いつける。


 わしも外で待っていようとしたらスブムが一緒に来てくださいと懇願された。いいのかよ、族長同士の話し合いじゃないのか?


 案の定わしが入って行くとギョロリと厳つい顔で怒られた。


 「だれじゃい、貴様は!勝手に入ってくるでない。」

 と怒られた。


 「違うのだ、今日から副族長になったジューローを紹介するために来てもらったのだ。」


 「ふん、まあいい。副族長などには興味はない。では、改めて伺おう。約束の20日がたったが、決断したか?まあ、悩むまでもない選択だと思うがな!」


 そう言われて急に汗びっしょりになるスブム


 「なんだ、まだうじうじしとるのか、あいかわらず優柔普段な男じゃのう。どうせお前には代案なんぞないんだろ?だったらスパッと決断せんか、男らしく!」


 そんなスブムにわしが助け舟を出す。


 「ゲタン族長殿、どのような話か、わしにも教えてくれんかのう。今日副族長になった新参者とはいえ、スブムさんの戦略アドバイザーも兼ねておりますのでね」


 そう言うと、初めてゲタンがわしの顔を上から、下からなめ回すように見た後に…


 「ふん、お前さんか、うちの倅ゲフンを投げ飛ばしたっていう老人は?」


 なんで分かるのだ?こちらからは、何もしゃべってないのに。


 「なるほど…。いくら、頭の弱い息子だとて腕っ節だけは自慢だったのに通じないはずだ、やられてもしょうがない。貴様老人のナリしてかなりできるな。」


 ただものではないなコイツ。ただもの以下の族長スブムとは大違いだ…。


 「よし、わかった。お前にも話してやろう」

 急に眼をするどく細めゲタンが言い放つ。

 「この国の現状とネル・ヌル族のこれからっていうのを」


 えっ、なんか最近お笑いパート少なくない?ひょっとして真面目な話しが続くの?

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