第14話 夜が更けて妄想
族長の顔をみると、白目をむいて安らかそうな顔で寝息をかいてる。
「これで大丈夫じゃろう」
という声をかけると、みんなが一斉にうそつけ〜〜〜という顔をしてた。
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なんと長い一日だっったのか…まるで小林十郎として、亡くなってから14話目ぐらいかかったような長さだった。
やっと1日目が終わるところかい!という読者の心のつっこみがここまで聞こえてくるようじゃ。
あの後、族長を寝かしたまま夕ご飯をご馳走になり、みんなで食べた。
夕ご飯といっても、ポポタンという日本で言うじゃがいものような野菜をふかした物と、塩だけで味付けしたジャガイモスープといった質素なものだった。
森の民ではこれが主食だとのこと。あとは、狩りに出た男衆がたまに取れる獣肉のぐらいみたいだ。
裕福な東の民の主食はとうもろこしに似た植物らしい。とうもろこしを粉にして、パンなどを作ったりしているらしい。サトウキビのようなものも栽培して、砂糖もつくっているらしい。家畜も飼っているらしく、それは豚やにわとりのようなもので、城下町などでは食肉として出回っているらしい。
森の民とは食生活からしてずいぶんちがう。族長が病気がちなのと、村のみんなが弱々しいのは食生活が関係あるのかもしれないな。ゆくゆくは改善できたらいいなと思う。
食後にこの世界の話をしつつ談笑した後、夜も更けたのでみんな同じ部屋で雑魚寝を提案されたが家族でもないのに、女の人と寝るのが気が引けたので、離れの食料庫のような場所、畳3帖ほどのログハウスを借りて寝る事にした。
この世界の夜は…暗闇ではない。
月のようなものが天には2つあり、その輝きはブルーなのだ。コバルトブルーのような色なのだ。
もしあの月のようなものからブルー波が出ていたら、わしは巨大なサルになっていたであろう。どちらかというと外見は亀○人だけどね。
今まで全然話しが進まなかったので、ちょっと説明を入れてみたのじゃ。大人の都合じゃ。
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夜も更け、やっと寝付いた頃、倉庫の扉がすこしづつギギギと音を立てて開いていく。
青い月のひかりが真っ暗な倉庫の部屋を少しづつ照らしていく。
わしは寝た振りをしつつも薄眼を開けて警戒をする。
なんとそこにはコバルトブルーの月明かりに照らされたセイムさんがたたずんで…
というような展開はまったくなく、微塵もなく、ロマンスもなく、ハーレムもなく
わしの妄想だったのじゃ。
夜明けを迎えた…。
やっぱり外見がジジイってのがだめなのかね。他の異世界物だったら、絶対にぱっとしない同級生もイケメンばりにブイブイいわせてハーレム展開になるところじゃのに…
ふーふーふーっいかんいかんつい興奮してしもうた。もち着けおれ!
するとどこからともなく
「どんだけラノベ展開心待ちにしてんだよ〜よ〜」
というツインテール少女ミチの声がエコーで聞こえた気がした。
だぶん幻聴であろう。
いや、でも一応ずっと後ですが
いつまでもジジイではなく若返って
恋愛展開はいれたいよね〜
ハーレムはわかんないけど。




