第156話 アルーン村へ
「いいよ!」と、あっさり了承したわしじゃが・・・・
「で?何しに行くのじゃわしは?」
ゴスンに聞き返す。まるでボケ老人かのような応答じゃ・・・
「えっ、だからそのアルーン村の村長に会っていただきたいのです。」
「だから、わしがその村長とやらに会ってどうするのじゃ?」
「・・・ジューロー様のすばらしさを村長にアピールできればな~~~と」
ゴスンが上目づかいでわしを見る・・・
まったくのノープランじゃなコイツ!
もし、本当に我が身ひとつで会いになんぞ行ったら
ものすごい辱めを受ける予感じゃ・・・
「なんじゃ、まさか何も考えておらんかったのじゃないだろうな?」
「・・・・・すみません、何も考えておりませんでした。
ただただ、ジューロー様が行きさえすれば、
皆その印籠をみて平伏するだろうと・・・浅はかな考えしか。」
わしはどこの隠居じゃ。
印籠なんてないぞ、陰嚢だったらあるが・・・
確かに平伏するじゃろう、
わしの陰嚢をおっぴろげれば・・・
しかし、その後わしの地位と名声も平伏するじゃろう・・・
「ゴスン、お主はただ、わしをひけらかしたいだけか?
わたしはこんなにすごい人を知っているんだぞ!と見栄をはりたいだけなのか?」
「も、申し訳ございません、ジューロー様。
私がおろかなばかりに・・・ご迷惑をおかけする所でした。
アルーン村の村長に私が頭を下げればすむことだったのに・・・。
この話はなかったことに・・・。」
頭を地べたにつけんばかりに謝るゴスン。
「いや、ゴスンが頭を下げるくらいなら行こう。」
「えっ」
驚いた顔をあげるゴスン。
「お主はわしらがバカにされたことに腹を立ててくれたのじゃろう?
さっきお主言っておったじゃないか。
ケル地方、ナル地方は森の民を蔑ずんでおります・・・と。
しかも取引をはじめたばかりの村長を相手どって。
普通ならどんなに言われても言い返しはせんぞ。」
わしはニカッと、いい笑顔でゴスンをみる。
惚れてまうやろ?
「ありがとうございます。」頭を下げるゴスン。
「その村長達をわしがギャフンと言わせてやろうじゃないか。
のう、おもしろそうじゃろ?」
しつこくわしはニカッと、いい笑顔でゴスンをみる。
惚れてまうやろ?
わしとゴスンはお互いをみやって笑う。
はやく惚れろよ!
その後ゴスンは、また行商でアルーン村に行くことになっているので
一度城下町へと帰っていった。
アルーン村までは互いにバラバラで行き、現地で落ち合うことにした。
だいたい5、6日後にお会いしましょうと曖昧な約束じゃ。
さ~~て、じゃあわしも行く準備を考えんといかんな・・
ゴスンを村の入口まで見送って、その足でわしの家へ向かった。
※※※※
「よく集まったな、この愚か者どもめ!ぺっ」
「そのとおり、愚か者です。わたしは・・」
「なっ愚か者だと!バカじゃなくてよかった・・」
「集めといて愚か者って何様だよ、このジジイ!」
「ひどっお姉ちゃんに、言いつけるよ!」
「・・・・・・ツバはくな。」
「よし、ピチュがツッコミに決定!わし専属のツッコミな!」
今日はわしのアルーン村遠征に一緒に連れていくメンバーを消臭したのじゃ。
・・・匂いを消してどうする!
コメント上から、
病み上がりのジョコ。療養も兼ねてじゃ。
次がマブシ。暇そうじゃからじゃ。
次がピチュ。女を感じないからじゃ。
次がレイク。付いて行きたいと言ったからじゃ。
最後にリューゴス。わしの弟子だからじゃ。
「選ばれし5人の精鋭達よ。お前等は2日後にわしとアルーン村に行く
栄誉を与えいよう・・・このダジャレどう?」
「ぶふーーー最高です。ジューロー殿。」
「えっどこ?どこだった?」
「さっきは愚か者って言ってたくせに、精鋭だ?ウソくせえな」
「なに・えいよって・・」
「・・・・・・・・・さむっ」
「よし、では解散!」
勝手に集めて、わしのダジャレを聞かすだけで解散さしたのじゃ。
2日後の出発に向けて準備もあるしのう。
一応ゲタンにアルーン村に行くことは、了承を取ってある。
カバ2頭に荷車2つ、ダチョウ2頭を借り受ける事も。
荷車にはこの森で作ったいろいろな物を持っていくつもりじゃ。
食べ物だったり、魔改造した道具だったり・・・
まあ、村長に会って、受け入れられようが、受け入れられないだろうが関係ない。
わしは観光気分で行くだけじゃから。
もともとわしは地方アイドルじゃから、田舎でちやほやされたからといって
上京して都会で受けるとは限らんからのう。
「誰が地方アイドルか!自称アイドルか!」
ゲタンにつっこまれた。
「気をつけて行ってこいよ。その間にこっちもいろいろと進めておくからな。」
「ああ、任したぞゲタン。わしはゆっくり、そしてじっくり
そしてねっとりバカンスを楽しんでくるからのう。」
「早く帰ってこんか!ねっとりするな!」
ゲタンにつっこまれた。
「そしていつまでも泣くでないぞ!エメリさん。ほんの数日じゃないか。
旅路は危険じゃから連れてはいけんが、次の新婚旅行の時は2人きりでいこうな!」
・・・・・・・・・・・・・
「なに言ってるんだ? エメリなんぞいないぞ。」
もちろん妄想なのじゃ。
架空のエメリさんとセイムさんがわしには、みえるのじゃ。
それでは行ってきま~~~~~~~~す。
・・・・まだ2日後じゃけどね。出発。
今度こそ本当に
次回アルーン村へ行く編始まるぞ~~~~~!




