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第134話 鬼ごっこ

毎日うざいな~~~。あーうざい。うざっっ!

こんにちはジューローです。


聞いてくれんかのう・・・リューゴスが・・リューゴスがあああああ

毎日襲ってくるのじゃ。

向こうは修業のつもりなんじゃろうが、こっちの身にもなってみい。


トイレと食事、睡眠の時以外はいつでも襲ってくるのじゃ。


それでも最初はちゃんと付き合っておったのじゃよ。

だけれども・・・・毎日毎日襲われると・・・


気が休まらんし、仕事に集中できんし、痛いしで、も~~う面倒くさい。

師匠だからといって毎回勝てるわけでもないから

たまにいいのを食らって寝てしまう事もある。


なんか悔しい、負けた感じがして嫌なのじゃ。


「ーーーということで今から“鬼ごっこ”を始めます」

わし、ジョコ、マブシ、ゲタン、リューゴスのいつものメンバーを集めた。


「はい!その鬼というのは何ですか?」ジョコが質問をする。

「おお、ジョコ君いい質問ですね。鬼というのは架空の生き物で

頭に角が生えており恐ろしい形相をして、人間に仇なす異形の者の事です。」


そんな恐ろしいものだったのかと、みんなざわつく。


「そんな鬼のマネをする遊びで“鬼ごっこ”といいます。

簡単に説明すると、1人鬼を決めて、その鬼が他の人に触ると触られた人が

鬼を交替します。それを延々とくりかえします。以上」


エンドレスだ・・またエンドレス遊戯だとざわつく。


「もちろん終わりがないとまずいので、同じ人が2回鬼になった時点で

その人は抜けて、残りの1人なるまでやり続けます。」


「はい!鬼に攻撃してもいいんですか?」

ジョコが質問する。

「おお、ジョコ君いい質問ですね。ダメです。鬼しか攻撃できません。

触ったり触られた時点で交替ですので、逃げまくってください。」


「・・・鬼になったら殴っていいのか・・」

「そう、鬼になったら獲物を捕らえる、仕留める訓練。

逃げる人はどんな攻撃も避ける訓練両方兼ね備えておるのじゃ。」


「おもしろそうだなガハハハハ・・」

「じゃあ、まずやってみるかいのう。初めはゲタンの鬼でよいな。」


ゲタンが座って目を手で覆ってもらう。

残りの者達でそのゲタンを囲い・・・・

「よし、今からゲタンが10数えるまでに鬼を怒らせるのじゃ。

囲んで罵詈雑言浴びせかけるのじゃ。

鬼はそれを怒りに変え、残りの者を滅するのじゃ・・・・」


「訓練ですよね、これ。滅するとか・・訓練?」

ジョコが心配そうに尋ねる。


「大丈夫じゃ、目を抑えておるから誰が悪口いっておるかわからん!」


「いや、声でわかるだろ!バレバレだろ!」とマブシ。


「・・・・さっ、始めようかのう。」


「絶対気づいてなかったでしょ、ねえ、ねえ」

しつこいぞマブシ!


「はじめえええええええいいいいいいいいい」

無視してやったもんね!


ゲタンが数を数える1・2・3・

その間容赦ない言葉が浴びせかけられる・・・

「筋肉だるま!」

「胴なが!」

「だれが足長おじさんじゃ!」

「・・・・クサっ」


「筋肉だけだな!」

「足短!」

「だれがフランダースの犬じゃ!」

「・・・・クサっ」


逃げるのじゃ!みなチリジリに逃げる!


「・・9・10!うがあああああああああああ

お前らひどいこと言いやがってえええええええええええ」

ゲタンが立ち上がりものすごい形相で追いかけてきた

まさに鬼!鬼じゃあああああ!


ゲタンはリューゴスに向かう。

「何気に最後の・クサっが傷ついたんだあああああ」

猛ダッシュでリューゴスに追いつきパンチを繰り出す。


1発目は避けるも、立ち止まってしまったのが敗因じゃ。

2発、3発と繰り出したパンチが避けられずガードしてしもうた。

リューゴスに鬼は交替じゃ。


すぐにわしに向かって来たリューゴスじゃが、

わしは木の上で待ち伏せる。

リューゴスは登ってこずに下で降りるのを待っておる。

リューゴスにしては消極的じゃな・・・と思いきや、


太い木の幹をガンガン蹴って揺さぶってきた。

まじか、なかなかしがみつくのも大変なぐらい揺れてるぞ。


そこへ、他の逃げてばかりで暇なジョコとマブシが

リューゴスを挑発しにきた。


「やーいやーい、ジョコの嫁さん鬼嫁!」

「だれが鬼嫁だ!」マブシがジョコに殴られる。


ナイスボケじゃマブシ!

その茶番の一瞬の隙をついて木から飛びおりて、

マブシ達の方へ逃げる。


おわっそれでも、わし1人狙いか!リューゴス、恐いわ!

ストーカーに狙われたようじゃ。

しょうがないのう・・・奥の手じゃ!

マブシを使ってリューゴスを攻撃!

クリーンヒット!

・・わしはセーフじゃ、触ったのはマブシじゃからな。


「人にはこういう使い方もあるんじゃぞ、リューゴス」


「ひどっ、その人の使い方、違う意味でひどっ」

鬼になったマブシは嘆いたが、その後も過酷な鬼ごっこは続いた。


 ※※※※


結局、勝ったのはゲタンじゃった。わしはおしくも2位。


まあ順位はどうでもよいが、久しぶりに遊んだというか、充実感があった。

今回は5人じゃが、連帯感が生まれたというか・・・

とにかく気の知れない仲間という感じで楽しめた。


リューゴスは始めはわしばかり執拗に狙っておったが、

最後の方はちゃんと皆と切磋琢磨しておったわ。


ジョコもマブシも歳が近いしな、みんなと触れ合い楽しかったと思う。

ときおり見せる無邪気な笑顔が、いつもの無表情とのギャップで

みているコッチも幸せな気分になったのじゃ。


次の日から、これを男衆の鍛錬として取り入れた。


その後、子ども達の間でも“鬼ごっこ”は逃げる子にタッチするだけでいいという

もっとソフトな遊びとして広まり、みんなで仲良く遊べる定番の1つになったのじゃが・・・


わしがマブシに使った、鬼じゃない者を蹴って鬼に当てると言う技が

“人でなしキック”“鬼より非情キック”などの技名がついて

一世風靡したのは、いい思い出じゃ・・・・


いや、全然いい思い出じゃないよ。

誹謗中傷じゃよ!まったく・・・






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