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第143話 処遇

「ほーん、で? お主達はどういうつもりでラ・メーンに協力したのじゃ?」


わしは5人掛けの革張りのソファーに1人でふんぞり返り、

最高級の葉巻を口にくわえ、片手には昨日解禁になったボジョレ・ヌーボーの

ワイングラスを片手に、濃いめのサングラスの隙間から見下した目で

目の前に正座するマッチョ2人とアゴスの3名に

くゆらせた葉巻の煙を吹きかけながら問いただす。


・・・・・・あくまでもイメージじゃ!


ついでにわしの後ろに正座するゲタンとマブシにも

くゆらせた葉巻の煙を吹きかけた

・・・・・・イメージじゃ!


「何でだ?何で俺達も正座?」

「そうだそうだ!何で?」


「お前らは前回おふざけが過ぎたからじゃ。だから正座じゃ!」

2人とも押し黙る。


「あの・・・・・」

マッチョの1人がわしに、おそるおそる声をかける。


「私たちマッチョ2人は帰ってよろしいでしょうか?」


「えっ何で帰るのじゃ?さんざん暴れたお前等を尋問してる途中なのじゃが。」


「いえ、その件なんですが、私たちはまったく記憶にないというか、

普段は気が弱くて大人しい、良い奴なんです。」


・・・自分で言う様な奴は信用ならん!


「そうは言っても、お主達は森に火を放つ重罪じゃしな・・・・

良くて縛り首。悪くても縛り首じゃからな・・・・。」


「「結局縛り首じゃん!」」

マッチョ二人が慌てて立ち上がり同時にツッコム。


「すみませ~~ん、ちょっといいですか?」


そんな元気ハツラツなやり取りにアゴスが口を出す。

相変わらず軽い口調じゃのう・・・

イラッとする。


あと、服が極彩色で目がチカチカする・・・・

イラッとする。


「このマッチョ2人は関係ないので帰ってもらってもいいですか?」


「どういう事じゃ?」


「ラ・メーンが操っていただけなんで。

って乗り移られてたの俺もなんすけどww」

イラッとする。


「どうやら、俺の能力が人の意識を奪って自由に動かせるっていう

スペックだったらしくて

前から抱かれたいと思っていたマッチョ2人を操っていただけなんで。」


マッチョ二人が貞操の危機を感じたのか、胸と股間を隠すポーズをする。

アゴス、何のカミングアウトじゃ!


「だから、俺がその分2人の罪を背負いますんで、

2人はこのへんで、帰してやってもらっていいすか。」


ん~確かにラ・メーンと戦っているときも、そんなこと言っていたんじゃけど、

どうしようかな。


「ゲタン、どうする?」


「うむ、そうだな・・マッチョ二人の解放と俺だけの正座解放を要求する!」

「そんな、自分一人だけ・・ひどいっすよ」

マブシが食い下がる。


「わかった、マッチョ2人とゲタンの正座を解放しよう。」

わいのわいのマブシがうるさかったが、無視しといた。


縄を解かれたマッチョ2人はお礼にとマッチョ踊りを踊った。

踊り狂った。髪を振り乱し踊り狂った。


「よし、お主等、森の民を侮辱した罪で縛り首じゃ!」

マッチョ2人は足早に森を立ち去った。


そして見送ったわしとゲタンが小屋に戻ると

マブシも勝手に小屋を立ち去っていた。


「よし、連帯責任じゃ、ゲタン縛り首!」

「こわっ、縛り首こわっ!」


 ※※※※


「さて、じゃあお前さんの事を聞こうかの、アゴス」


「ああ、いいぜ~いくらでも話してやるよ~~。」


聞けば、このアゴスは城下町の出身らしい。

風貌からして、この格好。なんとも傾奇者かぶきものというか

変わり者というか・・・・

なので村八分じゃないけど、皆に一目いちもくどころか

五目ごもくぐらい置かれているとの事。

まあ、嫌われてるって事ね。


その派手派手しい格好止めればいいんじゃない?って聞いたのじゃけど

ポリシーに反するとか何とか・・

新進気鋭のデザイナーか、お前は!


まあ、そんなんで自分を認めない世の中に嫌気がさしていた時に

ラ・メーンに声をかけられたらしい。


最初はとうとう二重人格に自分が目ざめた!

ぐらいの感じだったのだが、どうやら違うと。


話を聞けば、ラ・メーンも世の中に不満がある者だと言う事で

2人でこの世界を変えていこうと、意気投合して体を貸すようになった。


「それで、何でわしを襲うのじゃ。」


「ん~~何かいろいろ難しい事言ってたけど、森の民のジューローってのが、

この世を乱す根本のような事言ってたんで、じゃあやっつけよってことになって」

かるっっっっ。

アゴスなかなかのフットワークの軽さじゃな。


「何を言っておるのじゃ。わしなんてものすごい人畜無害で、よく友達から

ジューローさんの1/144サイズのHGプラモ出てたら絶対買うのにな~

って言われるぐらい大人しいのじゃぞ!」


MGモデルって言わない所が奥ゆかしいじゃろ?


「そうなんすか、まあこっちも恨みはなかったんだけど、まあ、ノリかなww」

ノリで殺されてたまるか!


「とにかく、こっちは良い迷惑じゃ。

むしろラ・メーンの方がこの世界のことわり

の外にいる厄介な代物じゃて。」

まあ、厳密にはわしも世界のことわりの外なんじゃろうが・・


さて、コイツの処遇はどうしようかのう・・・・

う~~~ん、あっ閃いた!


「最後に1つわしから聞いてよいか?

そのお前さんが着ている目がチカチカする服、自分で作ったのか?」


「おっ、さすがに目のつけどころが違うね。そうだよ全部俺がつくってるんだ。

この黄色なんて難しかったんだぜ~。今じゃもう自由自在に色が作れるように

なったけどな~~~。」


染色技術きた~~~~~~~~~~~~~。

なかなかの掘り出しものなんじゃね?こいつ

絵の具も作れるかもしれんしのう。


「よし、わかった。アゴス、お主の刑を言い渡す。

市中カバでひきずり、打ち首獄門の刑、その後、島流しの刑とする。」


「罪を憎んで、人を憎まずじゃ。」

わしは遠くを見ながら優しくアゴスに諭す。


「いや、めっちゃ人憎んでるし~~~~~~~~うける~~。」

アゴスがツッコム。


「が、特別にお前さんには、もうひとつ選択肢がある。

わしの下について、この村の発展に貢献して欲しいのじゃ。」

ふっ、と格好いい笑顔でアゴスに提案する。


「・・・おもしろそうっすね。」

アゴスもいい笑顔で返す。


「よし、じゃあ今日からお前はわしが預かる。

ゲタン、わしが責任を持つからアゴスを森の民の仲間にする事を許してほしい。」


「・・好きにせい。」


「アゴス、これからお前は森の民として過ごすのじゃ。

そしてわしらと一緒にこの森を支えて行くのじゃ。」

わしはアゴスに手を差し出す。


その手をギュッと両手でにぎり

「俺たち2人が手を組めばヨユーでしょ!って本当に組んでるしww」


こうして新たに森の民に変人が加わったのじゃ。

イラッとする。

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