第152話 ミチのクマ
「だから~あなたの運が勝ったのよジューロー。」
「えっまさか・・そんなわけないじゃろ。
相手は“神を左手に宿す少女”なんじゃぞ。だからわしは・・・」
今わしは真夜中にしゃべっておる。
新しい村の新しい我が家の玄関の扉が破壊された横でしゃべっておる。
わしの前でしゃべっておるのは・・・・・なんと!
クマじゃ!
どうしてこうなった・・・・・・
では今日の出来事「カウント~~~~ダウン!」
※※※※
前の号でジャンケン少女の勝負に勝ったわしは
皆のまえで勝った種明かしをした。
得意満面でドヤ顔をしてゲタンの家へと帰ってきた。
その後、新しい村に行き、皆と一緒に造成を手伝って
陽が暮れかかった頃に作業を中止し、
みんなはゲタンの村へと帰っていった。
わしは新居が完成していることもあって
寂しかったのじゃが、一人で夕食を作って食べて
忙しくて疲れたのもあって、夜8時くらいに
早々と一人で寝たのじゃ。
うとうともせず、すぐに寝付いて3時間ぐらい経った頃じゃっただろうか・・
バキャーーーーーーーッッバキバキッッッと
もの凄い物音で目が覚めた。飛び上がって起きたのじゃ。
めちゃくちゃびっくりした。
暗がりの中、音がした方に出向くと
ものすごい獣臭と共に暗闇に光る二つの目。
一瞬ラ・メーンの奴がまた襲ってきたのかと身構え
相対したのじゃが、ここでまさかの展開が。
「起きちゃった~?ジューロー」と話しかけてきたのじゃ。
少し時間もたって、暗闇に慣れたこともあって
じっと目を凝らすとそこには2本足で立つクマが・・・・
全長2mを超えるであろう2本足で立つクマが・・・・・
「びっくりした?ジューロー!」
めっちゃなれなれしくクマが話しかけてくる。
こんな夜中に・・・・
寝起きもあり、夢か現実かわからなくなったわしが
ぼーーーっとしておったら・・・
「がうっううーーーーーー」
といきなりベアークローをくりだしてきおおった。
「あぶなっ」
頭が鈍いなりに危険を察知し横っ飛びで避ける。
「目さめた~~~?ジューロー」
「目さめた~~じゃないじゃろ。
クリーンヒットで死ぬよ。かすっても死ぬよ、普通。」
「大丈夫、大丈夫~~~たぶん。」
「たぶんじゃないわ。相変わらず軽いな・・・ミチじゃろ!
こんなことやる奴はミチしかおらんじゃろ!」
「正解です!ジューローに10pt進呈!」
「いらん、10ptなんぞ。」
「えーーーー1000万ptまで貯めれば豪華ラノベ能力セットもらえるのに」
「欲すい~~~~けど多!! めちゃめちゃ貯めるpt多すぎ!
たった10ptもらっても貯めるまでに死なない?わし死なない?」
《ジューロー・・・シンデマス》
・・・・なに、久しぶりにアイがつぶやいたかと思えば
その情報。いらないって。言われなくても計算できるって。
「それで何じゃ?何用じゃミチ。」
「いや~ちょっとジューローに言いたい事があってさ」
「何じゃ、それは?こんな夜中に全長2mを超えるクマを乗っ取って
新築の家の玄関の扉をぶち破り粉々にして、もう還暦を過ぎたジジイの
か細い心臓を破裂させんばかりの大音量で飛び起こさせてまで
言いたかった事とはなんじゃ!」
「めっちゃ怒ってる。しょ、しょうがないじゃない。こんな夜中に
起きてる人も動物も少なかったんんだから。
それにちょっと操りなれてなかったんで・・・扉壊してごめんね。てへっ」
「かる~~~~っ謝り方かる~~~っ本当に悪いと思うなら20万10ptぐらい
渡さんか!」
「さりげなくpt要求してるし。あとちゃっかりさっきの10ptまで含めてるし。
どんなに豪華ラノベ能力セット欲しいんだちゅーの。」
「だんだん話しが脱線していくな。それで何じゃ、何用じゃ?
あとptはちゃんともらうぞ!」
「ジューローにツッコミたいことがあってね。
いつもなら始祖鳥飛ばすとか、モグラたたきの体でツッコムとか
してたんだけど、ネタが無くなってきたので今回は直に会いに来たよ。」
「ネタが無いとか言うな。別にこっちはそっちの仕込みなんて知らんしのう。
無いなら無いで普通に話しかけてこればいいんじゃ。」
「そんな、普通に出たら出たで文句言うんでしょ!普通じゃな・・・・
なんて物足りない様な言い方で!」
「それはそうじゃが・・・・」
「だから今回もちょっとは趣向をこらしたわけよ。控えめにね。
本当だったら、クマに頭から噛まれて血だらけで身柄さらわれる。とか
ヘビに飲まれて身柄さらわれるとかの方が良かったんんだけど・・・」
「こわっ、わしさらわれてばっかりじゃな。絶対やめて。
トラウマになるから絶対やめてよ。」
毎回毎回こいつは・・ただ単にわしを驚かせるのを生きがいにしとるな。
それにツッコみたい事って何じゃ。
「ジューローがみんなに、どや、わしの機転が勝利の秘訣じゃ~~~って
感じでもう憎くて憎くて憎ったらしい顔してたけど違うよ!」
「どんだけわし、憎ったらしいねん。
ピチュに左手を封じるために、わしの機転で砂糖棒を渡して
右手のピチュに勝ったことが? 何が違うんだ?」
ここでやっと冒頭に繋がるのじゃ。
※※※※
「だから~あなたの運が勝ったのよジューロー。」
「えっまさか・・そんなわけないじゃろ。
相手は“神を左手に宿す少女”なんじゃぞ。だからわしは・・・」
「ピチュは確かに“神を左手に宿す少女”って呼ばれてたけど、それは
利き腕である左でしかジャンケンをやった事がなかったからなの。
単なる総称であって、本当は左手であろうが、右手であろうが関係ないの。
本当に彼女は因果律の外の存在。確率無視の神。だったの。
ただしジャンケンだけに特化した能力。
それ以外は全く役に立たない能力。」
「えっマジで、わしは左手だけにその能力が宿っておるのなら
宿っていない右手で勝負すれば誰でも3分の1で勝てると思っていたのじゃ・・」
「そこで、新たにあなたに伝えたい事があるのジューロー」
「何じゃ・・・まさか・・・まさかあれか?」
「そう、あなたもご存知の通りあれよ」
「やっやめろ、それだけは、それだけは・・やめてくれ」
「だめよ、覚悟してね。ジューロー」
「やめろおおおおおおーーーーーーーーーーー」
「・・・次回に続く!」
またか・・・またなのかミチ。
このヒキ今回で4回目じゃぞ。
いったいいつまでやるのじゃ、このヒキ。
もうとっくに賞味期限はきれておるぞ。
もはや、あれじゃな・・吉本新喜劇みたいに
開き直ってやり続けるおもしろさにしていくか?




