第144話 お見舞い
今日はわし1人でジョコのお見舞いにきた。
あのドッキリが終わった後にも一度、みんなとお見舞いに来たのじゃが、
なにぶん襲撃の後処理でごたごたして
ゆっくり話す事ができなかったのじゃ。
今日はジョコに色々と謝らないいかんな、
と思いやってきた。
ジョコも新婚さんらしい。
普通は15~20歳ぐらいで結婚するらしい。
ジョコもセコスも20歳を過ぎてからの結婚じゃからかなり遅い方じゃ。
マブシいわく、ジョコのお嫁さんは・・鬼嫁らしいが・・・・
はて・・・
「ジューロー様よくおいでくださいました。」
迎えいれてくれたのはその・・お嫁さんじゃった。
「どうぞ、ジョコはいつもジューロー様のことを話しているんですよ。
ジョコも喜びます。」
と、すんごくわしを丁寧にもてなしてくれた。
ジョコ~~~~~~~~~~~~~~ッ
わしは心の中で叫んだ!
・・・・いや、いいんじゃけど、
別に人それぞれでいいのだけれども・・・
ジョコ!お前さんデブ専じゃったのか。
・・・・いや、いいんじゃけど。
ふくよかじゃ、ふくよか。
身長は150cmくらいで、可愛らしい顔をしておる。
でも、痩せたらもっと可愛いのに・・・
という娘 身近でもいるよね?ね?
つまりそういう事じゃ。
嫁さんに通された寝室でジョコは横になっておった。
「おお、ジューロー殿よく来てくださいました。
大変うれしいです。こんな姿勢ですみません。
何せ起き上がれないものですから。」
寝たままの姿でかしこまる。
相変わらず真面目じゃのう。
ラ・メーンに刺されたのは腹じゃった。
幸いにも臓器を傷つける事がなかったようで
お腹に10cmくらいの傷があるだけじゃ。
といってもめちゃめちゃ痛いじゃろう。
傷を見るだけでなぜかわしも腹が痛い。
あの後すぐ止血して、患部を消毒、麻酔も兼ねた薬草を患部にはり、
感覚が麻痺した所で、ある虫から取れるつり糸のような糸を使い、縫い合わせた。
だから今は安静にしておかねばならんのじゃ。
まあ日本と違い、感染症とかもう関係なしの荒々しい治療じゃが
それどころではない。あるかないかもわからんしな。
そういえばわしも日本で暮らしとった時に粉瘤という
コブが背中に出来た時があったのじゃ。
まあ、少し膨らんでたぐらいなので放置しておったら、
1年でまあまあの大きさになってしもうて
慌てて整形外科に行って手術で取り除いてもらった事がある。
手術自体は簡単で診察室の横で往診の間にちょいちょいとやってしまえるぐらい
の簡単なものじゃ。麻酔もかけてくれるしな。
だけど痛くはないとはいえ、背中を5cmぐらい割くわけじゃから・・
麻酔が切れた時は痛かったぞ。さすがに・・・。
背中のコブ、粉瘤を手術で取った後に見せてもらい、
携帯の写真におさめたのじゃが、
なんだか・・・
ホルモンみたいじゃった・・白い丸いホルモン・・・おいしそうじゃった・・
知らずに出されたら食べちゃうよ、ありゃ。
興味がある方は「粉瘤」で今すぐ検索じゃ!
手術後しばらく1週間ぐらいは粉瘤でさえ、ジンジンぐらい痛むのじゃから
ジョコはその比ではないだろうな・・・
腹を10cmも刺されておるわけじゃからのう・・・
一応痛み止め的な薬もあるのだが・・・・
「痛むか?ジョコ」わしが尋ねる。
「いえ、こんなものはたいした事ありません。
そんなことより、私が自ら志願しておいて、
やられるという体たらくを嘆くばかりです。ご迷惑おかけしました。」
横になりながら、申し訳なく謝る。
・・・動けないくらい痛いくせにやせ我慢しおって。
「ジョコ、すまなかった。ラ・メーンの狙いはわしなのに
お前等、森の民を巻き込むような事になってしまって。
この通り許せ。」
わしは正座に座り直し頭を下げた。
「やめてください、ジューロ殿は何も悪くないです。」
「いや、それではわしの気がすまん。この通りじゃ。」
わしは正座をしながら両手を地面にビターっとつけて
お腹は折り畳んだふとももの上じゃ。
土下座第2段階じゃ。
「いや、本当に、本当に顔をあげてください。ジューロー殿。」
「いや、ここからじゃ、ここからが本番なのじゃ。すまんかった!」
わしは正座からの~足をぴーんと伸ばし、うつむせになり
両手も前にぴーんと伸ばし、全腹這いになって謝った。
最上級土下座の最終形態じゃ。
・・・・いや、決してふざけてはないんじゃよ。
わしの心からの謝罪を形にあらわしただけじゃよ。
・・・・・・・・・・・・
・・・・日本で謝罪の場でこんな格好したら
絶対にふざけてんのかって言われて踏みつけられる自信あるわ~~~
しばらくお互いが寝ながら謝る攻防を続けておったら・・
「・・・・なにやってんの?」
ジョコのぽっちゃり嫁さんがお茶を持って立ち尽くしておるのじゃ。
そりゃそうじゃ。そりゃなにやってんの?とも言うじゃろう。
ジョコは仰向けで寝て、
わしはうつむせで寝ててお互いに謝りたおしておるのじゃから・・・
何かわしはエッチな本を母親に見つかったような
気恥ずかしさを感じ、
無言で最上級土下座からすっくと立ち上がった。
そして、おもむろに・・・・
「ちっちがうんじゃ、これは友達が無理矢理置いていったのじゃ。
決してわしの趣味ではないのじゃ!」
と間違えてエッチな本が見つかった時の言い訳をして
よけいにぽっちゃり嫁をポカーンとさせてしまったのじゃ・・・
ぽっちゃりよ、ああぽっちゃりよ・・
・・・・・お腹ぱんぱんやね!




