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第149話 ジャスティンビ

「しずまれ~~~~~~~~~~い!

静まるのじゃ、このクズどもが~~~~~~。

お前等ごときが大挙してエメリさん、セイムさんに

押し寄せたら、むちゃくちゃ迷惑じゃろうが~~~。

このクズ以下のゴミクズのロンリネス達が~~~~~」


大きい声で怒鳴ってやったのじゃ。

今セイムさんとエメリさんの居場所を知られるわけにはいかん。

わしは力いっぱい怒鳴ったのじゃ。


しかし、だれがクズだ! 俺たちは腐ったミカンじゃねえ!と

呼応しだしたのじゃ。

マズイ!


しかしわしには切り札がある。

とうとう伝家の宝刀を抜く時がきたのじゃ。

日本人のこころを・・・・・。


「しずまれ~~~い!このク・・・じゃない、森の民達よ!

授けよう、お前たちク・・・じゃない、他の森の民たちにも。

さらに、この国で生きとし生きる者たちすべてに捧ぐ!」


わしは右手を高く掲げ、天に手をかざし天を仰ぐ


「太古から連綿と受け継がれてきた我が国最古の権限!

至高の存在!だれも疑う事なき絶対的、突発的、それでいて謙虚な権力を!

その名も・・・・・」


めっちゃためて言う

「その名は、ジャスティンビーケベクヒャンピューション」


みな「は?」って顔する。

「何って?」って顔する。


「ジ」ャスティ「ン」ビー「ケ」ベクヒャンピューショ「ン」


「略して、ジャンケンじゃ! 皆親しみをこめてそう呼ぶのじゃ」


し~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん


としておったのじゃが序序にジョジョに

ジャンケン?ジャンケン!ジャンケンジャンケンジャンケン

うおおおおおおおおおおおおおおってなった。


この熱量!すごい熱量じゃ。

まだジャンケンがなんたるものか一切説明などしていないのに・・

すごい熱量バカ。ねつりょうと書いてバカ。

・・・騙されすぎじゃろ森の民。


 ※※※※


はい、熱量も冷めた所で説明です。

「簡単じゃ、つまりグーは石。チョキは刃物。パーは紙なのじゃ。


石は刃物に強い。その石は紙に弱い。

刃物は紙に強い。その刃物は石に弱い。

紙は石に強い。その紙は刃物に弱い。


わかったな!簡単じゃろ?」


すっくと立ち上がった森の民Aが紙を持つ。

すっくと立ち上がった森の民Bが落ちてた石を拾い

Aめがけて思いっきり大リーグばりのフォームで投げる。

ズバーーーーンンと

結構丈夫なパピルス製の紙を突き破る。


・・・・・・・・・・・


みんな何かいいたげに細い目でわしを見てくる。


・・・・・・・・・・・


「・・・・・わかったな!簡単じゃろ?」


じゃってそういうものなんじゃもん。

実際には紙が石に弱くても、そういうものなんじゃもん。

とりあえずみんなに説得して、納得してもらった。


「わかったか!今から1人ずつ順番に戦ってもらって

最後にこの舞台に残っていた者をセイム家、エメリ家の近所に住む権利を

与えることとする。皆、異論はないな!」


「うおおおおおおおおおおおおおおお」


みな張り切ってジャンケンを進めていく。

勝つもの、負ける有様も日本と同じじゃ。

悲喜こもごもじゃ・・・


何かわしは某ジャンケン大会を思い出す。

あれを100倍見苦しくしたのが、この大会じゃ。

暑苦しい・・・・


1回戦、2回戦とどんどん進み残りは2人。

決勝戦じゃ!


「さあ覚悟はよいか、ジャ~~~ンケ~~~ンポン!」


「いよっしゃああああああああああああああ」

「ぐわあああああああああああああああああ」

勝者と敗者が同時に決まる。


この長くも暑苦しい勝負もあと少しで終わりをつげる。


悔しがる敗者を下に、最後の1人になって歓喜の声をあげはしゃぐ若者。

その若者にわしは声をかける。


「おい、じゃんけんポン。」

言われた若者は歓喜の途中でなにがなんだかわからないまま出す。

わしがパー、その若者はグー。


「よって勝者はわし事ジューローです!

わ~~~みんなありがとう。応援ありがとう!

これで、みなの前で堂々とセイムさん、エメリさんと

交際できるように精進いたします。」


みなポカーンとしておった。


「えっジューロー参加してないじゃん」


「はっ?誰がそんな事を。わしは最後までこの舞台の上に残っていたじゃろ?

最初の説明で言ったよね、わし。最後にこの舞台に残っていた者をと。

もう1回読み返してみてね。ちゃんと書いてあるから。」


呆然とわしを見守る男衆。


「さっわしが勝ったのじゃ、敗者は去るのみじゃ。

帰った帰った。ジャンケンは絶対じゃ。

有無を言わさぬ絶対的権力じゃ。後で逆らうなよ。」


みな、ぐぬぬぬぬとイマイチ納得しかねるといった感じじゃったが

わしがハンパないくらい顔に力を込めた顔して睨んでやったら

やっと諦めてとぼとぼと帰り始めた。


「なかなかおもしろかったぞ、ジャンケンとはいいな。」

とゲタンが話しかけてきた。

今までたっぷりと楽しみやがって。


リューゴスもわしに近づいてきた。

そしておもむろに大きな声で

「さあ、ジューロー様、家でセイムさんとエメリさんが

ジューロー様のために昼ごはんを作って待っております。

早くかえりましょう~~~~~~~。」

と流暢にハキハキと一言一言聞き取りやすい様に叫んだ。


「ちょーーーーーっリューゴス君なにを!」

慌てふためくわしは脇汗びっしょりで

リューゴスの口をふさごうとするも時すでに遅し。


帰り始めた男衆が一斉にこちらを獲物をとらえるかのような

するどい目線で振り向き、皆ゆでダコのように真っ赤にして

こちらを凝視。


また、ハンパないくらい顔に力を込めた顔して睨んでやったが、

今度は全く効果なしじゃ


少しづつ後ずさりするわしを逃がさんと男衆がにじり寄る。


わしは最速のクイックターンを見せ、

全力で後方にダッシュする。

脇目をふらず全力ダッシュじゃ。


全力で逃げるわしの後ろからは力つきるまで追いかけてくる

エメリさん、セイムさんの親衛隊からの罵詈雑言を

浴び続け、センチメンタルブルーになったのは言うまでもない・・・


リューゴスのやろう・・・・


その後ジャンケンは森の民でめちゃめちゃ流行った。



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