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第164話 アジトへ

「それでは、行ってくるのじゃ」

わし、ジョコ、マブシの3人と盗賊4人は村を出た。

リューゴス、ピチュ、レイクは別行動じゃ。ちょっと頼みたい事があってのう。


「・・盗賊の件をあんなに簡単に引き受けて大丈夫か?森の民は」

族長が不安を口にする。

「いくら烏合の衆とはいえ、頭目がカーンだからな・・・」

「そんなにその、カーンていう人は強いのですか?」

見送る村人に交じってレイクは質問する。


「ああ、なかなか頭が切れる奴でな、このあたりの村はほとんどカーンに

やられてるな・・幸い死人、ケガ人はいないのだが。」


「それより、あのジイさん・・ジューローってのはだいじょうなのか?

いや疑ってるわけじゃねーけども、60歳ぐらいなんだろ。

心配でさ、残って若い者に任せればよかったんじゃないかな~って」

村人の1人が心配してくれたのだろうが・・・


ピチュとレイクが顔を合わせて笑う。

「何?なにがおかしい事言ったか?」


「いえ、ジューロー様は私たち森の民にとって、これほど頼もしい方は

いないのです。強さも、知恵も含めてね。」

「ああ、殺したって死なねージジイだよ。」

「・・・・・・ほんとにそう」

皆で笑い合った。

ダチョウの砂煙が小さく見えなくなるまで見送ってから

リューゴス、ピチュ、レイクの3人も別行動の為、村を出た。


※※※※


村からダチョウを借り受け、みな1人ずつ乗って走る。

えっ盗賊4人はって?


引きずられておる・・・わしらが乗っておるダチョウ3匹・・・盗賊4人・・

ダチョウに引きずられておる。


ひど!ひど過ぎ!と思ったあなた。

そうではない。そうではないんじゃよ。実はこれ、新たに森の民で開発を

進めておるダチョウ用の荷車なんじゃよ。


イメージ的には河川敷の草ソリな感じかな、ダンボールですべる。

50cm×50cmの木の板に縄をつけ、サーフィンみたいに上でバランスをとる。


これがなかなかおもしろい。みんな容赦なく振り落とされていくんじゃ。

直線はなんとか耐えるのじゃが、カーブとかで振り落とされ、

その吹っ飛ぶさまは・・大爆笑ものじゃ。


この盗賊にアジトまで案内させないといかんのだが、

ダチョウの数が足りないのでしょうがない。

村からダチョウでだいたい3、4時間らしいのじゃ。

カバで行くと2日くらいかかるというし、それはさすがにまずいのじゃ。

早めに片をつけんとな・・・・。


盗賊は逃げんのか?という疑問じゃが、ちゃんと別の縄で縛っておる。

だから振り落とされるとリアルに西部劇状態で引きずられることになるので

みな、必至でついてきておる。

まあ、罰も入っているので頑張ってもらおうかのう。


2時間ぐらい走った頃大分なれてきたのか、あまり振り落とされなくなった。


「まだ着かんのか?あとどれくらいじゃ?」

わしが盗賊の男に声をかける。

・・・・返事がない・・・屍のようだ・・・


「こわっ、生きてるって。ちょっと考え事してただけだって。」

「何じゃ考え事とは? わしのスリーサイズか?上から90、90、90?」

「聞きたくね~、しかも全部90・・寸胴! 最後なぜ疑問形?」


わしのボケに的確にツッコんでくれた男は考え事を話しだした。


「・・・・ジジイはカーンに会ってどうするんだ? たった3人で50人以上と

戦うのか? 殺し合うのか?」

「なんじゃ、わしらの心配をしてくれてるのか?敵なのに」

「そうじゃないけど・・・・策はあるのか?」

「策などない。話し合って止めてもらうだけじゃ。」

「話し合いなんかで止めたら、俺たち盗賊になってねーんだよ。」


「まあ、そうじゃろうな。ちなみに何でお前は盗賊をやっておるのじゃ?」

「・・・居場所がなかったというか、追い出されたというか・・いろいろだ。」


「まあ、そのへんが話し合いの鍵となるじゃろ。

カーンが賢かったなら争いにはならん。

しかし、マブシ並みにアホだった場合は全力で立ち向かわなければ

ならんじゃろう。」


「だれがアホですか!アホじゃないです~~~ちょっと賢くないだけです~~~」

「いや、その発言がすでにアホっぽくね?っていうかアホじゃね?」

マブシにツッコム盗賊・・・もう捕らえられてる事関係なくない?ってぐらい

打ち解けておるな・・・わしら。


※※※※


「あのちょっと丘に見える先に洞窟があるんだ。あそこが俺等の隠れがだ。」

あれからさらに1時間走ってやっと到着したのじゃ。

もう、この辺りは畑を耕しておらんようじゃ。

あたり一面野原というか・・雑草だらけじゃ。

そこにちょっと小高い丘のような斜面があって、その裏に洞窟があるらしい。


もちろんここに着くまでに、他の盗賊の仲間らしい奴らが急いでここに

駆け込んでおったので、わしらがここに来ることはバレバレじゃろう。


「で、どうするんだい?俺たちはここで待っていればいいのか?」

「いや、お主等の役目は終わった。今から解放する。」


「いいのか?また、争いになったらお前等の敵になるかもしれないんだぞ。」 

「まあ、なるべくならんようにはするが、その時はすまん!

殺しちゃったらすまん!」


「こわっっっ!何恐い事さらっと言っちゃってるの?やめてよね。」

好きじゃな~コイツのツッコミ。本当におしい奴じゃ・・・

おしい奴を亡くしたのう・・・・

「死んでね~~し!ジジイの脳内で殺さないでくれる!」

わしの脳内にまでツッコムとは・・・やるな!


「まあ、冗談はこのへんで、いまからお前ら4人を解放するから、

できたらでいいのじゃがカーンを呼んできてくれんか。

ちょっと話しがしたいとな。」


「・・・カーンが、のこのこと来てくれるかはわからんぞ」

「ああ、お主等は下っ端じゃったな・・まあ期待せずに待っておるわ」


4人の縄を解いて解放した。

男達は丘に向かって走り出し、そして裏側に入り見えなくなった。


「ジューロー殿よかったのですか?本当に解放して。」

「おっても人質にもならんじゃろ、あんな下っ端じゃ。

ツッコミはわし好みじゃったがな。」


「あいつ・・・そこまでジューロー殿に気に入られるとは・・・

俺だって添い寝してもらってないのに!ぐぬぬぬぬ」

やだ、ジョコ・・・気持ち悪い。


あと、人聞き悪いぞ! わしゃ誰にも添い寝した事ないぞ!

どんなシステムなの?森の民って。


それからしばらく経ったがカーンが現れる様子はないので、

わしは暇つぶしも兼ねて、回りをダチョウに乗って歩く。


近くに高い山などないので、あたり一面見渡せられるぐらいに広い。

野原のようなと言ったが、まあ、雑草や野花が咲いていてすごく牧歌的じゃ。

とりあえず石油が出ないか手当たり次第に“検解”をしておったら・・・


「・・・さま、・・ジューローさま~~」とジョコがわしを呼ぶ声がした。

急いで戻ってみると・・・


丘の上にマントをなびかせて、立つ男が1人。こちらを見ておる。

カーン登場か?


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