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第139話 ジョコの戦い

「火事の方はどうだったのじゃ?」


「ああ、すばやく対処できた様でボヤぐらいですんだぞ!」


「な・・・・に・・・・そんなはずは・・」

ラ・メーンが驚いた顔をしてゲタンの方へ振り向く。


「ああ、森に火事は大敵じゃからな。事前に火災に対しての

対策はしておったのじゃよ・・・・・例えば。」

わしは得意げにジョコに振る。


「ジューロー殿は、川から水をひき、溝を掘って各家庭に水を行き渡らせたり、

今回のような火事に対応するために、ため池などを作ったりと

もしもの準備をしていたのです。

それと、我々森の民は定期的に訓練を行っているのです。」


「そうじゃ、各々の役割を分担していざという時に備える

“火災訓練”とかをのう。」

ジョコに説明させて、おいしいところだけわしが持って行く。


「おかげでボヤ程度で済んだという所だ。」

さらにおいしいとこををゲタンがかっさらっていく。


負けじとわしが前に出る。

「理解できたかのう?ラ・メーンよ」


さらにゲタンが前に出ようとするが、わしが阻止する。

それを阻止しようとゲタンが割り込もうとするが

それを押さえつけても、あきらめずに・・・

という身内で小競り合いをしているとジョコが・・・


「こいつ、俺がやってもいいですか?」


「えっ1人で?」


「はい、私1人でいいですよ。1対3で」


「ちょっと待て~い。今回は俺がやろう。

前回マブシの時譲ってやっただろうジョコ。ここは族長のわしが

皆に威厳を示すためにわしが・・・」

ゲタンが前にでてこようとするが・・・


そんな小競り合いを気にせずマッチョ二人がジョコに同時に左右から襲いかかる。

ジョコ、ゲタンは何事も無くその2人の攻撃を避ける。


「この俺を舐めやがって。マブシの時のようにはいかねーぞ。」

ラ・メーンが檄怒プンプン丸じゃ。


「ゲタン殿はまだまだこんな雑魚に付き合ってはいけません。

我々の最終兵器、隠し球ですのでここは斥候ごときのわたしでお願いします。」


いやいやいや何をおっしゃるのですジョコ君、君は斥候じゃないでしょ。

十分大将クラスあるよ。マジで。少なく見積もっても副大将くらいあるよ。


ゲタン満足そうじゃな。隠し金玉とはうまいこと言うな~じゃねーし。

隠し玉な。隠し金玉じゃあ、隠してないよ。

ほんとにおだてに弱いやつじゃ。


っていうか、またわしが戦わなくてよいのか?

めっちゃ腹パンくらってますけど、わし。

やりかえしたいな~~~まあじゃあお手並み拝見しますか?ジョコ君。


ってめっちゃジョコやられてるじゃん。

3人同時攻撃にめっちゃ、やられてるじゃん。


同時攻撃の輪から抜け出し仕切り直すジョコ。

「ふっ・・・今の攻撃で3人の攻撃を見切りました。」


ジョコかっこいいいいいいこと言ってるけど・・

とりあえずふけ、鼻血を。

かっこわるいぞ鼻血は。

・・・たぶん見込みを間違えたんだろうな。


「ジョコそいつは身体能力が通常の2倍にあがっているそうじゃぞ。」


「そうでしたか。なるほど。じゃあそれを修正して、これではどうですか?」


ジョコが目にも止まらぬ早さでマッチョ2人に交互交互にワンツーを放つ。

何度も何度も顔にワンツーを・・・はええええ。

防ぎきれずなす術もなく顔に受け続けるマッチョ2人。


たまらず崩れ落ちる。

後ろからラ・メーンがジョコの背中に蹴りを繰り出す。

ジョコは蹴りの衝撃を消す為に自分で前に飛んだようじゃ。

2、3回転してすぐに起き上がる。


崩れたマッチョ二人も、なんとかゆっくり起き上がる。


「まあ7割は体力削りましたかね。十分でしょう。

ラ・メーンさんの相手も余裕ですが、どうします?今なら帰っても

後を追いませんけど・・・」


「くそが~~~~~お前みたいな雑魚お呼びじゃないんだよ!」

ラ・メーンが吠える。さっきまでの余裕はどうした。


「そうです。わたしみたいな雑魚に手間取っているようじゃ、

あなたは雑魚以下の存在ですね。

族長のゲタン殿や、ジューロー殿はわたしなんかより

何10倍も強いのですよ。」


いや、ジョコ買いかぶりすぎじゃ。わしなんてクソじゃよ。

虫けら以下の強さじゃよ。


ゲタンは誇らしげだ!

だがコイツはあながち嘘じゃないと思う。

ゲタン最強説があるくらいじゃからな・・底がしれん。


「くっシャクだがしょうがない。・・・・・返してもらうか。」

ラ・メーンの目が赤く光ると同時にマッチョ2人が地面にくずれおちる。


「2人に貸していた能力を私に集約した。さっきのようには簡単にいかね~~ぞ。」

わしへの怒りがとりあえずジョコに向いてくれた・・・

よかった。ジョコ、お前の骨はわしが拾ってやるからのう。


そんな邪な考えを吹き飛ばすかのような、初撃のぶつかりあい。

お互いにふんぞり返る。


ん、なにか違和感が・・・

ラ・メーンの口元が・・・にやけておるような。


ジョコ、ラ・メーンの攻防が激しさを増す・・・


そんな中、なぜかわしはふと思い出す。


あれはマブシがわしらに襲いかかって来て片付けた後だったか・・・

ゲタン達森の民に聞いてみた事があるのじゃ。


人と戦う時に弓や剣、槍などは使わないのか?と

マブシがゲタンを攻撃した時も木刀のような棒だったし・・・


そうしたらみんな引いていた。

「こわっ、何ジューローのその発想。恐いわ~~人に武器を向けるなんぞ。

弓、槍、剣なんぞはあくまでも獣を仕留める道具であって、

人を殺傷する為の道具ではないぞ。その発想がなかったわ~~~。」

とゲタンがどん引きしてた。


最初はギャグかなと思っておったのじゃが、どうやら本心みたいじゃ。

今まで刃物とかで殺人とかなかったのか?と疑問に思ったが

それは知る吉もない・・・・


だからリューゴスがわしに剣を見せた時

(装飾を施した殺傷能力の低い剣じゃったが)

ジョコとセコスが過剰なほど敏感に反応したのか・・。


なぜ、今そんな時の事が思い浮かんだのか・・・

それは・・・・


「ぐばあああああああっっ」

ジョコが悲鳴をあげてくずれおちる。


それは・・・・・・


ジョコがくずれおちていく時、

まるでスローモーションに見えた。


序々に対面にいるラ・メーンの姿が現れていく・・・。


そこには・・・・・・

ラ・メーンが血を帯びた剣を顔の前に半身かかげ、

凶器に満ちた笑みを浮かべておったのじゃ・・・・


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