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第166話 クズ達

「農業ダス!」ちょっと訛ってみた。


「農業だとおおおおお~~~~~。」

さっきまでわしとカーンのまわり10mぐらいに離れておったムサい男達は

2mぐらい、いや、わしのATフィールドを突き破り、もはや生理的嫌悪感を越す

30cmぐらいに近づきメンチを切っておる。

・・・・くさっ


「今さら、俺たちが農業なんて出来るか!

何のために盗賊になったと思っているんだ!」

「そうさ、俺たちははみ出し者のならず者なんだぜ、

それが今さらセコセコと農業なんて出来るかっていうんだ。」


まわりのムサイ奴らはわしに、わしの至近距離から文句を足れる。

カーンは正面でわしをジッと見据える。


しばらく文句を足れる男達の意見を黙って聞いていたが、

すっくと立ち上がり男達を制し、わしに向かって

「・・失望したダス。そんな案しかでないようでは・・

これ以上話す余地はないダス。」


その場を立ち去ろうとしたカーンにわしは

「何を作るか聞かんのか?」

「聞くまでもないダスよ。この土地で育てる生産物は決まっているダス。」


「何じゃ?一応聞いておこうかのう」

「・・・・じゃがいも、とうもろこし、サトウキビぐらいダスかね・・

そんな物はこのケル地域では、ありきたりすぎて今さら競争力は

ありませんダスよ。」

「ほう・・・そうなのか。」


「つまり、あなたは私たちを盗賊ではなく、まっとうに仕事をして生きろと

説き伏せにきただけダスね・・

全く、話の無駄でした。それでは、後は頼むダスよ。」


側近の男に声をかけ後の始末を指示し、出て行こうとする。

まあ、その後始末というのは・・・・ボッコボコにして追い出す事かな?


わしはムサイ男たちに何重にも囲まれておるが、

でかい声で言ってやった。

「ブッブーーーーーーーーーウウウウウ!残念ハズレじゃ!」

囲んだ男達がのけぞる。

それぐらい大声で言ってやった。


立ちどまってこちらを振り返るカーン。

「・・・負け惜しみダスか?」


「まだ、わしは言いたい事の半分も言っておらん。まあ座れや。」

「説教は聞く耳もた・・・・・・」

「取引じゃ!そしてこれはまっとうな仕事の依頼じゃ!

どうじゃ?聞く気はあるのか?」


意表をつかれた顔をした後、しばらくの沈黙のうち

カーンは目の前のイスに座りなおした。

「では、その取引とやらを聞こうではないダスか。本当にあるならね。」


「その前に1つ聞いてよいか?お前等は何で盗賊なんぞやっておるのだ?」

「・・・・・・・・・・」

カーンは答えない。

しょうがないので周りのムサイ男に聞いてみる。


「はっ、真面目になんか働けるか!村を飛び出してきたんだ。」

「・・・農業なんて地味な仕事できるかよ。」

「ただ、居場所がなくて、流れついただけだ。」

ひととおり、理由を聞いた。


「まあ、ようするにお前等は村に適応できなかった、はみ出し者達じゃろ。

村を飛び出しは良いが、稼ぎ方がわからん、食っていけんから、

しかたなくこの盗賊に身を置いておる烏合の衆じゃ。違うか?」


カチーンときたのかムサイ男たち数人が、とうとうわしに殴りかかってきた。

カーンはそれを止めない。


ふう、しょうがないのう・・

「重力変換、わしのまわり半径10m、200%」


わしのまわりを取り囲んでおった男達共々地面に伏せるまでもないが、

かがんでひざまづく状態で押さえつけられる。

「っぐぐぐぐ・・・なんだこれは・・」

「急に体が重たく・・・」

「ぐああああ・・」


「そうやってすぐに手を出すから、村に居場所が無くなったのじゃろ、お前等は」


カーンはイスの上に平然とはいかないまでも耐えている。

一応平静は装っているが・・・

「何ダスか?これは・・・・ジイさんの仕業ダスか?」


「解除」

わしが声をかけると圧が解除されたが、ムサイ男達はそのまま座り込んだ。


「まったく、お前等は暴れる前に、ちゃんと人の話をきけ!

気に入らん事がある度に暴力で解決してたら話しにならんじゃろうが。」

地べたに座る男達に説教をする。


「だからおまえらはクサイんじゃ!クサクサ夫じゃ、お前等なんて!

くっさ~~~歯垢なみのくささじゃ!」

「なんだとおおおおお~~~」

男達が一斉に立ち上がる。


「重力変換」

べちょ・・・・・

「お前等・・・ハト並みの知能じゃな・・・いちいち怒るなっていうに」

「ぐああああ・・」今度は地べたに伏せる。


「っというわけで、わしをなめんなよ!っていいたかったわけじゃ。」

重力変換を解除された男達はやっと大人しくなった。

そして、もう一度カーンに向き合い


「だが、そんなしょうもないお前等も1つだけ誇ることがある。

それは誰も人を殺していない事じゃ。そうだろ?」

「・・・・・・・・・」


「物は奪うが、人を傷つけたりはしておらん。まあ、たまには奪う時に傷つける

ことがあったかもしれんが、故意にではないようじゃの。」

「・・・・・・・・・」


「それでも、自分たちが食う為に人の財産を奪うっていうのは

全然褒められた事ではないし、人間のクズじゃがの。」

「ぐっ・・・・・」

男達が悔しくて歯をくいしばる。


「だから、わしがお前達人間のクズを、立派なクズにしてやるのじゃ!」

「いや、クズかよ!結局クズのままなのかよ!」

おっ誰かツッコんでくれたな。


「それで・・・・何ダスか?俺たちを立派なクズにしてくれる作物っていうのは?」

カーンがやっと声を出した。


わしはすっくとイスから立ち上がり、

周りを囲んでおる男達に踏み荒らされてしおれている花を引きちぎる。

そしてカーンの目の前に花を掲げ、


「この花じゃ」

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